FDE検定はなぜ生まれた?資格制度づくりで重視したこと

FDE検定はなぜ生まれた?資格制度づくりで重視したこと

FDE検定を考えたとき、何を知る人ではなく、現場で何ができる人を育てたいかが議論の中心にありました。本稿は、発起時に関係者が集まって話した経験と、IoT検定などの制度づくりの蓄積を振り返る記録です。現在の運営体制や受験条件の案内とは分けてお読みください。

本文更新:2026年10月15日

目次

発起時の問いは、誰のための制度かということだった

新しい名称を作る前に、届けたい人と確かめたい力を議論しました。

FDE検定の立ち上げを考えた当時、発起人三人が静岡で集まり、対象とする人材、伝わる言葉、既存の制度の経験をどう生かすかを話しました。これは当時の活動の記録で、現在の組織構成を示すものではありません。

FDE検定のように、新しい概念を社会に出すときは、表向きの言葉だけでは足りません。「これは本当に日本に根づくのか」「エンジニアという言葉が入口を狭くしないか」「またIT業界だけの話に閉じてしまわないか」こうした懸念を、きちんとテーブルに乗せる必要があります。

資格や検定は、作ること自体が目的ではありません。企業、業界団体、地域、国や自治体が「こういう人材が必要だ」「こういう力を可視化したい」「こういう学びの入口がほしい」と思っているから意味があります。自分の能力を、そうした現場のモチベーションへ提供する。私はそこに、検定・認定・認証づくりの魅力を感じています。

制度づくりの問い確認すること残す記録
誰に届けるか対象者と実務の場面対象・想定する課題
何を確かめるか知識・実践・成果の違い評価の理由と範囲
どう運営するか受験体験と信頼性案内・試行・例外対応
どう改善するか学習者と企業の反応変更の理由と履歴

直接会うことで、言葉にしにくい懸念を確認した

オンラインの速さと、対話の深さを組み合わせました。

もちろん、これまでもオンラインでは話してきました。電話もしました。チャットでもやり取りしました。生成AIも使いました。デジタルをフル活用して、できる限りのことは進めてきました。それでも、やっぱり直接会って話すと違うのです。表情、声の色、間、言いにくそうにしている空気、これはテキストには残りにくい情報です。

3人で話すと、時に時間はかかります。意見も違います。言葉の定義も揺れます。しかし、その揺れの中で、「本当に社会に出してよいものなのか」「誰のための検定なのか」「現場でどう使われるのか」という問いが深まります。これは、一人では得にくいプロセスです。

議論では、前提、賛成する理由、懸念、まだ決められない点を分けて残します。全員が同じ経験を持つわけではないため、意見の違いを制度の対象や評価の条件を見直す材料にしました。

生成AIは議論の整理に使い、決定は人が引き受ける

反対の視点を出す支援は使えても、中立や正確さは自動的に保証されません。

コンセプトを整理する過程では、生成AIも使い、視点の洗い出しや反対意見の検討を行いました。出力の前提や根拠を確かめ、最終的に採用する内容は関係者が判断しました。

読者が応用できる行動は、社内の新規プロジェクトで、生成AIに「賛成意見」だけでなく「反対意見」「狭すぎる前提」「見落としている関係者」「失敗したときの責任分界点」を出させることです。生成AIは忖度させるより、健全に疑わせるほうが役に立ちます。

制度案をAIが整理したこと自体は、評価基準の妥当性や社会的な信頼を保証しません。対象者の経験、実務の場面、試行の結果に照らして、人が何度も見直す必要があります。

これまでの制度運営の経験を、新しい評価へつなぐ

人のつながり、問題づくり、運営の知見を土台にしました。

今回のFDE検定では、その資産をどう活用するかも大きなテーマです。新しい検定を単発で作るのではなく、これまで培ってきた信頼、プラットフォーム、学習導線、問題作成の知見、運営の経験を土台にする。ここに、継続してきた意味があります。

ただし、スピードだけでは制度は育ちません。地域の方、業界団体の方、応援してくださる方、実際に使ってくださる企業や学習者がいて、初めて検定は社会の中で意味を持ちます。AI時代の人材育成・教育支援は、技術の速さと、人の関係性の深さを両方持つ必要があります。

既存制度をそのまま写すのではなく、FDEで確かめたい知識、実践、成果に合わせて評価を考えます。三層モデルそのものの説明と、試験方式の設計は、それぞれの関連記事に分けています。

制度を作る仕事は、公開した後の改善まで続く

対象者へ届くか、学習と実務につながるかを確かめます。

読者の皆さんは、社内の生成AI研修を「受講したかどうか」で終わらせていないでしょうか。大事なのは、受講後に何ができるようになったかです。AI時代のスキルチェンジやリスキリングは、受講履歴ではなく、現場の行動変化で見なければなりません。

私は、検定・認定・認証づくりをライフワークにしています。同時に、会社としてのライスワークでもあります。けれど、お金の前にあるのは、新しいものを世の中に出し、学ぶ人、働く人、企業、地域、業界の役に立つ仕組みを作りたいという思いです。

学習者と企業の反応を受け、説明、教材、問題、運営を見直す。そのためには、設計の理由と変更の履歴を残すことも必要です。発起時の思いを、使われ続ける仕組みへ育てていくことが大切だと考えています。

よくある質問

現在のFDE検定の運営体制を説明する記事ですか?

発起時の議論と設計の意図を振り返る記事です。現在の体制、募集、受験条件などは公式案内で確認してください。

なぜ新しい資格制度を考えたのですか?

AIを知っていることと、業務へ実装して成果を確かめる力を分け、人材育成の共通言語を作りたいという問題意識がありました。

生成AIが評価基準を決めたのですか?

AIは視点の整理や案の検討に使いました。根拠と前提を確認し、評価する対象や基準は関係者が判断するものです。

IoT検定の経験をどう生かしたのですか?

問題づくり、学習への案内、運営、人や地域との関係などの知見を土台にしています。FDEに何を評価するかは別に考えます。

検定を公開すれば制度づくりは完了ですか?

公開後も、学習者、企業、運営からの反応を基に改善します。何を変えたかと、その理由を残すことも大切です。

FDE検定の最新の募集・受験情報:IoT検定制度委員会の公式案内。本稿の過去の記録・学習例と、現行の受験条件は区別してご確認ください。

著者紹介

近森満(ちかもり みつる)
株式会社サートプロ 代表取締役CEO / DXコンサルタント/IT人材育成/検定事業化

IT技術者の教育支援と人材育成を専門とする事業化コンサルタントとして、2006年に株式会社サートプロを創業し、IoT検定・+DX認定・アジャイル検定などの資格制度を創出。独自の技術者向け教育研修の開発に定評があり、実践的なスキル向上を支援。経済産業省DX推進ラボおよびIoT推進ラボのメンターとして自治体や中小企業のDX推進を支援。近年は超知性ASIスキル可視化にも取り組み、次世代技術の普及に注力している。

■所属・役職
・IoT検定制度委員会 事務局長(IoT検定、+DX認定、超知性ASI検定)
・一般社団法人 IT職業能力支援機構 理事長(Android資格)
・電気・電子系技術者育成協議会 副理事長(E検定)
・組込みソフトウェア管理者技術者育成研究会 メンバー(組込み)
・ET教育フォーラム合同会社 代表(コンテンツ制作)
・経済産業省 地方版IoT推進ラボ ビジネス創出事業メンター(IoT支援)
・経済産業省 地域DX推進ラボ ビジネス創出事業メンター(DX支援)
・デジタル庁 デジタル推進委員(デジタル化支援)
・DX事業共同組合 設立理事(DX推進)
・一般社団法人日本サステナブルビジネス機構 幹事(SDGs認証)
・”一億総活躍社会を実現する”共生日本協議会 理事(DEI支援)
・アジャイル開発技術者検定試験コンソーシアム 事務局長(Agile検定)
・一般社団法人国際サイバーセキュリティ協会 事務局長(IACS認定)
近森満
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