スター依存から
組織力へ。全員で戦うAI時代へ。
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組織力
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✍️ 近森 満(株式会社サートプロ 代表取締役CEO)
#組織力#人材育成#DX推進#AIエージェント
・守備の連動をDX推進の「合意形成」に置き換える視点
・選手層の厚さ=組織のリスキリング力という発想
・AIエージェント時代に必要な戦術の柔軟性
・弱みを言える組織が実は強い理由
日本代表の強さは、スター依存ではなく組織力にあります
今の日本代表の強さは「負けない試合ができる」こと。特定の一人に頼りすぎ、その人の不在で止まる組織は、本当の意味では強くありません。
こんにちは、IT・DX教育サービスの株式会社サートプロ 近森満です。今日は日曜日なので、少し肩の力を抜いた「幸せのレシピ」として、サッカー日本代表の強さから、企業のDX推進、人材育成、生成AI活用について考えてみたいと思います。
最初に言っておきます。私はにわかファンではありません。小学校の頃はボールを蹴って遊び、中学校、高校ではサッカーをしていました。社会人になってからも、Jリーグができる前の会社チームで、どうすれば強くなるかを考えながら走っていました。さらに、アトランタ五輪のブラジル戦、いわゆるマイアミの奇跡も現地で見ています。だから、少し熱くなるのはご容赦ください。
サッカー日本代表を見ていて、私がいま一番感じるのは「負けない試合ができる強さ」です。昔は、最後の最後で攻め急ぎ、カウンターを受け、もったいない形で試合を落とすことがありました。ところが今は、守るところは守る、無理に突っ込まない、チーム全体でバランスを取りながら試合を進める。この安定感が明らかに違います。
読者の皆さんはどうでしょうか。自社のDX推進や生成AI活用で、特定の一人に頼りすぎていないでしょうか。「あの人がいれば何とかなる」という状態は、短期的には強く見えます。しかし、その人が不在になった瞬間に止まる組織は、本当の意味では強くありません。
日本代表にもスター選手はいます。個の力は確実に上がっています。久保選手、上田選手、中村選手、堂安選手、三笘選手、遠藤選手、南野選手。名前を挙げればきりがありません。ただ、今の強さは「誰か一人が全部やってくれる」ではありません。守備の連動、攻守の切り替え、選手層、予測力、戦術の柔軟性が重なって、チームとして成果を出しているのです。
守備の連動は、DX推進でいう「現場の合意形成」です
守備の連動は企業でいう合意形成。誰が何を見て、どこで止め、どこで支えるか。役割分担が曖昧なままAIを導入すると、便利なはずのツールが混乱を増やします。
日本代表の守備を見ていると、本当にコンパクトです。前線から最終ラインまでが間延びせず、相手に自由なスペースを与えない。前の選手だけが頑張るのではなく、後ろの選手だけが耐えるのでもない。全員が少しずつ位置を取り、相手の選択肢を狭めていきます。
これは、DX推進の現場にそっくりです。現場担当者だけが頑張っても、経営が理解していなければ進みません。情シスだけが頑張っても、業務部門が自分ごと化していなければ定着しません。人事だけが研修を用意しても、マネージャーが日々の業務で学びを使わせなければ、リスキリングは形だけになります。
守備の連動とは、企業で言えば合意形成です。誰が何を見て、どこで止め、どこで支えるのか。生成AIを入れる場合も同じです。誰がプロンプトを書くのか、誰が出力を検証するのか、誰が顧客説明をするのか、誰がリスクを引き受けるのか。この役割分担が曖昧なままAIを導入すると、便利なはずのツールが、逆に現場の混乱を増やします。
ここで大事なのは、DXは攻撃だけではないということです。新しいツールを入れる、AIエージェントを試す、アプリを作る、業務を自動化する。これらは攻撃に見えます。しかし、セキュリティ、品質、教育、説明責任、データ管理といった守備が弱いと、組織は長く戦えません。
事例: 最後に攻め急がないチームは、プロジェクトでも強い
勢いだけで進めるDXは、攻めているようで守れていません。終盤ほど「攻める判断」と「守る判断」を分けて確認します。強いチームは負けない設計をしています。
何が起きたか。かつての試合では、あと少しで勝てる、あるいは引き分けで十分という場面でも、勢いで前に出てしまい、カウンターを受けることがありました。サッカーでは、気持ちが前に出すぎると、後ろに広いスペースが空きます。
何に気づいたか。これは企業のプロジェクトでも同じです。生成AIの導入で「早く成果を出そう」と焦ると、検証、教育、権限設計、セキュリティ確認が後回しになります。最初は華やかに見えても、後から手戻りが起きます。
リスクまたは教訓は、勢いだけで進めるDX推進は、攻めているようで守れていないということです。AIのハルシネーション、情報漏洩、業務ルールとの不整合、顧客説明の不足。これらは、守備の連動が弱い組織で起こりやすい問題です。
読者が応用できる行動は、プロジェクトの終盤ほど「攻める判断」と「守る判断」を分けて確認することです。リリース前、外部公開前、全社展開前には、あえて一歩引いて、何を守るべきかをチームで確認してください。強いチームは、勝ちに行くと同時に、負けない設計をしています。
攻守の切り替えは、AI時代の業務スピードそのものです
切り替えの速さは生成AI時代の業務に必要ですが、速いだけでは不十分。量を出す力ではなく、どこへ行き何を捨てるかを見極める力がスキルセットです。
今の日本代表は、攻守の切り替えが本当に速いです。ボールを奪った瞬間に、前線の選手が連動して動き出す。中央でためを作り、サイドが走り、ゴール前に人数が入る。昔のようにサイドから単純に放り込むだけではなく、中央突破もあり、カットインもあり、ポストプレイもある。見ていて面白いのです。
この切り替えの速さは、生成AI時代の業務にも必要です。情報を集める、仮説を作る、AIに壁打ちする、資料を作る、関係者に確認する、修正する、試す。このサイクルが遅い会社と速い会社では、同じツールを使っていても成果がまったく違います。
ただし、速いだけでは足りません。サッカーでも、走行距離だけで強さは決まりません。文字起こしでも触れていますが、日本代表は、むやみに走っているというより、予測して、最短距離で、必要な場所へ入っているように見えます。これは非常に重要です。
企業のAI活用でも、作業量を増やすことが目的ではありません。AIを使えば資料はたくさん作れます。アイデアも大量に出せます。しかし、どこに行くべきか、何を確認すべきか、どの仮説を捨てるべきかを判断できなければ、情報の山に埋もれます。生成AI時代のスキルセットとは、量を出す力ではなく、見極める力でもあります。
読者の皆さんは、AIで作業量を増やしていないでしょうか。それとも、AIで判断の質を上げているでしょうか。ここを間違えると、DX推進は「忙しくなっただけ」で終わります。
選手層の厚さは、組織のリスキリング力です
一人に依存する組織はその人の不在で止まります。リスキリングは全員を同じ能力にすることではなく、役割ごとのキャリアパスを設計することです。
今回の話で印象的なのは、主力選手がけがをしても、代わりに戦える選手がいるという点です。もちろん、けがは困ります。サッカーでは、後半になるほど足がもつれ、接触も増え、思わぬアクシデントが起こります。それでも、複数の選択肢を持てるチームは強い。
企業も同じです。一人のスーパーエンジニア、一人の生成AIに詳しい担当者、一人のDX推進リーダーに依存している組織は、その人が異動したり、忙しくなったり、退職したりした瞬間に止まります。これは本当に危険です。
リスキリングとは、全員を同じ能力にすることではありません。サッカーで言えば、全員をフォワードにするわけではない。ゴールキーパー、ディフェンダー、ボランチ、ウイング、ストライカー、それぞれの役割があります。企業でも、AIを作る人、AIを使って業務を改善する人、AIのリスクを管理する人、学習を設計する人、現場で定着させる人が必要です。
デジタル人材育成で大切なのは、役割ごとのキャリアパスを設計することです。技術者だけを育てるのではなく、HR、営業、バックオフィス、管理職、経営層まで、それぞれがAIとデジタルをどう使うのかを明確にする。これが、AI時代の人材育成・教育支援です。
事例: 主力不在でも戦える組織は、教育を日常に埋め込んでいる
教育をイベント化しすぎないこと。年一度の研修だけでは選手層は厚くなりません。小さな実践・レビュー・改善・再挑戦の繰り返しでスキルチェンジが進みます。
何が起きたか。サッカーでは、けがや出場停止で主力が不在になることがあります。それでもチームが機能するのは、日頃から戦術が共有され、代わりに入る選手が自分の役割を理解しているからです。
何に気づいたか。企業でも、生成AIの得意な人だけが業務改善を回している状態では、スケールしません。日常業務の中で、AIを使う練習、成果物をレビューする習慣、失敗を共有する場が必要です。研修講座・eラーニングを受けただけでは、試合では動けません。
リスクまたは教訓は、教育をイベント化しすぎることです。年に一度の研修だけでは、選手層は厚くなりません。小さな実践、レビュー、改善、再挑戦を繰り返すことで、組織全体のスキルチェンジが進みます。
読者が応用できる行動は、生成AI活用の「控え選手」を作ることです。各部署に一人だけではなく、複数人が基本操作、リスク確認、プロンプト改善、成果物レビューを担えるようにする。スター人材を孤立させず、チームの総合力へ変えることが大切です。
戦術の柔軟性は、AIエージェント時代の必須能力です
AIエージェントは自律的に進められますが、任せる場面・止める場面・戦術を変えるタイミングは人間が設計します。ここにFDE的な人材像が重なります。
日本代表は、ボールを保持することも、カウンターを狙うことも、ハイプレスをかけることも、状況によって守備的に振る舞うこともできます。昔よりも、足元の技術が高く、狭い場所でもボールを回せる。中央から崩す選択肢も増えています。
これは、AIエージェント時代の仕事にも通じます。AIエージェントは、調査、整理、実行、検証をある程度自律的に進められる可能性があります。しかし、どの場面で任せるのか、どこで人間が止めるのか、いつ戦術を変えるのかは、人間が設計しなければなりません。
たとえば、顧客対応のAIエージェントなら、FAQ回答は任せられるかもしれません。しかし、クレーム対応、契約条件、個人情報、法務判断は、権限設計が必要です。営業支援AIなら、提案書のたたき台は作れるかもしれません。しかし、顧客固有の事情や関係性は、人間の経験が必要です。
Agentic AIが進めば進むほど、現場には「AIに任せる判断」と「人間が引き受ける判断」が求められます。ここに、FDE的な人材像が重なります。現場に入り、課題を理解し、AIを道具として使い、成果へつなげる人です。
AGI(Artificial General Intelligence)やASI(Artificial Super Intelligence)が語られる時代だからこそ、人間側のマインドセット、マインドシフト、マインドチェンジが必要です。私はこれを、マインド・トランスフォーメーションとして捉えています。
弱みを知っているチームは、強くなれます
強みを伸ばし、弱みを把握し、リスクを設計に織り込む。「それは危ないのでは」と言える人がいる組織は実は強い。反対意見はブレーキではなく守備の一部です。
日本代表にも弱みはあります。高さの勝負、セットプレー、PK戦、絶対的エース不在への不安。こうした課題を見ないふりして「強い、強い」と言っているだけでは、本当の強化にはなりません。
企業も同じです。生成AIを導入して「便利になった」「すごい」と盛り上がるのはよいのですが、弱みを見なければ危険です。自社データの整備はできているか。AIの出力を検証できる人はいるか。著作権や個人情報の扱いは大丈夫か。現場の人は本当に使い続けられるのか。
DX推進は、楽観だけでは進みません。悲観だけでも進みません。強みを伸ばし、弱みを把握し、リスクを設計に織り込む。この姿勢が必要です。サッカーで相手の高さを警戒するように、企業も自社の弱点を具体的に見なければなりません。
読者の皆さんのチームでは、生成AI活用の弱みを言える空気がありますか。「それは危ないのでは」「その前提は違うのでは」「現場は回らないのでは」と言える人がいる組織は、実は強いのです。反対意見はブレーキではなく、守備の一部です。
日本企業らしい強さを、AI時代にどう生かすか
規律や丁寧さ、現場への配慮、継続改善はAI時代の武器。生成AIでスピードを、AIエージェントで実行力を高め、人間は信頼・合意形成・品質・教育を担います。
私は、日本代表の強さを見ていて、日本企業らしい強さも感じます。個の天才だけで押し切るのではなく、規律、連動、役割理解、周囲への配慮、チーム全体の調和で成果を最大化する。この構造は、日本の企業や社会の強みにも近いと思います。
もちろん、悪い意味での同調圧力や、意思決定の遅さは変えなければなりません。ここははっきり言います。みんなで相談しているうちに機会を失う、誰も責任を取らない、前例がないから動けない。こうした弱みは、AI時代には致命的です。
しかし、日本的な規律や丁寧さ、現場への配慮、継続して改善する力は、AI時代にも大きな武器になります。生成AIを使ってスピードを上げ、AIエージェントで実行力を高めながら、人間側は信頼、合意形成、品質、教育を担う。これが、これからのデジタル・トランスフォーメーションの一つの形だと私は考えています。
インターネット社会では、地球の裏側の情報まで見られます。海外で活躍する選手の試合も追えます。企業も同じで、世界中のAI活用事例、DX推進事例、研修設計、キャリアパス設計を学べます。学ぶ材料はあります。あとは、自社の文脈へ落とし込む力です。
まとめ: 勝てる組織は、全員で次の場所へ動ける
日本代表の強さは連動・切り替え・選手層・予測・柔軟性・規律。DXも生成AIも一人の天才に任せるだけでは続かず、スターを組織力へ変える設計が要ります。
サッカー日本代表の強さは、スター選手がいることだけではありません。守備の連動、攻守の切り替え、選手層、予測力、戦術の柔軟性、そして弱みを把握したうえで戦う規律があります。これは、そのままAI時代の企業にも当てはまります。
DX推進も生成AI活用も、一人の天才に任せるだけでは続きません。チーム全体で学び、役割を分担し、失敗を共有し、リスクを見ながら前へ進む。スター人材は必要です。しかし、そのスターを孤立させず、組織力へ変える設計がもっと必要です。
幸せのレシピとして言えば、強いチームを応援できることは本当に楽しいです。そして、自分たちの組織もそうありたいと思えることが、さらに楽しい。サッカーを見ながら、企業の人材育成やDX推進を考えてしまうのは、私の職業病かもしれません。けれど、こういう気づきが日々の仕事を少し前向きにしてくれます。
さいごに
超知性ASIやAGIが当たり前になる未来に向けて、自分自身をアップデートし続けることが最も重要。DX人材育成やIT教育研修のご相談を歓迎します。
本日の内容が、あなたの「シンギュラリティ時代への準備」に向けた、わずかながらでも気づきや次の一歩のヒントになれたなら幸いです。
10年先の超知性ASIやAGIが当たり前になる未来に向けて、私たち自身をアップデートし続けることが、今最も重要です。ぜひ一緒に学びを深めていきましょう。
「社員のDXマインドをどう高めるか?」「実践的なITスキル教育が進まない」「生成AIやAIエージェントを現場でどう使わせればよいかわからない」など、DX推進担当者の育成やIT教育研修でお悩みでしたら、ぜひ一度お聞かせください。初回無料の「DX推進人材教育プログラム」コンサルティングにご応募いただければ、あなたの組織の課題解決に必ずお役に立ちます。
次回の記事も、どうぞお楽しみに!
よくある質問
重要なキーワード解説
マインド・トランスフォーメーション
AI時代に必要な思考と行動の変革。
マインド・トランスフォーメーションは、AI時代に必要な思考と行動の変革です。新しいツールを使うだけではなく、判断、合意形成、学習、失敗の扱い方を変えていくことが重要です。サッカー日本代表のように、個の力を組織力へ変える発想は、企業のDX推進でも欠かせません。
AIエージェント
目的に沿って調査・整理・実行・検証を進める仕組み。
AIエージェントは、目的に沿って調査、整理、実行、検証を進める仕組みです。導入する際は、どこまで任せるか、どこで人間が確認するか、リスクを誰が見るかを設計する必要があります。強い組織は、AIを単独のスターではなく、チームの一員として機能させます。
デジタル人材
業務を理解し、データやAIを使い、成果へつなげる人材。
デジタル人材とは、ITツールを操作できる人だけではありません。業務を理解し、データやAIを使い、関係者と合意し、成果へつなげる人材です。リスキリングやスキルチェンジでは、役割ごとの学習導線とキャリアパスを設計することが大切です。
著者紹介
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近森満(ちかもり みつる)
株式会社サートプロ 代表取締役CEO / DXコンサルタント/IT人材育成/検定事業化
IT技術者の教育支援と人材育成を専門とする事業化コンサルタントとして、2006年に株式会社サートプロを創業し、IoT検定・+DX認定・アジャイル検定などの資格制度を創出。独自の技術者向け教育研修の開発に定評があり、実践的なスキル向上を支援。経済産業省DX推進ラボおよびIoT推進ラボのメンターとして自治体や中小企業のDX推進を支援。近年は超知性ASIスキル可視化にも取り組み、次世代技術の普及に注力している。 |
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