後進の育成をいとわない。追い越されることを喜べる人が次の時代をつくる

後進の育成と、追い越されることを喜ぶリーダーシップ
後進の育成をいとわない。追い越されることを喜べる人が次の時代をつくる

知識、経験、人脈、そして失敗まで、次の世代へ惜しまず渡す。

3つ
現場で実行する原則
90日
実践ロードマップ
30日
ロードマップ各段階

note原文公開:2026-10-26 / 転載・編集:2026-11-03
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この記事でわかること
  • 「後進」とは、後ろから進んでくる人
  • 村上憲郎さんから受け取った言葉
  • 教えると追い越される。それでいい

〖記事概要〗

知識、経験、人脈、そして失敗まで、次の世代へ惜しまず渡す。元Google副社長 兼 元Google日本法人社長の村上憲郎さんから教わった「後進の育成をいとわない」という言葉は、AIで変化が加速する今こそ重みを増しています。育てた人に追い越されることは、価値を失うことではありません。自分の経験を社会の前進へつなぐ、これからのリーダーと専門家の役割を考えます。

〖本文〗

「後進」とは、後ろから進んでくる人

後進の育成という言葉は、単に若い人へ仕事を教えることではありません。

後進の育成という言葉は、単に若い人へ仕事を教えることではありません。自分の後から歩いてくる人へ、知識、経験、人脈、失敗から得た判断まで渡すことです。教える相手は年下とは限りません。新しい分野へ入る人、別の役割へ挑戦する人も後進です。

「いとわない」には、嫌がらない、惜しまないという意味があります。自分だけが知っていることで立場を守るのではなく、次の人が早く前へ進めるように差し出す。その生き方まで含んだ言葉だと私は受け止めています。

村上憲郎さんから受け取った言葉

この言葉を私へ強く残してくださったのが、元Google副社長 兼 元Google日本法人社長の村上憲郎さんです。

この言葉を私へ強く残してくださったのが、元Google副社長 兼 元Google日本法人社長の村上憲郎さんです。IoT検定制度委員会や地域のIoT推進活動を通じてご縁をいただき、加賀市での講演や協議会にも力を貸していただきました。

世界の技術変化を見てきた方が、経験を囲い込まず、次の人へ渡そうとする。その姿から私は、肩書きや報酬の話を超えた責任を学びました。自分が受け取ったものを、自分のところで止めない。それが後進育成の出発点です。

教えると追い越される。それでいい

AIやデジタルの分野では、若い人や新しく参加した人が、驚くほど速く知識を吸収します。

AIやデジタルの分野では、若い人や新しく参加した人が、驚くほど速く知識を吸収します。昨日まで教えていた相手が、今日は自分より詳しい。そのとき、不安になって情報を出し惜しみすれば、組織全体の成長を止めてしまいます。

追い越されることは、自分の役割が終わることではありません。次の人が先へ進んだ分だけ、自分も新しい問いへ移れます。育てた人が自分には見えなかった景色を見せてくれる。人材育成は競争相手を増やす行為ではなく、未来を一緒に作る仲間を増やす行為です。

成功だけでなく失敗を渡す

後進へ伝えるべきなのは、完成した成功談だけではありません。

後進へ伝えるべきなのは、完成した成功談だけではありません。何を見落としたか、誰に助けられたか、判断を誤ったとき何が起きたか。失敗の背景まで共有することで、次の人は同じ遠回りを避けられます。

失敗を語ると、自分の評価が下がるように感じるかもしれません。しかし、条件と判断を言語化できる人ほど信頼されます。生成AIで知識そのものは手に入りやすくなりました。だからこそ、経験から得た文脈と責任の感覚を渡す価値が高まっています。

速い技術変化には、世代を越えた学びが必要

コンピューター、インターネット、スマートフォン、IoT、生成AI、AIエージェント。

コンピューター、インターネット、スマートフォン、IoT、生成AI、AIエージェント。変化の周期はドッグイヤーを超えています。一人がすべてを学び切ることはできません。ベテランの経験と若い世代の吸収力を組み合わせる必要があります。

ベテランは顧客、品質、例外、責任を知っています。若い人は新しい道具を恐れず、試行回数を増やせます。どちらが上ではなく、互いに教え合う関係を作る。後進育成は一方向の講義ではなく、世代間の共同学習です。

教育は、社会への返礼でもある

私自身、企業向けだけでなく大学や高専、地域の場で話す機会をいただいています。

私自身、企業向けだけでなく大学や高専、地域の場で話す機会をいただいています。時間や採算だけを考えれば、簡単ではありません。それでも、これまで多くの方から受け取った知識や機会を次へ返す意味があります。

一度の講義ですべてが変わるわけではありません。しかし、一人が新しい選択肢を知り、一歩を踏み出せば、その人が次の誰かへ伝えます。経験と言葉が転がり、別の場所で力になる。その連鎖を信じて、後進の育成をいとわない姿勢を持ち続けたいと思います。

現場で実行するための三つの原則

取り組みの目的を「知識と経験を次世代へ渡す」と置き、誰のどんな状態を変えるのかを一文で定義します。

第一に、目的と対象者を一文で決める

取り組みの目的を「知識と経験を次世代へ渡す」と置き、誰のどんな状態を変えるのかを一文で定義します。

取り組みの目的を「知識と経験を次世代へ渡す」と置き、誰のどんな状態を変えるのかを一文で定義します。生成AIを使う、研修を行う、システムを作るという手段を目的にしないことが重要です。目的が具体的なら、必要なデータ、関係者、期限、確認方法を選びやすくなります。

目的は経営だけで決めず、現場の言葉で確認します。会議室では正しく見えた課題も、実際の作業を見ると例外や制約が見つかります。利用者へ「何が一番困るか」「どこで手戻りが起きるか」と聞き、観察できる事実へ直します。

第二に、小さく試して事実を残す

最初から全社展開せず、失敗しても業務全体を止めない範囲で試します。

最初から全社展開せず、失敗しても業務全体を止めない範囲で試します。時間、品質、手戻り、確認負担、利用者の反応を記録します。成功例だけでなく、使えなかった条件や誤りも残してください。失敗を隠すと、別の部署が同じ失敗を繰り返します。

生成AIにはハルシネーションがあります。もっともらしい誤りを出す可能性があるため、出力を正解として受け取らず、出典、数字、権利、機密、相手の文脈を確認します。影響の大きい判断は人が承認し、AIと人の役割を明確にします。

第三に、学びを仕組みへ戻す

一人の工夫で終わらせず、手順、研修、権限、評価制度へ反映します。

一人の工夫で終わらせず、手順、研修、権限、評価制度へ反映します。誰が実行し、誰が確認し、問題が起きたら誰へ相談するかを決めます。再利用できる形へ変えることで、経験は組織の資産になります。

挑戦を求めながら、評価が短期の数字と失敗の少なさだけなら、人は従来業務を選びます。仮説を立てた、早く相談した、問題を共有した、次の人が使える記録を残したという学習行動も評価してください。

90日で始める実践ロードマップ

対象業務を一つ選び、現在の時間、品質、コスト、手戻り、不安を記録します。

最初の30日:現状と基準値を知る

対象業務を一つ選び、現在の時間、品質、コスト、手戻り、不安を記録します。

対象業務を一つ選び、現在の時間、品質、コスト、手戻り、不安を記録します。数字だけでなく、現場担当者と顧客へ短いインタビューを行い、どの判断に迷うのか、どんな例外があるのかを言葉にします。

次の30日:代替案を小さく試す

既存ツールの使い方を変える、生成AIで下書きを作る、チェックリストを整えるなど、低いリスクの案から試します。

既存ツールの使い方を変える、生成AIで下書きを作る、チェックリストを整えるなど、低いリスクの案から試します。技術の新しさではなく、目的との適合、確認負担、安全性を比較します。

最後の30日:続ける条件を決める

継続、修正、中止の条件を決めます。

継続、修正、中止の条件を決めます。成果が出た理由だけでなく、データ不足、責任者の曖昧さ、現場理解の不足など、うまくいかなかった条件も共有します。運用責任者と次の見直し日を決めてから広げます。

AI時代に必要なのは、技術とマインドセットの両方

ツールの操作だけ学んでも、仕事の目的や責任が変わらなければ成果は続きません。

ツールの操作だけ学んでも、仕事の目的や責任が変わらなければ成果は続きません。問いを立てる、試す、確かめる、説明する、次の人へ渡す。その一連の行動を育てることが、AI時代の人材育成・教育支援です。

スキルセットの更新と同時に、自分の前提を見直すマインドシフトが必要です。AIに任せる仕事、人が担う判断、顧客へ提供する価値を考え直す。その積み重ねがマインド・トランスフォーメーションにつながります。

人や組織の前提を更新するときの参考として、私の著書『マインド・トランスフォーメーション AI時代の思考革命』も、必要に応じて手に取っていただければと思います。

明日から始める小さな一歩

大きな構想が完成するまで待つ必要はありません。

大きな構想が完成するまで待つ必要はありません。困りごとを一つ聞く、経験を一つ言語化する、AIへ任せる範囲を一つ決める、確認者を一人決める。目的と責任が明確な小さな一歩は、次の改善と対話を生みます。

技術の進化を眺める側ではなく、現場の価値へ変える側へ進んでください。読者の皆さんの職場で、今日いちばん小さく始められる行動は何でしょうか。

〖重要なキーワード解説〗

後進育成

自分の後から進む人へ、知識・経験・人脈・失敗を渡し、成長を支えることです。

自分の後から進む人へ、知識・経験・人脈・失敗を渡し、成長を支えることです。

暗黙知

経験の中にあり、言葉や手順として共有されていない判断や工夫です。

経験の中にあり、言葉や手順として共有されていない判断や工夫です。

世代間学習

異なる世代が互いの経験と新しい知識を交換し、ともに学ぶ関係です。

異なる世代が互いの経験と新しい知識を交換し、ともに学ぶ関係です。

知識継承

個人が持つ知識を、組織や社会で再利用できる形へ変えて受け渡すことです。

個人が持つ知識を、組織や社会で再利用できる形へ変えて受け渡すことです。

〖著者紹介〗

こんにちは、IT・DX教育サービスの株式会社サートプロ 近森満です。

■株式会社サートプロ 代表取締役CEO

■所属・役職

・IoT検定制度委員会 事務局長(IoT検定、+DX認定、超知性ASI検定)

・一般社団法人 IT職業能力支援機構 理事長(Android資格)

・電気・電子系技術者育成協議会 副理事長(E検定)

・組込みソフトウェア管理者技術者育成研究会 メンバー(組込み)

・ET教育フォーラム合同会社 代表(コンテンツ制作)

・経済産業省 地方版IoT推進ラボ ビジネス創出事業メンター(IoT支援)

・経済産業省 地域DX推進ラボ ビジネス創出事業メンター(DX支援)

・デジタル庁 デジタル推進委員(デジタル化支援)

・DX事業共同組合 設立理事(DX推進)

・一般社団法人日本サステナブルビジネス機構 幹事(SDGs認証)

・”一億総活躍社会を実現する”共生日本協議会 理事(DEI支援)

・アジャイル開発技術者検定試験コンソーシアム 事務局長(Agile検定)

・一般社団法人国際サイバーセキュリティ協会 事務局長(IACS認定)

AI導入や人材育成を自社の課題に合わせて進めたい方は、DX・AI人材育成のご相談もご覧ください。

〖音声配信〗

2年先の未来を先取り。AI・DX・超知性ASI時代のデジタル戦略を読み解くPodcast「DX企画書のネタ帳」。未来を先取りする実践的なヒントを毎日お届けしています。

今回の音声配信はSpotifyで聴くことができます。

#人材育成 #後進育成 #知識継承 #村上憲郎 #生成AI #リスキリング #次世代育成 #キャリア形成 #DX推進 #マインドトランスフォーメーション

よくあるご質問

「「後進」とは、後ろから進んでくる人」で押さえる点は?

後進の育成という言葉は、単に若い人へ仕事を教えることではありません。

「村上憲郎さんから受け取った言葉」で押さえる点は?

この言葉を私へ強く残してくださったのが、元Google副社長 兼 元Google日本法人社長の村上憲郎さんです。

「教えると追い越される。それでいい」で押さえる点は?

AIやデジタルの分野では、若い人や新しく参加した人が、驚くほど速く知識を吸収します。

「成功だけでなく失敗を渡す」で押さえる点は?

後進へ伝えるべきなのは、完成した成功談だけではありません。

「速い技術変化には、世代を越えた学びが必要」で押さえる点は?

コンピューター、インターネット、スマートフォン、IoT、生成AI、AIエージェント。

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