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生成AI時代の新しい職業FDE。日本のSES文化を成果創出モデルへ変える方法

2026年8月31日




CONCEPT

生成AI時代の新しい職業FDE
日本のSES文化を成果創出モデルへ変える方法

海外のFDEをそのまま輸入するのではなく、日本のSES・SI・ITベンダー文化をどう成果創出モデルへ変えるか。サッカーの布陣にたとえ、前線・守り・つなぎ・司令塔の役割を整理します。
一人でなく
役割の束・チーム
現場密着
SES文化を資産に
日本型
成果創出モデル
生成AI時代の新しい職業FDE。日本のSES文化を成果創出モデルへ変える方法
📅 2026年6月6日
✍️ 近森 満(株式会社サートプロ 代表取締役CEO)

#FDE
#SES
#スキル標準

SUMMARY
■ 記事概要
生成AIとAIエージェントの時代に、企業の現場で本当に必要になる職業は何でしょうか。私はその一つが、FDE(Forward Deployed Engineer)だと考えています。海外で語られるFDEをそのまま輸入するのではなく、日本のSES、SI、ITベンダー文化をどう成果創出モデルへ変えていくのか。サッカーのフォーメーションをたとえにしながら、現場に入る人、守る人、つなぐ人、司令塔になる人の役割を整理します。

✅ この記事でわかること
・FDEを天才像でなく役割とチーム構造で捉える視点
・海外FDEと日本の現場文化の違い
・サッカーの布陣(前線・守り・つなぎ・司令塔)で考えるFDE
・SES文化を成果創出モデルへ変える方法
・中小企業でも現実的な日本型FDEモデル

📑 目次
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1FDEは、単なる「すごいエンジニア」ではありません
2海外のFDEと日本の現場文化は、同じではありません
3サッカーのフォーメーションでFDEを考える
4事例:SES文化が、FDEの前線力に変わる場面
5生成AIは、使う場所によって機能が違います
6事例:Web版・アプリ版・CLI版の違いを知らない現場の混乱
7中小企業に「月100万円のFDE」は現実的ではありません
8事例:社長自身が「自分が受験する」と言った場面
9スキル標準の次に、生成AI時代の人材モデルが必要です
10FDEはエンジニアだけのキャリアではありません
11「あるものを使え」。日本のIT文化を再定義する
12まとめ:FDEは日本企業のDX推進を現場から変える職業
Qよくある質問(FAQ)
SECTION 01

FDEは、単なる「すごいエンジニア」ではありません

📌 ポイント
FDEを一人の天才像として神格化せず、役割とチーム構造で考えます。前線・守り・つなぎ・司令塔という布陣で捉えると、日本のIT業界にかなりなじみやすくなります。

生成AIとAIエージェントの話をしていると、最近よく出てくる言葉があります。FDE、Forward Deployed Engineerです。直訳すれば、前線に配置されたエンジニア。もう少し現場の言葉で言えば、お客様の目の前に立って、課題を聞き、技術を選び、動くものを作り、成果が出るところまで一緒に進める人です。

ただ、ここで注意したいのは、FDEを「何でもできるスーパーエンジニア」として神格化しすぎないことです。そういう人は確かにいます。でも、そんな人が日本中の中小企業に何万人もいるわけではありません。皆さんの会社でも、生成AIも業務も経営も顧客折衝も全部わかっていて、さらに現場に入ってくれる人をすぐに採用できますか。なかなか難しいですよね。

だから私は、FDEを一人の天才像としてではなく、役割とチーム構造として考える必要があると思っています。ここでは、FDEをサッカーのフォーメーションにたとえて整理してみます。前線に立つフォワード、守りを固めるディフェンス、全体をつなぐミッドフィルダー、後ろから指示を出すゴールキーパー。FDEも、こうした役割分担で考えると、日本のIT業界にかなりなじみやすくなるのです。

SECTION 02

海外のFDEと日本の現場文化は、同じではありません

📌 ポイント
日本のコンサル・SIer・SESが客先で泥臭く支援してきた「現場に行く文化」は、生成AI時代には大きな資産。曖昧な悩みを拾い、どこにAIを入れれば効くかを考える土台になります。

海外で語られるFDEのイメージは、優秀なエンジニアがお客様の現場に入り、プロダクトと業務をつないで成果を出すというものです。ところが、音声でも少し冗談めかして話しましたが、海外では優秀なエンジニアほど現場に行きたがらない、という話もあります。もちろん一概には言えません。ただ、日本の文化とは少し違うのです。

日本では、IT企業のコンサルタントも、SIerも、SESのエンジニアも、お客様先に行って、膝を突き合わせて、泥臭く仕事をしてきました。これまでのSES文化には課題もありました。人月商売、下請け構造、技術者の評価の難しさ。私もそこはきれいごとで済ませるつもりはありません。

でも、今の生成AI時代に見方を変えると、この「現場に行く文化」は大きな資産にもなります。お客様の目の前で話を聞く。曖昧な悩みを拾う。業務の流れを見ながら、どこにAIを入れれば効くのかを考える。これまで当たり前にやってきたことが、FDEの土台になり得るのです。

参考URL
FDE検定制度に関する発表も公開されています。制度の背景は、PR TIMESのリリースと、IoT検定制度委員会(iotcert.org)の案内も見ていただくと、文脈がつかみやすいと思います。

SECTION 03

サッカーのフォーメーションでFDEを考える

📌 ポイント
FDEはフォワード(前線)・ディフェンス(守り)・ミッドフィルダー(つなぎ)・司令塔の複数機能を持ちます。一人に背負わせず布陣として設計するのが日本企業の現実解です。

FDEを理解するには、サッカーのポジションで考えるとわかりやすいです。少し脱線っぽく聞こえるかもしれませんが、私はこのたとえがかなり使えると思っています。なぜなら、FDEは単独の職種名でありながら、実際には複数の機能を持つからです。

まずフォワードです。ここはまさに前線に立つ人です。お客様の現場に行き、課題を聞き、生成AIやAIエージェントをどう使うかを具体化します。きれいな提案書だけを作る人ではありません。時にはその場でプロトタイプを作り、時には担当者の横に座って、業務の詰まりを一緒にほどく人です。

次にディフェンスです。ここは守りの部分です。最新のAIをただ入れればよいわけではありません。セキュリティ、個人情報、失敗パターン、幻覚リスク、社内ルール、権限管理。こうしたものを下支えしなければ、生成AI導入はすぐに危うくなります。現場で「使える」と「安心して使える」は違います。ここを守る人がいなければ、前線は無理をしすぎます。

そしてミッドフィルダーです。私はここが特に人数として多くなると思っています。業務テンプレート、カスタムGPT、プロンプト、ナレッジ、FAQ、業務分担、教育コンテンツ。こうしたものを整理し、現場と技術者をつなぐ役割です。表には出にくいですが、ここが機能しないとFDEチームは空回りします。

最後に司令塔です。ゴールキーパーやボランチのように、後ろから全体を見る人と言ってもよいかもしれません。プロジェクト全体、顧客の期待値、リスク、コスト、育成方針を見ながら、どこに人を置くか、どこを強化するかを判断する役割です。FDEを一人で背負わせるのではなく、こうしたフォーメーションとして設計する。ここが日本企業にとっての現実解だと思います。

CASE STUDY

事例:お客様先に張り付くSES文化が、FDEの前線力に変わる場面

📌 ポイント
現場に常駐する人は表面の要望の裏にある本当の困りごとに気づけます。SES文化をそのまま守るのでなく、現場にいる強みをAI時代の成果創出へ変換することが前線力になります。

音声の中で、私はSESの話をしました。担当者が現場にいて、月額の委託費をもらいながら、コツコツと仕事をしたり、時にはゴリゴリと進めたりする。昔ながらの言い方をすれば人月商売です。そこだけを切り取ると古く見えるかもしれません。

しかし、生成AIの導入現場では、この現場密着が急に意味を持ちます。たとえば、お客様が「議事録をAIで楽にしたい」と言ったとします。でも実際に現場へ行くと、困っているのは議事録そのものではなく、会議後のタスク化、関係部署への共有、過去資料との照合だったりします。表面の要望だけを聞くとツール導入で終わりますが、現場にいる人は違和感に気づけます。

ここでFDE的な人は、単に「ChatGPTを使いましょう」と言いません。会議の流れを見て、誰が何を入力しているか、どの情報が二重管理になっているか、どこで確認漏れが起きているかを観察します。そのうえで、議事録生成、タスク抽出、社内ナレッジ検索、メール下書きまでを小さくつなげる。これが前線力です。

教訓は明確です。SES文化をそのまま守るのではなく、現場にいる強みをAI時代の成果創出へ変換することです。読者の皆さんの現場でも、ただ常駐している人はいませんか。その人が業務を一番よく見ているなら、FDE候補として育てる価値があります。

SECTION 05

生成AIは、使う場所によって機能が違います

📌 ポイント
同じ生成AIでもWeb・アプリ・CLIでできることは違います。FDEはツール名を並べる人ではなく、現場に合う入口を選ぶ人。ミッドフィルダー的な集約役が前線を支えます。

今回の音声で私が強調したかったことの一つに、生成AIの使い方の違いがあります。多くの人は、ChatGPTをWebブラウザで使います。これは一番わかりやすい形です。ところが実際には、PCアプリ、スマートフォンアプリ、そしてターミナルやCLIのような黒い画面で使う形もあります。

同じChatGPT、同じ生成AIに見えても、できることが違います。Webでできること、アプリで便利なこと、CLIだからこそ自動化できること。一般の方には、この違いがなかなか見えません。ここで「それ、実は別の使い方ならできますよ」と言える人が必要になります。

皆さんも経験がありませんか。現場の人は「AIで何ができるのか」と聞きます。でも、質問の裏側には「自分の業務のこの面倒な部分をどうにかしたい」という具体的な困りごとがあります。FDEは、ツール名を並べる人ではありません。Web、アプリ、CLI、API、業務システム、ナレッジ基盤を見ながら、現場に合う入口を選ぶ人です。

ここでミッドフィルダー的な役割が効いてきます。プロンプトの雛形、業務テンプレート、カスタムGPT、社内ナレッジ、失敗事例。こうしたものを集約し、必要な人に届ける。前線の人が毎回ゼロから考えなくてもよいようにする。これがチームとしてのFDEです。

CASE STUDY

事例:Web版、アプリ版、CLI版の違いを知らない現場で起きる混乱

📌 ポイント
生成AIを便利なチャット画面だけで理解すると個人の効率化で止まります。自社が使う生成AIをWeb・アプリ・CLI・API・業務システム連携のどの入口で使っているか棚卸しを。

ある現場で、生成AIを導入したのに成果が出ないという相談があったとします。担当者はWebブラウザでChatGPTを開き、文章を作らせたり、要約させたりしています。もちろん、それだけでも便利です。でも、毎週同じ資料を読み、同じ形式でレポートを作り、同じ関係者に送る作業をしているなら、Webブラウザで毎回手入力するだけでは限界があります。

ここでFDEは、単に「もっと良いプロンプトを書きましょう」とは言いません。PCアプリならファイル連携が楽になるかもしれない。CLIならフォルダ内の資料をまとめて処理できるかもしれない。APIやワークフローを使えば、定期的な報告作成を半自動化できるかもしれない。使う入口が変わると、業務設計そのものが変わります。

この事例でのリスクは、生成AIを「便利なチャット画面」だけで理解してしまうことです。それでは、個人の小さな効率化で止まります。教訓は、AI活用をツール教育だけにしないことです。読者が応用するなら、自社で使っている生成AIを、Web、アプリ、CLI、API、業務システム連携のどの入口で使っているか棚卸ししてみてください。意外と、伸びしろは入口の選び方にあります。

SECTION 07

中小企業に「月100万円のFDE」は現実的ではありません

📌 ポイント
全部を一人で背負う人を探すのでなく、前線・守り・つなぎ・司令塔を分け、外部人材・社内担当者・教育機関・業界団体を組み合わせる。FDEは「役割の束」として広げます。

FDEが必要だと言うと、すぐに「では専門人材を雇いましょう」「高単価で外部に頼みましょう」という話になりがちです。大企業ならそれも一つの選択肢です。しかし、中小企業や小規模企業では、月100万円の人材をずっと置くのは簡単ではありません。

だからこそ、日本型のFDEモデルが必要です。サッカーのフォーメーションで言えば、全部を一人で背負う人を探すのではなく、ある程度わかっている人が現場に入り、後方支援とつながりながら成果を出す形です。前線、守り、つなぎ、司令塔を分けて考える。外部人材、社内担当者、教育機関、業界団体が組み合わさる。これなら現実味があります。

私は、FDEを「一社に一人の特殊人材」としてではなく、「企業を支える新しい役割の束」として広げたいと思っています。もちろん最終的には、個人がFDEとして名乗れるスキルセットやキャリアパスも必要です。ただ、その前に企業側が役割を理解しないと、また資格だけ、研修だけ、ツールだけで終わってしまいます。

CASE STUDY

事例:社長自身が「自分が受験する」と言った場面

📌 ポイント
FDE育成は技術者研修だけでは足りません。経営者・管理職・人事・現場リーダーも一緒に学ぶこと。FDEはエンジニア採用でなく、成果創出の組織設計だと経営層に伝えることが要です。

音声の中で、私はある業界団体の教育委員会での話をしました。SES、アプリ開発、自社製品開発などを行う会社が集まる場で、FDE検定会を立ち上げようとしている、委員会としてしっかりやろうとしている、とお話ししたのです。

すると、その場にいた会社の社長が「じゃあ僕が受験するよ」「ぜひ私に教育をしてくれ」と言ってくださった。私は正直、すごいなと思いました。普通なら「近森さん、応援するよ」で終わるかもしれません。でもその方は、自分で体験し、会社の中に落とし込もうとしていたのです。

ここで起きたことは、単なる受験の意思表示ではありません。経営者自身が、新しい職種やスキルモデルを外から眺めるのではなく、自分の身体で理解しようとした。これが重要です。FDEを社内に入れるとき、現場担当者だけに任せると、権限の壁にぶつかります。経営者が理解していなければ、業務変更も、投資判断も、人材評価も進みにくいからです。

この事例の教訓は、FDE育成は技術者研修だけでは足りないということです。経営者、管理職、人事、現場リーダーも一緒に学ぶ必要があります。読者の皆さんが人材育成やDX推進を担っているなら、まず経営層に「FDEはエンジニア採用の話ではなく、成果創出の組織設計です」と伝えてください。

SECTION 09

スキル標準の次に、生成AI時代の人材モデルが必要です

📌 ポイント
ITSS・ETSS・UISS・デジタルスキル標準の蓄積の先に、生成AIを成果に結びつける人材像はまだ十分定義されていません。「業務を変えられる人」まで含めて定義すべきです。

日本では、ITSS、ETSS、UISSといったスキル標準が整備されてきました。ITスキル標準、組込みスキル標準、ユーザースキル標準。さらに近年では、DX時代の人材像としてデジタルスキル標準も整備されています。これはとても大事な蓄積です。

では、生成AI時代はどうでしょうか。ChatGPT、AIエージェント、Agentic AI、業務自動化、ナレッジ活用、プロンプト設計、セキュリティ、ガバナンス。これらを企業の成果に結びつける人材像は、まだ十分に定義されていません。だからこそ、FDEという考え方が出てきたのだと思います。

ここで大事なのは、適当に資格を作ることではありません。私も検定制度に関わる立場として、そこは強く意識しています。キャリアパス、スキルセット、実務経験、教育内容、評価方法。これらを現場に耐える形で整理する必要があります。資格はゴールではなく、学びと実践をつなぐ入口です。

読者の皆さんに問いかけたいのですが、皆さんの会社では「生成AIを使える人」をどう定義していますか。プロンプトが書ける人でしょうか。ツールに詳しい人でしょうか。業務を変えられる人でしょうか。私は、最後の「業務を変えられる人」まで含めて考えるべきだと思っています。

SECTION 10

FDEはエンジニアだけのキャリアではありません

📌 ポイント
人事・研修設計・営業企画・カスタマーサクセス・情シス・DX推進の人もFDE的に動けます。現場を知る非エンジニアがFDEマインドを持つことは日本企業にとって大きな意味があります。

FDEという名前にはEngineerと入っています。ですから、どうしてもエンジニア向けの職種に見えます。しかし、日本でこの役割を広げるなら、エンジニアだけに閉じないほうがよいと思っています。

たとえば、業務に詳しい人事担当者、研修設計者、営業企画、カスタマーサクセス、情報システム部門、DX推進担当。こうした人たちが生成AIの基礎を学び、AIエージェントの使い方を理解し、現場で業務を変える力を持てば、FDE的に動くことができます。もちろん、深い開発が必要な場面ではエンジニアの力が要ります。しかし、入口はもっと広くてよいのです。

むしろ、現場を知っている非エンジニアがFDE的なマインドを持つことは、日本企業にとって大きな意味があります。現場の言葉を技術の言葉に翻訳し、技術の可能性を現場の行動に落とす。ここにマインド・トランスフォーメーションがあります。単なるマインドセットではなく、仕事の見方そのものを変えることです。

SECTION 11

「あるものを使え」。日本のIT文化を再定義する

📌 ポイント
ゼロから理想論を語っても現場は動きません。SES・SI・業界団体という既存の仕組みを再定義し、成果創出・実装支援・教育と認定の場へ変えることが現実的な一歩です。

音声の最後のほうで、私は「あるものを使え」という感覚を話しました。これまでの日本のIT業界には、子会社、別会社、SES、人月モデル、業界団体、教育委員会、検定制度など、いろいろな仕組みがあります。昔は古いと言われたものもあります。私自身も、課題があることはわかっています。

しかし、生成AI時代にゼロから理想論だけを語っても、現場は動きません。すでにある仕組みを使い、再定義し、成果創出につなげることが大切です。SESをただの人月商売で終わらせるのではなく、現場密着型のFDE育成基盤に変える。SIを受託開発だけで終わらせるのではなく、AIエージェント導入の実装支援に変える。業界団体を情報交換だけで終わらせるのではなく、教育と認定の場に変える。

皆さんの会社にも、古いと思っている仕組みがあるかもしれません。でも、それは本当に捨てるべきものでしょうか。生成AI時代の視点で見直すと、むしろ強みに変わるかもしれません。

CONCLUSION

まとめ:FDEは、日本企業のDX推進を現場から変える職業です

✓ 結論
お客様の現場に入り泥臭く支援してきた日本の文化を生成AI時代に再定義すれば、FDEはDX推進の非常に現実的なキャリアパスになります。一人の天才でなくチームとして設計することが要です。

FDEは、海外から来た流行語として消費するにはもったいない概念です。日本には、お客様の現場に入り、泥臭く支援し、業務を見ながら改善してきた文化があります。その文化を、生成AIとAIエージェントの時代に合わせて再定義すれば、FDEは日本企業のDX推進にとって非常に現実的なキャリアパスになります。

ただし、FDEは一人の天才を探す話ではありません。前線に立つ人、守る人、つなぐ人、司令塔になる人。チームとして設計し、スキル標準として整理し、研修講座やeラーニング、検定、実務経験と結びつける必要があります。

私自身、FDEの教育を作りますし、検定も進めます。みんなで盛り上げていきたいと思っています。生成AI時代に「できる人」を増やすのではなく、現場で成果を出せる人を増やす。そのための新しい人材育成・教育支援として、FDEを育てていきたいのです。

今日の問いは一つです。皆さんの会社で、前線に立ち、現場とAIをつなぎ、成果まで責任を持てる人は誰でしょうか。その人を、明日からFDE候補として見てみてください。そこから、組織の変化は始まります。

さいごに
FDEの可能性と日本での実現方法は、まだ入口に立ったばかりです。ほぼ毎日のようにFDEについて考え、協力者、パートナー、一緒に取り組む方々の視点も交えながら、これから少しずつ具体化していきます。ぜひ皆さんも、ご興味を持っていただければうれしいです。

▶ FDE・DX推進について相談する DXブログを読む
FAQ

よくある質問

📌 ポイント
海外FDEとの違い、専門人材を雇えない場合、SES文化変革の効果、成果が出ない原因、相談・参加の可否まで、検討時の疑問を順に整理しました。

Q1:海外のFDEと日本で必要なFDEは何が違うのですか?
海外では優秀なエンジニアが現場に行きたがらない傾向もありますが、日本にはコンサルもSIerもSESも客先で泥臭く支援してきた「現場に行く文化」があります。この現場密着を成果創出へ変換できる点が、日本型FDEの強みであり違いです。

Q2:月100万円の専門人材を雇えなくてもFDEを導入できますか?
はい。全部を一人で背負う天才を探すのではなく、前線・守り・つなぎ・司令塔の役割をチームで分ける日本型FDEモデルが現実的です。外部人材、社内担当者、教育機関、業界団体を組み合わせれば、中小企業でも導入できます。

Q3:SES文化をFDEモデルに変えるとどんな効果がありますか?
現場に常駐し業務を一番よく見ている人が、表面の要望の裏にある本当の困りごとに気づけます。議事録生成やタスク抽出、ナレッジ検索を小さくつなぎ、現場密着の強みを成果創出へ変換できるため、人月商売を成果創出モデルへ進化させられます。

Q4:生成AI導入で成果が出ない典型的な原因は何ですか?
生成AIを「便利なチャット画面」だけで理解し、Web版で毎回手入力するにとどまることです。Web・アプリ・CLI・API・業務システム連携という入口の選び方で業務設計は変わります。どの入口で使っているか棚卸しすると伸びしろが見えます。

Q5:FDE検定や教育について相談・参加できますか?
はい。FDEは技術者研修だけでなく経営者・管理職・人事・現場リーダーも一緒に学ぶ組織設計です。教育も検定も進めており、協力者やパートナーも歓迎です。初回無料の「DX推進人材教育プログラム」コンサルティングもご用意しています。

KEYWORD

重要なキーワード解説

📌 ポイント
本記事の「FDE」「AIエージェント」「デジタルスキル標準」「マインド・トランスフォーメーション」の4語を、実務の文脈でやさしく解説します。

FDE(Forward Deployed Engineer)

📌 一行定義
現場で業務課題と技術をつなぎ、成果まで伴走するエンジニア型の役割。

お客様の現場に入り、業務課題と技術をつなぎ、成果が出るところまで伴走するエンジニア型の役割です。日本では、SES、SI、ITベンダー文化を再定義することで、現場密着型のFDEモデルを作れる可能性があります。

AIエージェント

📌 一行定義
目的に向けて複数の処理を進めるAI活用の形。

人の指示を受けて単発の回答を返すだけでなく、目的に向けて複数の処理を進めるAI活用の形です。FDEは、AIエージェントを現場の業務フローにどう組み込むかを設計する役割を担います。

デジタルスキル標準

📌 一行定義
DX時代に必要な人材像やスキルを整理するための標準。

DX時代に必要な人材像やスキルを整理するための標準です。生成AI時代には、この延長線上で、FDEのような現場実装型のキャリアパスをどう定義するかが重要になります。

マインド・トランスフォーメーション

📌 一行定義
仕事の見方・役割の捉え方・成果への責任の持ち方を変えること。

ツールを覚えるだけでなく、仕事の見方、役割の捉え方、成果への責任の持ち方を変えることです。FDE育成では、技術スキルと同じくらい、このマインドの転換が重要です。

🎙️ この内容はSpotify Podcast「DX企画書のネタ帳」でも配信中です。

▶ 生成AI&AIエージェント時代の新しい職業とは? FDEの可能性と日本での実現方法

現場で使える視点を音声でお届けしています。ぜひ合わせてお聴きください。

関連ハッシュタグ
#FDE #生成AI #AIエージェント #DX推進 #デジタル人材 #リスキリング #キャリアパス #SES #スキル標準 #人材育成

AUTHOR

著者紹介

近森 満(ちかもり みつる)
株式会社サートプロ 代表取締役CEO / DXコンサルタント/IT人材育成/検定事業化

IT技術者の教育支援と人材育成を専門とする事業化コンサルタントとして、2006年に株式会社サートプロを創業し、IoT検定・+DX認定・アジャイル検定などの資格制度を創出。独自の技術者向け教育研修の開発に定評があり、実践的なスキル向上を支援。経済産業省DX推進ラボおよびIoT推進ラボのメンターとして自治体や中小企業のDX推進を支援。近年は超知性ASIスキル可視化にも取り組み、次世代技術の普及に注力している。

近森満
■所属・役職
・IoT検定制度委員会 事務局長(IoT検定・+DX認定・超知性ASI検定)
・一般社団法人 IT職業能力支援機構 理事長(Android資格)
・電気・電子系技術者育成協議会 副理事長(E検定)
・組込みソフトウェア管理者技術者育成研究会 メンバー(組込み)
・ET教育フォーラム合同会社 代表(コンテンツ制作)
・経済産業省 地方版IoT推進ラボ ビジネス創出事業メンター(IoT支援)
・経済産業省 地域DX推進ラボ ビジネス創出事業メンター(DX支援)
・デジタル庁 デジタル推進委員(デジタル化支援)
・DX事業共同組合 設立理事(DX推進)
・一般社団法人日本サステナブルビジネス機構 幹事(SDGs認証)
・”一億総活躍社会を実現する”共生日本協議会 理事(DEI支援)
・アジャイル開発技術者検定試験コンソーシアム 事務局長(Agile検定)
・一般社団法人国際サイバーセキュリティ協会 事務局長(IACS認定)
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