答えのない時代の思考法
生成AIとDX推進のマインドシフト
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小さく出す
完璧主義を捨てる
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OODA
高速で回す
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3アクション
技術人事の実践
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✍️ 近森 満(株式会社サートプロ CEO)
#DX推進
#マインドチェンジ
#リスキリング
・完璧主義を捨てて前進する「とにかく出す」思考
・検定・認定・認証が人材採用ブランドを変える理由
・マインドシフトとマインドチェンジの本質的な違い
・技術人事が明日から実践できる3つのアクション
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| 1答えのない時代とは何か |
| 220周年ギネスブックチャレンジに学ぶ思考 |
| 3検定・認定・認証が人材育成を変える理由 |
| 4DX推進とマインドシフト・マインドチェンジの本質 |
| 5小さく始めて大きく育てる実践論 |
| 6技術人事が明日から実践できる3つのアクション |
| 7さいごに |
| Qよくある質問(FAQ) |
答えのない時代とは何か
デジタルと生成AIで打ち手が数え切れず、「正解」という概念そのものが揺らいでいます。選びきれずに動けなくなる人が増えています。
デジタル変革が選択肢を無限にした
デジタル以前は選択肢が少なく「正解を選ぶ」で済みました。今は世界中の知恵を借りて意思決定でき、無数の選択肢が立ち上がります。
ところで、みなさん最近、意思決定に時間がかかっていませんか? 私は最近、クライアント企業の現場に入るたびに痛感します。DX推進の文脈で選択肢が爆発的に増えている。クラウド、SaaS、生成AI、ノーコード、ローコード。打ち手は数え切れません。じゃないですか。デジタルが登場する前は、そもそも選択肢が少なかった。だから「正解を選ぶ」で済んでいた。でも今は違います。正解は一つではない。いや、「正解」という概念そのものが揺らいでいるんですよ。
AI活用が進めば進むほど、世界中の知恵を借りて意思決定できる環境が整います。国境も業界も関係ない。アイディアは国際的に越境し、文化の違いや地域の違いを掛け合わせると、本当に無数の選択肢が立ち上がってくるわけです。これ、聞こえはいいんですが、現場にとってはしんどい現実でもあります。だって選びきれないんですから。
なぜ人は考え落ちしてしまうのか
「考え落ち」=完璧な答えを出そうとして動けなくなる状態。責任ある立場ほど陥りやすく、リサーチの間に競合は三歩先を歩きます。
断言します。選択肢が増えれば増えるほど、人は頭でっかちになります。私はこれを「考え落ち」と呼んでいます。完璧な答えを出そうとするあまり、動き出せなくなる状態ですね。M.H.さんのように技術人事の現場で意思決定を重ねている方ほど、実はこの罠に陥りやすい。責任ある立場は、失敗を恐れてリサーチを重ねてしまう。そして気づいたら、競合は三歩先を歩いている。余談ですが、私自身も何度も経験があります。完璧な資料を作ろうとして、完璧なままリリースできなかった企画。これ、本当に悔しいんですよ。
20周年ギネスブックチャレンジから学ぶ「とにかくアウトプット」の思考
毎月1つ検定・認定・認証を立ち上げる無謀な挑戦を公言。達成率7〜8割でも、完璧主義を捨てた途端に形になる案件が増えました。
毎月1つの検定を立ち上げるという無謀なチャレンジ
公言して後戻りできない状況を作るのが狙い。IACS事務局受託、ASI検定リリース等、数多くの成果が生まれました。
私、株式会社サートプロは2025年に創業20周年を迎えました。創立記念日は3月3日。節目として、自分で自分に無茶な課題を課したんです。「毎月1つ、検定・認定・認証のいずれかを立ち上げるか、事務局受託するか、コンサル参画する」というチャレンジ。名付けて「20周年ギネスブックチャレンジ」。あえて公言したんですよ。公言することで後戻りできない状況を作るのが狙いでしてね。
結果から言うと、達成率は7割8割。100%ではなかった。でも、これ、本当に大きな成果を生みました。国際サイバーセキュリティ協会(IACS)の事務局受託、日本サステナブルビジネス機構(JSBO)の事務局受託と企業認証の運用開始、組み込みC言語プログラミング検定のベータ試験開始、高専と連携した半導体検定の一般民需展開、超知性ASI検定のリリース、セキュリティ診断サービスのリリース。数え上げればキリがない。
完璧主義を捨てると逆に前進する
完璧な要件定義をしてから走る従来型では時代のスピードに追いつけません。半年計画を作る間に前提が全部変わってしまいます。
ここで言いたいのは、数の自慢ではないんです。「完璧を目指さず、小さく始めて、とにかく出す」という姿勢に転換した途端、逆に形になる案件が増えたということ。これ、DX推進の現場でも全く同じ構図なんですよ。完璧な要件定義をしてからプロジェクトを走らせる従来型の進め方では、もう時代のスピードに追いつけない。生成AIが週単位で進化する時代に、半年計画を完璧に作って走り出したら、走り終わる頃には前提が全部変わっている。じゃないですか。
検定・認定・認証が人材育成を変える理由
検定・認定・認証は取る側の話に留まらず、企業側の「採用ブランディング」としての意味が年々強まっています。
人材獲得確保とブランド価値の新常識
SDGsブロンズ認証で採用応募の質が向上した事例も。認証で「この会社で働く意味」が外から見えるようになります。
ところで、検定・認定・認証って、資格を取る側の話だと思っていませんか? 実はこれ、企業側の「採用ブランディング」としての意味合いが、年々強くなってきているんですよ。少子高齢化が進み、人材採用は年々難しくなっています。私の支援先に、産業廃棄物を扱うリサイクル企業がありましてね。SDGsブロンズ認証を取得したんですが、採用応募の質が目に見えて変わりました。「この会社で働いてみたい」「環境に配慮しているいい会社だ」と応募者が言ってくれるようになった。
これ、業務内容が変わったわけではないんです。事業内容そのものは以前と同じ。でも、認証を取得することで、「この会社で働く意味」が外から見えるようになった。DX推進、生成AI活用、SDGs認証。こうした取り組みは、人材獲得確保の観点でも、業務効率化の観点でも、二重三重の意味を持ちます。
マイクロラーニングとマイクロクレデンシャルの時代
小さい単位・短い期間・小さな投資でスキルを獲得しすぐ実務へ。週末の数時間で学び翌週から使える。それを可視化するのがマイクロクレデンシャルです。
最近よく話題に出すんですが、マイクロラーニング、マイクロクレデンシャル、そして私たちが提唱しているマイクロアセスメント。この三点セット、これ、本当に重要です。必要なスキルや能力を、小さい単位で、短い期間で、小さな投資で獲得する。そして、すぐに実務に生かす。この考え方、じゃないですか、まさに今のリスキリングの本質なんですよ。
従来のように、半年や2年かけて専門学校や大学院で学び直しをしていたら、AIの進化スピードに追いつけません。ある程度ITの基礎能力がある方なら、大学院に行き直さなくても、週末の数時間で新しい技術の概念を学び、翌週から業務に使えるようになる。生成AIというツールがそれを可能にした。そしてそれを可視化する仕組みが、マイクロクレデンシャルなんですよね。
DX推進とマインドシフト・マインドチェンジの本質
DXが進まない企業は現場のマインドシフトで止まり、経営層のマインドチェンジが起きていません。トップが変わらないと組織は変わりません。
マインドシフトとマインドチェンジはどう違うか
マインドシフトは思考の枠組みをスライドさせ業務の要否を問い直す転換。マインドチェンジは価値観やキャリア観まで書き換える覚悟です。
DX推進の現場で、私は「マインドシフト」と「マインドチェンジ」という言葉を意識的に使い分けています。マインドシフトは、思考の枠組みそのものをスライドさせるイメージ。紙ベースの業務をそのままデジタル化するのではなく、そもそも「この業務は必要なのか?」を問い直す発想の転換です。マインドチェンジはもう一段深い。自分自身の価値観、仕事への姿勢、キャリア観までも書き換える覚悟ですね。
DX推進が進まない企業の共通点、これ、断言します。現場スタッフのマインドシフトで止まっていて、経営層のマインドチェンジが起きていないんです。トップが変わらないと、組織は変わらない。M.H.さんのような技術人事の立場からこそ、経営層を動かすための「マインドチェンジを促す仕組み」を設計する必要があります。
AGI・ASIを見据えたデータ活用と業務効率化
データ活用は「やらないと生き残れない」フェーズへ。人材育成の主眼はプロンプト設計力・AIの判断評価力・倫理を補う力に移ります。
余談ですが、AGI(汎用人工知能)やASI(超知性)の時代が、想像より早く来ます。2030年を待たずして、特定領域ではすでに人間の能力を超えるAIが実装され始めている。データ活用は、もう「やった方がいい」ではなく「やらないと生き残れない」フェーズに突入しました。業務効率化の最終形は、人間がAIに「何をやらせるか」を設計し、AI自身が自律的にタスクを回すモデルです。
このとき、人材育成の主眼は何に移るか。それは「プロンプト設計力」と「AIの判断を評価する力」、そして「AIが見落とす倫理的観点を補う力」なんですよ。技術人事として、これらの能力をどう可視化し、どう評価制度に組み込むか。これ、本当に重要です。
小さく始めて大きく育てる実践論
完璧を目指して機会を失うより、不完全でも出す。リーンスタートアップやアジャイルは手法ではなくマインドセットそのものです。
バイアスに縛られずリリースする勇気
流行りに乗って準備に時間をかけた結果、リリース時にはブームが過ぎ去り提供終了に。完璧を目指して機会そのものを失う失敗です。
ここで私の苦い経験を共有させてください。数年前、ある「流行りのテーマ」に乗って新しいサービスを企画したことがあります。パートナー企業と連携し、専用のランディングページも作り、お金もかけて準備しました。ところがリリースした頃には、ブームはすでに過ぎ去っていたんです。鳴かず飛ばずどころか、そもそもリリース後すぐに提供終了せざるを得なかった。じゃないですか、本当に悔しい経験でした。
でも、この経験があったから今があるんですよ。「とにかく早く回して、どんどん出す」ことの大切さを身をもって学んだ。完璧を目指した結果、機会そのものを失うくらいなら、不完全でも出す方がいい。リーンスタートアップの思想、アジャイル開発の思想は、単なる手法ではなく、マインドセットそのものなんです。
自分自身に葉っぱをかける技術
公言する・期限を決める・小さく始める。人材育成もβテストで不完全のまま現場にぶつけ、OODAを高速で回すのが基本形です。
ところで、自分で自分を追い込む方法って、持っていますか? 私の場合は「公言すること」「期限を決めること」「小さく始めること」。この三つです。でも、それでも動けないときはある。そういうとき、私は自分自身に少々乱暴な言葉をかけます。「お前、ふざけるな」と。自分自身に葉っぱをかけるんですよ。これ、周りには言わないですけど(笑)、本当に効きます。
技術人事の文脈でも同じ。人材育成プログラムを完璧に設計してからリリースしていたら、いつまでも立ち上がりません。βテストでいい。不完全でいい。現場にぶつけて、反応を見て、改善する。PDCAではなくOODA、観察・情勢判断・意思決定・行動を高速で回す。これがDX推進時代の人材育成の基本形です。
技術人事が明日から実践できる3つのアクション
マインドチェンジ指数の見える化、マイクロアセスメントの制度化、小さく始める社内公募制度。この3つが実践の第一歩です。
アクション1 自社のマインドチェンジ指数を見える化する
経営層・管理職・現場の三階層でDXへの姿勢をアンケートで数値化し公開。見える化すると人は動きます。
まず最初にやるべきは、自社組織のマインドチェンジの進捗を「見える化」することです。経営層、管理職、現場の三階層それぞれで、DX推進や生成AIに対する姿勢をアンケートで数値化する。結果を社内に公開する。これ、意外と多くの企業がやっていないんですよ。数字にすると、誰が変わっていて誰が変わっていないかが可視化されます。見える化すると、人は動きます。断言します。
アクション2 マイクロアセスメントを人事制度に組み込む
「受けました」で終わらせず「現場でこう発揮できた」まで可視化。30分のオンライン演習で十分。短いサイクルで学び・実践・評価を回します。
次に、リスキリング支援をマイクロアセスメントと組み合わせて制度化してください。「この研修を受けました」で終わるのではなく、「このスキルを現場でこう発揮できるようになりました」まで可視化する。アセスメントは大掛かりである必要はありません。30分のオンライン演習で十分。重要なのは、短いサイクルで学び・実践・評価を回すことです。
アクション3 小さく始める社内公募制度を作る
予算少額・期間3ヶ月・失敗OKと明言。社員が手を挙げて小さなDXプロジェクトを提案できる制度が「とにかく出す」文化の土台になります。
最後に、社員が自由に手を挙げて小さなDXプロジェクトを提案できる「社内公募制度」を整備してください。予算は少額でいい。期間も3ヶ月でいい。失敗してOKと明言する。これが「とにかく出す」文化の土台になります。M.H.さんの技術人事という立場から、こうした仕組みを経営層に提案するのが、私からの最大のおすすめです。
さいごに
完璧な答えを探すより小さな一歩を。動けば答えは後からついてきます。動けなくなったら、自分に葉っぱをかけてください。
今日お話しした「答えのない時代の思考法」、これは実は私自身が毎日自分に言い聞かせていることでもあるんですよ。完璧な答えを探すより、小さな一歩を踏み出す。その積み重ねが、結果として大きな成果につながる。DX推進も、生成AIの活用も、リスキリングも、全部同じ構造でつながっています。
特に30代の技術人事の方々、これから10年、あなたたちが会社の人材戦略の舵を握ります。AGIが、ASIが、データ活用の景色を根底から変える10年。このタイミングで「マインドチェンジ」を組織に根付かせられるかどうか、これが勝負の分かれ目です。完璧な計画より、不完全でも動くプロトタイプ。半年の研修より、30分のマイクロアセスメント。これが時代の基本文法になります。
最後に一つだけ、近森から熱いメッセージを。動けなくなったら、自分に葉っぱをかけてください。「お前、ふざけるな」と。少し乱暴に聞こえるかもしれませんが、この自己対話が、あなたを次の一歩へ押し出してくれます。答えはなくていい。動けば、答えは後からついてきます。今日も皆さまの挑戦を心から応援しています。
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よくある質問
重要なキーワード解説
マインドチェンジ
価値観・行動原理そのものを書き換えること。
マインドチェンジとは、単なる発想の転換(マインドシフト)を超えて、個人や組織の価値観・行動原理そのものを書き換えることを指します。DX推進の現場では、紙の業務をデジタル化するマインドシフトで止まってしまい、「そもそも業務の目的は何か」「誰のためにやっているのか」を問い直すマインドチェンジに至らない企業が多いのが実態です。経営層のマインドチェンジなくして、組織全体のDXは成立しません。技術人事の立場からは、マインドチェンジを促す評価制度、教育プログラム、キャリアパス設計が求められます。
マイクロクレデンシャル
短期間・小単位で取得できるデジタル証明書。
マイクロクレデンシャルは、従来の学位や大型資格ではなく、短期間・小単位で取得できるデジタル証明書のことです。マイクロラーニング(短時間学習)と対になる概念で、学んだスキルを第三者に可視化できる仕組みとして、欧米を中心に急速に普及しています。生成AIの進化スピードに合わせて、スキル獲得も細切れで高速に回す必要があり、半年の研修より30分の実践演習の方が実務価値が高いケースも増えました。日本でも企業がリスキリング予算をマイクロクレデンシャル対応に振り向ける動きが加速しています。
ASI(超知性)
人間の知能をあらゆる領域で超えるAI。
ASIは「Artificial Super Intelligence」の略で、人間の知能をあらゆる領域で超えるAIを指します。AGI(汎用人工知能)が「人間と同等の汎用能力を持つAI」であるのに対し、ASIはそれを超越した存在です。一部の研究者は2030年代、一部はさらに早い時期にASIの実現を予測しています。ASI時代に人間が果たす役割は、「AIに指示する」から「AIの判断を評価し、倫理的観点を補う」へと大きく変わります。サートプロでは、ASI検定を通じて、この新時代に必要なスキルの可視化に取り組んでいます。
※音声収録のポッドキャストではテキストには載っていない㊙話も。ぜひ、ものは試しに聴いてみてください。
著者紹介
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近森満(ちかもり みつる)
株式会社サートプロ 代表取締役CEO / DXコンサルタント/IT人材育成/検定事業化
IT技術者の教育支援と人材育成を専門とする事業化コンサルタントとして、2006年に株式会社サートプロを創業し、IoT検定・+DX認定・アジャイル検定などの資格制度を創出。独自の技術者向け教育研修の開発に定評があり、実践的なスキル向上を支援。経済産業省DX推進ラボおよびIoT推進ラボのメンターとして自治体や中小企業のDX推進を支援。近年は超知性ASIスキル可視化にも取り組み、次世代技術の普及に注力している。
■所属・役職
・IoT検定制度委員会 事務局長(IoT検定、+DX認定、超知性ASI検定) ・一般社団法人 IT職業能力支援機構 理事長(Android資格) ・電気・電子系技術者育成協議会 副理事長(E検定) ・組込みソフトウェア管理者技術者育成研究会 メンバー(組込み) ・ET教育フォーラム合同会社 代表(コンテンツ制作) ・経済産業省 地方版IoT推進ラボ ビジネス創出事業メンター(IoT支援) ・経済産業省 地域DX推進ラボ ビジネス創出事業メンター(DX支援) ・デジタル庁 デジタル推進委員(デジタル化支援) ・DX事業共同組合 設立理事(DX推進) ・一般社団法人日本サステナブルビジネス機構 幹事(SDGs認証) ・“一億総活躍社会を実現する”共生日本協議会 理事(DEI支援) ・アジャイル開発技術者検定試験コンソーシアム 事務局長(Agile検定) ・一般社団法人国際サイバーセキュリティ協会 事務局長(IACS認定) |
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