AI時代の人材育成に正解はない。
問いの立て方そのものを疑う
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20年
IT教育支援の実績
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3段階
マインドシフト
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2026
AGI・ASI時代へ
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✍️ 近森 満(株式会社サートプロ CEO)
#人材育成
#リスキリング
#マインドシフト
・スキルモデル・キャリアモデルそれぞれの限界
・「問いを立てる力」を核とするリスキリングの本質
・人材育成に必要なマインドシフトの3段階
・AGI・ASI時代を見据えた人材戦略の考え方
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| 1業界重鎮も「人材教育に絶対はない」という現実 |
| 2マインドシフトの証明:採用戦略の大転換 |
| 3中間エンジニアのAI代替という現実と向き合う |
| 4日本独自の「育てる文化」が問われている |
| 5「研修を手段」から「目的に合わせた投資」へ |
| 6リスキリングの本質:問いを立てる力 |
| 7マインドシフトの3段階/AGI・ASI時代の人材戦略 |
| 8よくある質問(FAQ) |
AI時代、業界重鎮も「人材教育に絶対はない」という現実
AI・DX推進の最前線に立つトップでさえ、今の人材育成に前例がなく「どうしたらいいかわからない」と語る。これが現実であり、正解のなさを直視することが出発点になります。
先日ですね、久しぶりに業界の重鎮の方々とお食事する機会に恵まれました。NTT出身でグループ会社の社長まで勤め上げ、現在は複数の会社の顧問や団体の理事長を務めている方と、事業会社の経営者、そして私の3人でじっくり話せたんですね。
こういう場って、IT業界の人同士で話すのとは全く違う空気感があります。ITど真ん中の企業ではないがAIの最新動向をしっかりキャッチアップしている事業会社のトップとお話しすると、普段は聞けないような話、見えてこないような視点がたくさん出てくるんですよね。
オフレコの話や、まだ世の中に出ていない新サービスの話、海外のサービスを日本でローンチする動きなど、かなり刺激的な情報もありました。その社長さんがですね、こうおっしゃっていたんです。「正直、今の時代の人材育成はどうしたらいいか、本当にわからない。いままでの延長線上ではないにしても前例がない」と。これ、本当に重要な発言です。AI・DX推進を真剣に考えているトップでさえ、そう感じている。これが現実なんです。
マインドシフトの証明:採用戦略の大転換
ある社長は採用方針を「技術ができる人」から「技術に積極的に関わろうとする人」へ転換。スキルよりマインドを重視する採用が、AI時代の人材育成の本質を突いています。
その社長が取った行動が面白かったです。今年の採用した新卒で、意図的に方針を変えたらしいんですね。これまでは「ITがバリバリできる、地頭もよくてとんがった人材」を採用してきたそうです。ところが今年は全く違うルートから採用した。IT専門ではないけれど、AIも含めてデジタル技術が「好き」で、最新のトレンドをしっかりキャッチアップしている人材。「技術ができる人」から「技術に積極的に関わろうとする人」へ。スキルよりもマインドを重視した採用に転換したわけです。
なぜこのマインドチェンジが起きたのか
その背景にはですね、はっきりした戦略があります。その会社では今後、AI関連の海外サービスを日本でローンチする計画があるんですね。「AIと正面から向き合う事業」を選択した。そうすると、必要な人材像も変わってくる。技術を「作る」人よりも、技術を「使いこなして事業に実装できる」人が必要になる。このマインドチェンジは、AI時代のDX推進における人材育成の本質を突いていると、私は強く思います。
中間エンジニアのAI代替という現実と向き合う
中間のエンジニア業務はAIに代替されつつある。しかしスキルモデルもキャリアモデルも限界があり、「問い自体を疑う」マインドトランスフォーメーションが必要になります。
IT業界を近くで見ている立場から言うと、いわゆるプログラマーやエンジニアと呼ばれる「中間」の人たちの仕事が、AIによってどんどん代替されていくのはもう周知の事実ですよね。さらに言えば、AIは仕事の量も幅も拡大してくれる。「じゃあAIをマネージできる人を育てればいい」という結論が自然に出てきそうですが、そうでもないらしいんです。これが面白いところです。
スキルモデルの限界
スキルモデル、つまり「習得すべきスキルセットを定義して、それを身につけさせる」アプローチには限界があります。技術の変化が速すぎるんです。今日習得したスキルが、1〜2年後には陳腐化している。AI時代においてはその速度がさらに上がっています。スキルを積み上げることに必死になっているうちに、ゲームのルール自体が変わってしまう。
キャリアモデルの限界
一方でキャリアモデル、つまり「○年後にこういうポジションに就けるキャリアパスを描く」アプローチも苦しくなっています。「5年後に○○エンジニアになる」というキャリアパスを描いても、その職種の仕事の8割がAIに代替されていたら、そのキャリアモデルは意味をなさなくなる。
問い自体を疑うというマインドトランスフォーメーション
だから私が提案したいのは、「キャリアモデルかスキルモデルか」という問い自体を疑ってほしいということです。「特定のゴールに向けてロードマップを引く」という発想自体がAI時代には機能しにくくなっている。これがマインドトランスフォーメーション、つまり考え方の根本的な変革が必要な理由です。
スキルもキャリアも「特定のゴールに向けてロードマップを引く」発想が前提。AI時代はその前提が崩れるため、問いの立て方そのものを変える必要があります。
日本独自の「育てる文化」が問われている
新卒を1〜2年かけて育てる日本独自の文化はガラパゴス化の可能性がある。AIが研修内容を代替する今、「育てる」の意味そのものが問い直されています。
余談ですが、日本の人材育成のあり方って、世界的に見るとかなり特殊なんですよね。新卒で採用して、懇切丁寧にイロハを教えて、研修が終わったら現場でインターンのような経験を積ませて、1〜2年後にようやく「デビュー」させる。こんな育て方をしているのは、世界では日本だけと言っても過言ではありません。
海外ではこういうプロセスがなく、入社してすぐに戦力として機能することが求められます。良い悪いの話ではなく、日本独自の文化として存在してきた。
AI時代に変質する「育てる」の意味
でも今は違います。毎年のようにゴロゴロと新しい技術が登場し、サービスが変わっていく。研修で教えたことがAIにできてしまうなら、その研修は何のためにあるのか。この問いから逃げてはいけません。
もう一度、言います。日本は世界的に見て独自の採用市場を有しており、その特殊性の中で培ってきた人材育成や新入社員教育は、ガラパゴス化している可能性が指摘されています。世界的に通用する、あるいは最先端であるといった評価は、必ずしも適切ではないと考えられます。これまでこれらのガラパゴス的な手法に依存し、疑念を抱くことすらなかった企業にとって、AIという新たな潮流への対応は、もはや無視できない喫緊の課題となっています。
「研修を手段」から「研修を目的に合わせた投資」へ
研修を消化イベントで終わらせないこと。自社のIP(知的財産)や自社データの活用を組み込み、学びが会社の成長に直接つながる投資として設計することが重要です。
その重鎮の社長と話していて、もう一つ大事なポイントが出てきました。「研修を手段にするのではなく、研修が会社の成長に直接貢献するような設計が必要だ」という話です。よくある失敗パターンが「研修を受けさせて終わり」というやつです。学びが実際の業務や会社の成長にどう繋がるかを考えていない。研修が「消化イベント」になってしまっているんですね。
「研修を受けさせて終わり」。学びが業務や会社の成長にどうつながるかを設計しないと、研修は消化イベント化し、投資が成果に結びつきません。
企業のIPを活かした研修設計
AI時代の人材育成で私が特に重要だと思っているのが、企業独自のIP(知的財産)やノウハウを研修に組み込むことです。各企業には、その会社ならではのナレッジ、ベストプラクティス、失敗から学んだ知見が蓄積されています。「自社のビジネスモデルをAIでどう強化するか」「自社の顧客価値をどうデジタル変革するか」という実践的な学習への転換が必要です。
データ活用の視点を研修に組み込む
もう一つ欠かせないのがデータ活用の視点です。AI活用の根幹にあるのはデータです。自社のデータをどう整備して、どう活用するか。断言します。「AIを使えます」という人材を育てる前に、「自社のデータで何を解きたいのか」を問い続けられる人材を育てることの方が、はるかに重要です。
リスキリングの本質:技術ではなく「問いを立てる力」
ツールやプロンプトは手段にすぎません。リスキリングの本質は「新しい問いを立てる力」を身につけること。これはどんな技術環境でも機能します。
AI活用の話になると、すぐに「どのAIツールを使えばいいか」「プロンプトエンジニアリングを覚えなければ」という方向に走りがちです。でも、それは手段の話です。リスキリングの本質は、変化する環境の中で「新しい問いを立てる力」を身につけることだと私は思っています。「この問題を解くにはどんなアプローチが有効か」という問いを立てる力は、どんな技術環境でも機能します。
マインドシフトの3段階とAGI・ASI時代を見据えた人材戦略
マインドシフトは「AIと共に考える」「問いを立てる」「組織のAI活用文化」の3段階。AGI・ASI時代を見据え、人間にしかできない力を磨く教育が求められます。
人材育成における「マインドシフト」の3段階
AI時代の人材育成に必要なマインドシフトには3つの段階があります。
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第1段階
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「AIを知る」から「AIと共に考える」へ |
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第2段階
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「正解を覚える」から「問いを立てる」へ 「何を問うか」が業務効率化の差になります。 |
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第3段階
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「個人のスキル」から「組織のAI活用文化」へ チームでAIを活用し、データ活用を通じて組織知にしていく文化を作ることが最終目標です。 |
2026年、AGI・ASI時代を見据えた人材戦略
AGI(汎用人工知能)やASI(超知性)の議論が現実味を帯びてきた今、人材育成の地平線を5年・10年先に引き延ばす必要があります。今の研修で教えていることの多くが、3〜5年後にはAIが代替している可能性があります。「AI時代においても人間にしかできないこと」を磨く教育が必要です。
創造性、倫理的判断、コミュニケーション、共感力、リーダーシップ。これらはAIが苦手とする分野です。「AIに仕事を奪われる」という発想から、「AIと協力して今まで不可能だったことを実現する」というマインドチェンジ。これが、AI時代の人材育成で一番大切な第一歩だと、私は強く思います。
さいごに
「正解がない」ことを受け入れ、問い続けること。教える内容よりも「学ぶ姿勢と環境」をどう設計するかが、AI時代にはますます重要になります。
今回の会食で得た最大の気づきは、「AI時代の人材育成に正解はない」という事実を受け入れることの大切さです。重鎮と呼ばれる方が「わからない」と言える勇気、それ自体がすでにマインドシフトの表れだと感じました。正解がないからこそ、問い続けることが重要なんですよね。
私自身、株式会社サートプロでIT教育支援と人材育成に携わって20年近くになります。「教える内容」よりも「学ぶ姿勢と環境」をどう設計するかが、圧倒的に重要です。AI時代においてはその傾向がさらに強まっています。
2026年の今、企業のDX推進担当者の皆さんに問いかけたいことがあります。「今年の研修、本当にそれでいいですか?」。去年と同じプログラムをそのままやり続けることが、最も危険な選択かもしれません。変化の速いAI時代だからこそ、研修設計自体を定期的に見直し、自社のビジネスモデルとAIの組み合わせを実践的に学べる場を作っていきましょう。
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よくある質問
重要なキーワード解説
リスキリング(Reskilling)
変化に対応するために新しいスキルや知識を習得し直すこと。
リスキリングとは、技術や市場環境の変化に対応するために、社員が新しいスキルや知識を習得し直すことです。単なる「スキルアップ」とは異なり、新しい業種や職務に対応できる能力を身につけることを指します。AI・DX推進の時代には、技術的なスキルだけでなく、AIと協働する思考力や問題設定能力のリスキリングが求められています。
マインドトランスフォーメーション(Mind Transformation)
物事の見方・考え方・価値観を根本から変革すること。
マインドトランスフォーメーションとは、物事の見方・考え方・価値観を根本から変革することです。デジタル変革(DX)の文脈では、デジタルを前提とした新しいビジネスモデルや価値創造の仕方に向けて思考軸を転換することを意味します。「AIに何ができるか」という問い方から、「AIと人間が協働することで何を実現したいのか」という問い方へのシフトが核心です。
AGI・ASI(汎用人工知能・超知性)
人間並み以上/人間を上回る知性を持つ人工知能。
AGI(Artificial General Intelligence:汎用人工知能)は、人間と同等以上の知的作業をこなせる人工知能のことです。ASI(Artificial Super Intelligence:超知性)は、あらゆる面で人間の知性を上回る人工知能を指します。株式会社サートプロでは「超知性ASI検定」を通じてこの分野のスキル可視化に取り組んでいます。
著者紹介
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近森満(ちかもり みつる)
株式会社サートプロ 代表取締役CEO / DXコンサルタント/IT人材育成/検定事業化
IT技術者の教育支援と人材育成を専門とする事業化コンサルタントとして、2006年に株式会社サートプロを創業し、IoT検定・+DX認定・アジャイル検定などの資格制度を創出。独自の技術者向け教育研修の開発に定評があり、実践的なスキル向上を支援。経済産業省DX推進ラボおよびIoT推進ラボのメンターとして自治体や中小企業のDX推進を支援。近年は超知性ASIスキル可視化にも取り組み、次世代技術の普及に注力している。
・IoT検定制度委員会 事務局長(IoT検定・+DX認定・超知性ASI検定)
・一般社団法人 IT職業能力支援機構 理事長(Android資格) ・電気・電子系技術者育成協議会 副理事長(E検定) ・経済産業省 地域DX推進ラボ ビジネス創出事業メンター(DX支援) ・デジタル庁 デジタル推進委員(デジタル化支援) |
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