専門アプリはもう不要?
AIが加速する市民開発
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市民開発
現場が自ら作る
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SaaS→AaaS
エージェントの時代
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コスト削減
月額契約を見直す
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✍️ 近森 満(株式会社サートプロ 代表取締役CEO)
#市民開発
#DX推進
#生成AI
・スイムレーンチャートをExcel自動生成する事例
・生成AIで置き換わる/置き換わらないアプリの違い
・市民開発というマインドシフトの重要性
・SaaSからAgent as a Serviceへの潮流
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| 1専門アプリが不要になる時代が来た |
| 2スイムレーンチャートがExcelで自動生成される衝撃 |
| 3QC七つ道具も生成AIで作れる時代へ |
| 4市民開発というマインドシフトが求められる理由 |
| 5AIで置き換わる専用アプリ、置き換わらない専用アプリ |
| 6生成AI活用で変わるリスキリングのアプローチ |
| 7AIエージェント時代のデジタル変革とは何か |
| Qよくある質問(FAQ) |
専門アプリが不要になる時代が来た
入力と出力が明確なものは生成AIで簡単に作れる時代に。確定申告の計算や業務フロー可視化など。ただし製造業の生産管理のような複雑・大規模なシステムは簡単には置き換わらない。
「専用アプリはもう不要」。これ、本当に重要です。断言します。
一ヶ月ほど前、私は「SaaS is Dead(サースイズデッド)」という話をしました。あれからさらに確信が強まっています。自分自身がどんどん専用アプリを必要としなくなっているんですね。
ところで、専用アプリと言っても、すべてが消えるわけではありません。製造業の生産管理システムのような、入力も出力も膨大で複雑なシステムは、今の生成AIでも簡単には置き換えられない。何十万点という部品点数、複数の製造ラインの稼働状況、品質データ……そういったデータ量と複雑性のあるシステムは、仕様書に落とすだけでも膨大なボリュームになります。さすがにそれを「ちょっとAIで作れますよ」とはなりません。
では、何が変わったのか。シンプルに言えば、「入りと出がわかりやすいもの」については、生成AIで驚くほど簡単に作れるようになってきた、ということです。確定申告の計算、業務フローの可視化、レポートのグラフ作成……こういったものは、入力と出力が明確なので、その間の処理をAIに任せることができるわけです。
スイムレーンチャートがExcelで自動生成される衝撃
Claude Codeを使い、入力情報を渡すだけで業務フローのスイムレーンチャートがExcelシートとして出力される。画像でなくオブジェクトなので後から自由に修正できる点が革命的。
具体的な話をしましょう。私には大阪に仲良しのビジネスパートナー、山口透さんという方がいます。私がずっと「業務フローをもっとわかりやすく作れないかなぁ」と言っていたら、ある日「できますよ、やってみますね」と言って、スイムレーンチャートをExcelで自動生成するツールを作ってくれました。
スイムレーンチャートというのは、業務プロセスを関係者や部門ごとに「レーン(水泳のコース)」に分けて可視化したフローチャートの一種です。コンサルティングの現場では必須の資料で、私も毎回パワーポイントやExcelの描画ツール、あるいはGoogle Diagramsなどを使って一から手作りしていました。これが結構大変で、毎回同じような作業を繰り返していたわけです。
山口さんが作ってくれたのは、Claude Codeで使えるプログラミング機能を利用したものでした。Claude CodeはAnthropic(アンソロピック)社のClaudeを活用したコーディングツールで、最近プログラマーの間でも非常に人気が高まっています。私自身はClaude(生成AI単体)とClaude coworkは使っていますが、Claude Codeはまだ実際に試していないのですが、それを見て「これは革命だな」と思いました。入力情報を渡すだけで、スイムレーンチャートがExcelのシートとして出力されるわけですから。
これ、何がすごいかというとですね、修正ができるんですよ。今まで生成AIで「業務フローを描いて」とお願いすると、最終的に画像で出てきてしまっていました。画像になってしまうと、あとから修正するのが地味に大変なんです。だからこそ、Excelで出力されることに意味があるわけです。Excelのオブジェクトとして出てくれば、図形や矢印を自由に編集できますから。
QC七つ道具も生成AIで作れる時代へ
QC七つ道具のうちグラフ・ヒストグラム・散布図はExcel標準機能で作れる。専用ソフトが必要だった特性要因図も生成AIで自動生成でき、月額契約のコスト削減につながる。
私は元々製造業出身なので、こんなことを考えてしまうんですね。「QC七つ道具も作れるんじゃないか」と。
QC七つ道具というのは、製造業で品質管理活動(QCサークル活動)に使われる7種類の図表のことです。具体的には、パレート図、特性要因図(フィッシュボーン図)、グラフ、ヒストグラム、散布図、管理図、チェックシートの7つです。
余談ですが、この7つのうち、データがあれば既にExcelで簡単に作れるものが多いということです。グラフ、ヒストグラム、散布図……これらはExcelの標準機能で十分できる。生成AIを特別に使わなくても対応できるわけです。
一方で、特性要因図(魚の骨図とも呼ばれます)は、マインドマップに似た構造を持っていて、これを描くためにはやはり専用ソフトか、手書きが必要でした。ところが今なら、生成AIに「こういう課題に対して特性要因図を作って」とお願いすれば、ある程度自動で構造を考えて出力できるようになってきています。これも、今まで専用ツールが必要だった領域です。
「QC七つ道具制作アプリ」なんてものを月額契約で使っていたとしたら、その分のコストが浮く可能性があるということです。業務効率化どころか、コスト削減にもつながるんですね。
市民開発というマインドシフトが求められる理由
市民開発とは非エンジニアが自ら業務ツールを作ること。生成AIで日本語の指示から形になる。「ITは専門家が作るもの」というマインドシフトができない組織は遅れをとる。
ここで少し大きな話をしたいと思います。「市民開発」という言葉をご存じでしょうか。
エンジニアではない普通の人(市民)が、自分たちの業務に必要なツールやアプリを自ら開発すること。これを市民開発と言います。ローコードやノーコードのツールが普及した2010年代後半?から注目され始めた概念ですが、生成AIの登場でこれが一段と加速しています。
なぜかというと、今まではノーコードといっても、ある程度の論理的思考と操作スキルが必要でした。ところが生成AIがあれば、日本語で「こんなものを作りたい」と伝えれば、ある程度の形になったものが出てくる。これはDX推進における大きなマインドチェンジの機会です。
これまでのDX推進の現場では、「ITツールは専門家が作るもの」「システム開発は費用と時間がかかるもの」という意識が根強くありました。でも、そのマインドシフトができていない組織は、これからどんどん遅れをとっていくことになります。
断言します。生成AIを活用した市民開発は、2024年以降の業務効率化において、最も重要なアプローチの一つになります。DX推進に取り組む皆さんが最初に取り組むべきは、ツールの導入よりも、このマインドチェンジかもしれません。
AIで置き換わる専用アプリ、置き換わらない専用アプリ
置き換わるのは入出力が明確でデータ量がコンパクトなアプリ。置き換わりにくいのは法的に定められたシステムや基幹システム。「指定されていない・入出力が明確」な業務が次の一手。
ただし、すべてが生成AIで置き換わるわけではありません。この点は誤解しないでほしいところです。
置き換わりやすいのは、入出力が明確で、データ量がコンパクトなアプリです。たとえば、確定申告の計算補助、業務フロー図の作成、レポートのグラフ作成、チェックシートの自動生成……こういったものは、生成AIが非常に得意とする領域です。
一方、置き換わりにくいのは、法的・業界的に「このシステムを使うこと」が定められているものです。たとえば、国が指定したガバメントクラウドを使う場合、Amazon AWS・Google Cloud・Microsoft Azure・Oracle Cloud Infrastructure・さくらのクラウド(さくらインターネット、日本初の国産ガバメントクラウド認定)など、指定されたプラットフォーム上で動かす必要があります。
また、データ量が膨大で、複数部門・システムが連携する基幹システムも、今すぐ生成AIで置き換えるのは現実的ではありません。製造業の生産管理システムが典型例です。
ですが、「指定されていない分野」「入出力が明確な業務」というのは、世の中にいくらでもあります。そこに目を向けることが、DX推進における次の一手になると思っています。
生成AI活用で変わるリスキリングのアプローチ
リスキリングの本質はスキル習得よりマインドトランスフォーメーション。思い込みを崩し、他者の事例をキャッチアップして自分もやってみる。ツールは手段、目的は価値提供。
「できる体質、できる考え方、できる体に、自分自身を少しずつ育てていく」——これが私が今、強く思うことです。
生成AIのツールがどれだけ進化しても、使いこなせる人間がいなければ意味がありません。リスキリングというと、「新しいスキルを身につける」という意味合いで語られることが多いのですが、私はそれだけではないと思っています。
本当に大切なのは、マインドトランスフォーメーション(精神的な変革)です。「AIは便利だけど自分には難しい」「システム開発はエンジニアに任せるもの」——そういった思い込みを崩すことが、真のリスキリングの第一歩ではないでしょうか。
具体的にどうすればいいか。まず、誰かがやってみた事例を積極的にキャッチアップすることです。今回の山口さんのスイムレーンチャートのように、「誰かがやってみたら、あ、できちゃった!」という事例が、今の時代どんどん生まれています。その事例を見て「じゃあ自分もやってみよう」という行動を起こすことが、データ活用・AI活用の第一歩になります。
次に、ツールを手段として捉えることです。目的はあくまでも「お客様に価値を提供すること」「売上を上げること」「業務の生産性を高めること」です。ツールを作ることや、AIを使うことが目的にならないようにしてほしいのです。これ、本当に重要な視点です。
人材育成という言葉がありますが、他者を育てるだけでなく、自分自身を育てるという視点——「自分自身の人材育成」——が、AGI(汎用人工知能)やASI(超知性人工知能)が台頭しつつある今の時代に、ますます求められています。
AIエージェント時代のデジタル変革とは何か
目標を設定すれば自律実行するAIエージェント時代はプロセスデザインが重要に。SaaSからAgent as a Serviceへ。「使う」から「作る・組み合わせる」意識への転換が本質。
2024年から2025年にかけて、AIエージェントという概念が急速に注目されるようになりました。AIエージェントとは、人間がいちいち指示を出さなくても、目標を設定すれば自律的にタスクを実行してくれるAIのことです。
このAIエージェントが普及する世界では、「業務をどのように設計するか」というプロセスデザインの重要性が増します。スイムレーンチャートのような業務フロー図が、AIエージェントへの指示書(プロンプト)の設計に転用できる時代が来るかもしれません。
デジタル変革(DX推進)の本質は、デジタルツールを導入することではなく、ビジネスモデルそのものを進化させることです。生成AIや市民開発という手段を通じて、自分たちのビジネスをどう変革するかを考え続けることが、DX推進の核心にあります。
SaaS(Software as a Service)の時代から、Agent as a Service(エージェントがサービスになる時代)へ。その変化の波に乗るためには、まずは「専用アプリを使う」という意識から「必要なものを自分たちで作る・組み合わせる」という意識への転換が必要です。これがまさに、マインドシフトの本質です。
さいごに
「毎月払い続けている専用アプリ、本当に必要ですか?」アンテナを張り、やれそうと思ったらすぐ試す。それがAI時代のDX推進・生成AI活用における最強の戦略。
今回のポッドキャストを通じて、私が皆さんにお伝えしたかったのは、シンプルなことです。「あなたが毎月お金を払い続けているその専用アプリ、本当に必要ですか?」という問いかけです。
生成AIの登場によって、かつては専門家やエンジニアだけが作れたツールが、私たち普通のビジネスパーソンでも作れるようになってきました。これはコスト削減だけでなく、「自分たちの仕事をより深く理解する」きっかけにもなります。業務フローを自ら図にしてみることで、今まで見えていなかった非効率に気づくこともあるでしょう。
アンテナを張り、新しい情報をキャッチし続けること。そして「やれそうだ」と思ったら、すぐに試してみること。それが、AI時代のDX推進・生成AI活用における最強の戦略だと、私は思います。まずは今日から、一つだけ試してみてください。きっと新しい世界が開けるはずです。
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よくある質問
重要なキーワード解説
市民開発(Citizen Development)
非エンジニアが自分の業務に必要なアプリを自ら開発すること。
市民開発とは、IT専門家ではない一般のビジネスパーソン(市民)が、自分たちの業務に必要なアプリやツールを自ら開発することを指します。ローコード・ノーコードツールや生成AIの普及により、現在ではプログラミング知識がなくても、業務自動化ツールや可視化ダッシュボードなどを作ることが可能になっています。DX推進において、IT部門への依存を減らし、現場主導での業務改善を実現する重要なアプローチです。
スイムレーンチャート(Swim Lane Chart)
業務を部門ごとのレーンに分けて可視化するフローチャート。
スイムレーンチャートとは、業務プロセスを関係者や部門ごとに「レーン(水泳のコース)」に分けて可視化したフローチャートの一種です。「誰が」「何を」「どの順番で」行うかが一目でわかるため、業務フロー分析、業務改善、システム設計の場面で広く活用されています。従来はVisioやGoogle Diagrams、専用ソフトを使って手作業で作成していましたが、生成AIとClaude Codeを組み合わせることで、Excelファイルとして自動生成できるようになってきています。
AGI・ASI(汎用人工知能・超知性)
人間並みの汎用知性AGIと、それを超える超知性ASI。
AGI(Artificial General Intelligence:汎用人工知能)とは、特定の分野だけでなく、人間と同等またはそれ以上の知性を持ち、様々な領域のタスクを自律的にこなせる人工知能のことです。現在の生成AIはANI(Artificial Narrow Intelligence:特化型人工知能)に分類され、特定の用途に優れています。AGIの先には、人間の知性をあらゆる面で超越するASI(Artificial Super Intelligence:超知性)の概念があります。私が推進する「超知性ASIスキル可視化」も、この流れを見据えた人材育成の取り組みです。
著者紹介
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近森満(ちかもり みつる)
株式会社サートプロ 代表取締役CEO / DXコンサルタント/IT人材育成/検定事業化
IT技術者の教育支援と人材育成を専門とする事業化コンサルタントとして、2006年に株式会社サートプロを創業し、IoT検定・+DX認定・アジャイル検定などの資格制度を創出。独自の技術者向け教育研修の開発に定評があり、実践的なスキル向上を支援。経済産業省DX推進ラボおよびIoT推進ラボのメンターとして自治体や中小企業のDX推進を支援。近年は超知性ASIスキル可視化にも取り組み、次世代技術の普及に注力している。 |
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・IoT検定制度委員会 事務局長(IoT検定、+DX認定、超知性ASI検定)
・一般社団法人 IT職業能力支援機構 理事長(Android資格)
・電気・電子系技術者育成協議会 副理事長(E検定)
・組込みソフトウェア管理者技術者育成研究会 メンバー(組込み)
・ET教育フォーラム合同会社 代表(コンテンツ制作)
・経済産業省 地方版IoT推進ラボ ビジネス創出事業メンター(IoT支援)
・経済産業省 地域DX推進ラボ ビジネス創出事業メンター(DX支援)
・デジタル庁デジタル推進委員(デジタル化支援)
・DX事業共同組合 設立理事(DX推進)
・一般社団法人日本サステナブルビジネス機構 幹事(SDGs認証)
・”一億総活躍社会を実現する”共生日本協議会 理事(DEI支援)
・アジャイル開発技術者検定試験コンソーシアム 事務局長(Agile検定)
・一般社団法人国際サイバーセキュリティ協会 事務局長(IACS認定)
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