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展示会で見えたAI活用の明暗!DX推進に必要なマインドシフトとは

2026年8月21日




REPORT

展示会で見えたAI活用の明暗
DX推進に必要なマインドシフトとは

Japan IT Week Japan DXウィークの現場から、近森満が感じた「日本のAI活用の現在地」をレポートします。
3日間
Japan IT Week開催
HR系AI
最多の出展分野
300人
立ち見のセミナー
展示会で見えたAI活用の明暗!DX推進に必要なマインドシフトとは
📅 2026年7月21日
✍️ 近森 満(株式会社サートプロ CEO)

#DX推進
#生成AI
#リスキリング

SUMMARY
■ 記事概要
東京ビッグサイトで開催されたJapan ITウィーク Japan DXウィーク。HR系AIから業務改善ツールまで、数多くのAIサービスが出展する中、近森満が現地を歩いて感じた「日本のAI活用の現在地」とは。生成AI・DX推進の最前線で見えた課題と可能性、そしてAGI・ASI時代を見据えたマインドチェンジの必要性を、展示会レポートを通じてお伝えします。IT人材育成・リスキリングを担う人事責任者の方に特に読んでほしい、現場からの生の声です。

✅ この記事でわかること
・展示会で席巻していたHR系AI・ダッシュボード型ツールの実態
・「目立つサービスがない」背景にある日本発LLMの不在
・AIリテラシーで展示会の見え方が変わるという示唆
・「AIを使う」から「AIで変える」へのマインドシフト
・AGI・ASI時代を生き抜くための最初の一歩

SECTION 01

展示会で体感した「AIブーム」の熱量

📌 ポイント
Japan IT Weekは出展者数が回復し、業務改善とAIのエリアだけで時間を使い切るほどの熱量。組み込みエリアに辿り着けないほどでした。

ところで、皆さんは最近、IT系の展示会に行かれましたか?

先日、東京ビッグサイトで開催されたJapan ITウィーク Japan DXウィーク(Japan IT Week)に行ってきました。名前だけ聞くと1週間くらいやってそうな規模感ですが、実際は3日間の開催です。これ、意外と知らない方が多いんですよね。

コロナ以降、展示会の来場者数は伸び悩みが続いていると言われてきました。ところがここ2年ほどは、出展者数がしっかり回復してきています。今回も本当にたくさんの企業が出展していて、ブースを見て回るだけでかなりの時間がかかりました。

来場者数については、初日の午後という時間帯もあり、「これが最大値か」とは言えない状況でした。ただ、3日間の展示会で初日午後というのは、どこの展示会でも同じようなもの。最終日の午後になれば、ごった返すほどの賑わいになるのが定番ですからね。

今回、私がもともと行きたかったのは、組み込み系のエリアでした。私自身、IoT検定やET教育フォーラムなど、組み込みソフトウェア分野にも深く関わっているので、AIを搭載したIoTの未来というテーマのセッションを聞きに行こうと考えていたんです。坂村先生の講演も予定されていましたし。

ところが、蓋を開けてみたら、組み込みエリアまでたどり着けなかった(笑)。業務改善とAIのエリアだけで時間をほぼ使い切ってしまいました。それだけ、この領域が今、熱いということでもあります。

SECTION 02

HR系AI・業務改善AIが席巻した展示会場

📌 ポイント
最多はHR関連AIとダッシュボード型AIツール。既存サービスにAIを乗せた形が多く、独自価値の打ち出しに課題が見えました。

人事・採用・評価にAIが続々参入

📌 ポイント
蓄積データにAI分析を乗せる方向は理にかなうものの、競合が多く「AI以前からあるサービスにAIを乗せた」印象は否めません。

今回の展示会で一番多いと感じたAIサービスは何だったかというと、HR関連です。

人事・採用・評価にAIを組み込んだサービスが、これでもかというくらい出展されていました。顔認証で人事登録するサービス、適性検査にAI分析を組み合わせたサービス、タレントマネジメントシステムにAIを搭載したサービスなど、多種多様です。

「○○教授の○○式評価方法」をAIで分析する、というアプローチも目立ちました。もともとデータベースを持っている会社が、そこにAI分析を乗せてくる形ですね。これは理にかなっています。蓄積されたデータに対してAIが分析を加えることで、これまで人間が時間をかけてやっていた業務が効率化できる。業務効率化という観点では、非常にわかりやすいアプローチです。

ただ、この分野はすでに競合が多い。人事評価システム、人材管理システム、タレントマネジメントシステム……インターネットが普及し、SaaSが台頭してきた十数年前から、次々と新しいブランドが登場してきました。そこにさらにAI搭載というオプションが加わった形です。

AI活用という意味では正しい方向性ですが、「AI以前からあるサービスにAIを乗せた」という印象は否めません。これ、重要なポイントです。

ダッシュボード型AIツールの台頭

📌 ポイント
複数SaaSを一元管理し裏側にAIを繋ぐツールが多数。一元管理のメリットはある一方、独自の目玉価値は打ち出しにくい状況でした。

もう一つ目立ったのが、ダッシュボード型のAIツールです。

複数のSaaSを使っている企業は多いですよね?生成AIだけでも何種類も契約しているし、経費精算ツール、CRM、タスク管理ツールなど、バラバラに使っているサービスが山ほどある。それをひとつのダッシュボードにまとめて、さらに後ろ側にAIを繋げますよ、というサービスです。

「ChatGPT・Claude・Geminiのどれでも使えます」「裏で動くAIモデルを選べます」という売り方をしているブースが非常に多かった。

企業としては、バラバラになったツールを一元管理できるのは確かにメリットです。担当者が複数のサービスを行き来する手間が省けるし、コスト管理もしやすくなる。そういう意味での業務効率化には貢献するでしょう。

ただ、正直に言うと…「それだけですか?」と感じてしまったんですよね。既存サービスをまとめて、生成AIを繋ぐ。その発想自体は理解できます。でも、そこに目玉となる独自の価値があるかというと、難しいところがある。

これは、企業のデジタル変革という観点から見たとき、大事な視点だと思います。

SECTION 03

展示会で感じた「日本のAI活用」の課題

📌 ポイント
目立つサービスがない背景は日本発LLMの不在。一方でAIリテラシーによって同じ展示会が全く違って見えるという示唆がありました。

日本発LLMの不在という現実

📌 ポイント
大多数の企業は裏側でChatGPT・Claude・Geminiを使い自社インフラを積む形。AIに詳しいほど目新しさを感じにくいのが現実です。

展示会を歩き回って、一番強く感じたこと。それは、「目立つサービスがない」ということでした。

なぜ目立つサービスがないのか。これ、断言します。日本発のLLM(大規模言語モデル)が事実上ないからです。

もちろん、NTTさんをはじめ、独自のLLMを持っていると主張する企業も出展していました。ただ、大多数の企業は「裏側はChatGPT、Claude、Geminiのいずれかを使っています」という状態です。その上に自社サービスのインフラを積み上げて、それをAIと組み合わせています、というビジネスモデルになっている。

AIに詳しい人から見ると、「それは知ってる」という話になってしまうんですね。AI活用に詳しければ詳しいほど、目新しさを感じにくい。これが今の日本のAIサービス展示の現実です。

一方で、AIのことをまだ深く知らない方から見れば、「こんなサービスがあるのか!」という驚きはあると思います。AI活用の裾野を広げるという意味では、意義があります。

つまり、AIリテラシーによって、同じ展示会が全然違って見える。これは重要な示唆です。

セミナーは大盛況。AIへの注目度は本物

📌 ポイント
300人規模のセミナーが立ち見状態。ニーズもサービスもあるのに決め手に出会いにくい状況が、今のDX推進の難しさを象徴しています。

一方で、AIへの関心そのものはものすごく高まっていることを実感しました。

DNA社のセミナーは、300人規模のブースが立ち見状態。私が行ったときには入れないほどでした。業務改善とAI活用をテーマにしたセッションに、これだけの人が集まっている。これは、単なるブームではなく、ビジネスにおけるAI活用が「待ったなし」の状況になってきているからだと思います。

展示会に出展する企業は、当然ながら営業・マーケティング目的で来ています。つまり、ここに集まる人たちの多くは「AIを使って何かしたい」「AIで自社の課題を解決したい」という具体的なニーズを持っている。そのニーズに応えるための場が、展示会なわけです。

ただ、ニーズはある、サービスもある、でも「これだ!」という決め手となるサービスに出会いにくい。この状況が、今の日本のDX推進の難しさを象徴しているように感じました。

SECTION 04

DX推進に必要なマインドシフトとは

📌 ポイント
ツール導入と組織変革は別物。ツールを決める前に「課題は何か」「AIと人間の役割分担は何か」を問うマインドチェンジが出発点です。

「AIを使う」から「AIで変える」へ

📌 ポイント
「AIに検査させる」レベルから「分析結果をどう人材育成・データ活用に活かすか」へ、思考の深さをシフトする必要があります。

今回の展示会を通じて改めて感じたのは、AIツールを「導入する」ことと、それで「組織を変える」ことは全く別の話だということです。

ツールが揃っていても、使う側のマインドシフトが起きていなければ、デジタル変革は進みません。これは、私がDX推進の現場で何度も見てきたことです。

HR系のAIツールが多数出展されていたことは、企業の人事担当者がAIに関心を持ち始めているサインです。ただ、「AIに適性検査をやらせる」「AIに採用書類の一次選考をさせる」というレベルから、「AIの分析結果をどう人材育成・リスキリングに活かすか」「組織のデータ活用をどう設計するか」というレベルへと、思考の深さをシフトしていく必要があります。

リスキリングはツールの前に「考え方」から

📌 ポイント
「何のツールを学ぶか」は順番が逆。課題を定義し、AIと人間の役割を問うマインドチェンジこそ真のリスキリングの出発点です。

余談ですが、リスキリングという言葉が広まってから、「何のツールを学べばいいですか?」という質問をよく受けるようになりました。

でも、これ、本当は順番が逆なんです。

ツールを先に決めるのではなく、「自分たちの組織では何が課題なのか」「AIに任せられることは何で、人間にしかできないことは何か」という問いを先に立てる必要があります。そのマインドチェンジが、真のリスキリングの出発点です。

展示会のサービスを見て回ると、「便利そう」「使えそう」という感覚は湧いてきます。でも、それを「自社の課題解決にどう結びつけるか」を考えるのは、人間の仕事です。AGI・ASIが台頭してきたとしても、この問いを立てる力は、人間が持ち続けなければならないスキルだと思います。

SECTION 05

展示会から見えるAGI・ASI時代の予兆

📌 ポイント
現状は特定業務特化の弱いAIの段階。しかし進化は速く、2〜3年で展示会の風景は一変。今こそ人間の思考力・判断力・創造力を磨く時です。

今回の展示会では、まだ「AGI(汎用人工知能)」や「ASI(超知性)」を前面に出したサービスは見当たりませんでした。現状のAIサービスは、まだ特定業務に特化した「弱いAI」の段階です。

ただ、技術の進化は想像以上に速い。ChatGPTが登場してからわずか数年で、ここまでAIサービスが普及したわけです。今後2〜3年のうちに、展示会の風景は大きく変わるでしょう。

そのときに備えて、今から何をしておくべきか。私は、「AIリテラシーを高めつつ、人間にしかできない思考力・判断力・創造力を磨く」ことだと思っています。AIが「こんなサービスあり?」のレベルから「これが当たり前」のレベルになったとき、マインドシフトできていない人と、できている人では、大きな差が生まれます。

CONCLUSION

さいごに

📌 ポイント
デジタル変革はツールを揃えることではなく、人と組織が変わること。ツールより先に考え方を変えることがAGI・ASI時代の第一歩です。

今回の展示会レポートを通じて伝えたかったのは、「AIサービスの多さ」よりも「AIを使う側の準備」についてです。展示会に並ぶサービスを見て「へーすごいな」で終わるのか、「これを自分たちの組織にどう活かすか」を考え始めるのか。その違いが、DX推進の成否を分けます。

デジタル変革は、ツールを揃えることではありません。人が変わること、組織が変わること、そのためのマインドチェンジをどう設計するか。これが、本当の意味でのDX推進です。私自身、教育の現場でそのサポートをし続けていますが、今回の展示会でも改めてその重要性を実感しました。

AI活用の波に乗るためには、まず自分たちの足元を見つめ直すことから始めましょう。ツールより先に、考え方を変える。それが、AGI・ASI時代を生き抜くための最初の一歩です。

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FAQ

よくある質問

Q1:展示会で最も多かったAIサービスは何ですか?
HR関連が最も多く、人事・採用・評価にAIを組み込んだサービスが数多く出展されていました。顔認証での人事登録、適性検査へのAI分析、タレントマネジメントへのAI搭載などです。蓄積データにAI分析を乗せる方向は理にかなっていますが、AI以前からあるサービスにAIを乗せた印象は否めませんでした。

Q2:日本のAIサービスに目立つものが少ないのはなぜですか?
日本発のLLM(大規模言語モデル)が事実上ないからです。独自LLMを主張する企業もありますが、大多数は裏側でChatGPT・Claude・Geminiのいずれかを使い、その上に自社インフラを積み上げる形です。AIに詳しいほど目新しさを感じにくく、これが今の日本のAIサービス展示の現実です。

Q3:ダッシュボード型AIツールにはどんな課題がありますか?
複数SaaSを一元管理し裏側にAIを繋ぐ発想で、コスト管理や手間削減という業務効率化には貢献します。ただ既存サービスをまとめて生成AIを繋ぐだけでは、目玉となる独自の価値を打ち出しにくいのが実情です。デジタル変革の観点では、統合そのものより何を変えるかが問われます。

Q4:リスキリングはどこから始めるべきですか?
「何のツールを学ぶか」より先に「自分たちの組織の課題は何か」「AIに任せられることと人間にしかできないことは何か」という問いを立てることからです。ツールを先に決めるのは順番が逆で、この問いを立てるマインドチェンジこそが真のリスキリングの出発点になります。

Q5:AGI・ASI時代に備えて今すべきことは何ですか?
AIリテラシーを高めつつ、人間にしかできない思考力・判断力・創造力を磨くことです。現状のAIサービスは特定業務に特化した弱いAIの段階ですが、進化は速く2〜3年で展示会の風景は大きく変わります。AIが当たり前になったとき、マインドシフトできている人とできていない人で大きな差が生まれます。

KEYWORDS

重要なキーワード解説

DX推進(デジタルトランスフォーメーション推進)

📌 一行定義
デジタル技術で企業のビジネスモデル・業務・組織文化を根本変革すること。

DX推進とは、デジタル技術を活用して企業のビジネスモデル、業務プロセス、組織文化を根本から変革することを指します。単なる「業務のデジタル化(IT化)」とは異なり、データ活用や新技術の導入を通じて、競争優位性を生み出すことが目的です。経済産業省が2018年に発表した「DXレポート」以降、日本企業のDX推進が急務とされています。展示会で見られるAIサービス群は、DX推進の「手段」のひとつに過ぎず、推進の主体は常に「人」であることを忘れてはなりません。

生成AI(Generative AI)

📌 一行定義
テキスト・画像・音声などを自律的に生成できるAI技術の総称。

生成AIとは、テキスト・画像・音声・動画などのコンテンツを自律的に生成できるAI技術の総称です。ChatGPT(OpenAI)、Claude(Anthropic)、Gemini(Google)などが代表例として挙げられます。ビジネス活用においては、文書作成・データ分析・カスタマーサポートなど幅広い領域への応用が進んでいます。今回の展示会でも、多くのサービスがこれらの生成AIモデルを「裏側」で活用していました。生成AIを使いこなすためには、AI活用リテラシーとともに、業務課題を正しく定義する力が求められます。

リスキリング(Reskilling)

📌 一行定義
新しい職務や役割に対応するため、異なるスキルを習得すること。

リスキリングとは、新しい職務や役割に対応するために、現在の業務とは異なるスキルを習得することです。デジタル変革が加速する中、AIに代替されない人材であり続けるために、リスキリングは個人・組織双方の重要テーマとなっています。ただし、「何のツールを学ぶか」より先に「どんな課題解決力を身につけるか」というマインドシフトが必要です。展示会に並ぶAIツールを「使えるようになる」だけでは不十分で、それを「どう活かすか」を考える力こそが、真のリスキリングの目標です。

🎙️ この内容はSpotify Podcast「超知性AI時代のDX企画書のネタ帳」でも配信中です。
※音声収録のポッドキャストではテキストには載っていない㊙話も。ぜひ、ものは試しに聴いてみてください。

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関連ハッシュタグ
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AUTHOR

著者紹介

近森満(ちかもり みつる)
株式会社サートプロ 代表取締役CEO / DXコンサルタント/IT人材育成/検定事業化

IT技術者の教育支援と人材育成を専門とする事業化コンサルタントとして、2006年に株式会社サートプロを創業し、IoT検定・+DX認定・アジャイル検定などの資格制度を創出。独自の技術者向け教育研修の開発に定評があり、実践的なスキル向上を支援。経済産業省DX推進ラボおよびIoT推進ラボのメンターとして自治体や中小企業のDX推進を支援。近年は超知性ASIスキル可視化にも取り組み、次世代技術の普及に注力している。

■所属・役職
・IoT検定制度委員会 事務局長(IoT検定、+DX認定、超知性ASI検定)
・一般社団法人 IT職業能力支援機構 理事長(Android資格)
・電気・電子系技術者育成協議会 副理事長(E検定)
・組込みソフトウェア管理者技術者育成研究会 メンバー(組込み)
・ET教育フォーラム合同会社 代表(コンテンツ制作)
・経済産業省 地方版IoT推進ラボ ビジネス創出事業メンター(IoT支援)
・経済産業省 地域DX推進ラボ ビジネス創出事業メンター(DX支援)
・デジタル庁 デジタル推進委員(デジタル化支援)
・DX事業共同組合 設立理事(DX推進)
・一般社団法人日本サステナブルビジネス機構 幹事(SDGs認証)
・“一億総活躍社会を実現する”共生日本協議会 理事(DEI支援)
・アジャイル開発技術者検定試験コンソーシアム 事務局長(Agile検定)
・一般社団法人国際サイバーセキュリティ協会 事務局長(IACS認定)
近森満
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