
【記事概要】
今回のテーマは、「なぜAdobeの広告は一瞬で刺さるのか?」という問いから始まります。近森満がSpotify配信の中で語ったのは、Adobeの最新CMに登場する「ガラガラポン」「がっちゃんこ」「ペライチ」という、一見すると懐かしく、ITやAIとは無縁に見える日本語コピーの破壊力でした。横文字や専門用語を一切使わず、ビジネス現場のおじさん・おばさんが思わず口にしてしまう“あの感じ”を、そのまま広告に持ち込んだ設計思想。これこそが、AI時代においても人の心を一瞬で掴む理由だと近森満は分析します。
生成AIやAI広告が当たり前になった今だからこそ、AIには出せない言葉、AIには設計できない文脈がある。その象徴が、Adobeのこの広告です。本記事は、これはSpotify配信をもとにした近森満の思考ログであることを踏まえつつ、広告・マーケティング・DX推進に携わる人に向けて、「伝わる言葉」と「安心感を生むブランド設計」の本質をひも解いていきます。
【本文】
こんにちは、IT・DX教育サービスの株式会社サートプロ 近森満です。
www.certpro.jp/blogs/dx_chikamori/
当社では「DX推進人材教育プログラム」として初回無料のコンサルティングを提供しています。DX推進や人材育成のご相談をお待ちしています。
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なぜこのAdobe広告に「一瞬でやられた」のか
正直に言います。
この広告、めちゃくちゃ刺さりました。
ここ数日で流れ始めたAdobeのCM。
「ガラガラポン」「がっちゃんこ」「ペライチ」。
たったこれだけの言葉なのに、頭から離れない。しかも、意味は一発で伝わる。
これ、すごくないですか?
横文字ゼロ。
AI、生成AI、DX、クラウド、SaaS…そういう単語は一切出てこない。
なのに、AIを使った機能説明を完璧に言語化している。
僕はこれを見た瞬間、「あ、これはAIじゃ出せない企画だな」と直感しました。
AIのCMなのに、AIでは絶対に生まれないコピー。
ここに、この広告の本質があります。
「ガラガラポン」「がっちゃんこ」「ペライチ」という魔法の日本語
まず、それぞれの言葉を分解してみましょう。
ガラガラポン
これは説明不要ですよね。ガチャガチャを回して、何が出てくるかわからない状態。
つまり、「いろんな素材を突っ込んで、いい感じのアウトプットを出して」という意味。
がっちゃんこ
ホチキスで資料をまとめる、あの感じ。
複数のファイル、複数の情報を「一つにまとめる」行為そのもの。
ペライチ
一枚にまとめる。
細かい説明はいらない、とにかく一枚で分かる形にしてくれ、という要求。
これ、全部、ビジネス現場で実際に飛び交っている言葉なんですよね。
「いい感じにガラガラポンして」
「それ全部がっちゃんこして」
「最後、ペライチにしてくれる?」
……言ってません?
僕は言ってます。普通に(笑)。
おじさん・おばさんの“発注言語”をそのまま広告にした凄さ
※すいません、ここで言うおじさん・おばさんは私を含めた50歳台60歳台のことです。
このCMが本当にすごいのは、
ビジネスパーソンの“雑な依頼”を、そのまま肯定している点です。
多くのITツールの広告って、こう言いがちです。
・AIで業務効率化
・生成AIによる生産性向上
・高度なドキュメント管理
いや、分かる。
分かるけど、現場の人はそんな言葉で頼まない。
現場では、
「これ、いい感じにまとめといて」
この一言なんです。
Adobeの広告は、そこから逃げなかった。
むしろ、真正面から受け止めた。
「その“いい感じ”を、うちがやりますよ」と。
これ、めちゃくちゃ人に優しい設計だと思いませんか?
機能説明ゼロなのに、全部伝わる広告設計
このCM、冷静に見ると機能説明は一切していません。
・AIで生成します
・PDFを統合できます
・一枚に再構成できます
そんな説明、どこにもない。
でも、見た人は全員こう理解する。
「あ、これ全部できるツールなんだ」
ワンセンテンスで、
・生成AI
・ドキュメント統合
・要約・再構成
この全部を伝えてしまっている。
これが広告の真骨頂です。
説明しないのに、理解させる。
これ、AIプロンプトをいくら工夫しても、なかなか出てこない発想です。
なぜ生成AIではこの企画が出てこないのか
ここ、すごく大事な話をします。
生成AIに「AdobeのCM企画を考えて」と頼んだら、
たぶん、それっぽい案は山ほど出てきます。
でも、この
「ガラガラポン・がっちゃんこ・ペライチ」
という並びは、ほぼ出てこない。
なぜか。
それは、この言葉が“非論理的”だからです。
・定義が曖昧
・正式名称じゃない
・辞書的に説明しづらい
でも、人間はこの曖昧さを共有できる。
この“共有されている曖昧さ”こそが、
AIがまだ苦手な領域なんですよね。
「安心感」を売る広告という視点
もう一つ、このCMが秀逸だと思った理由があります。
それは、
「Adobeは安心だよね」という印象を一気に作ったこと。
正直言えば、
「それ、Adobeじゃなくてもできるよね?」
「互換ツールあるよね?」
そう思った人も多いはずです。
でも、このCMを見たあと、こう感じませんでした?
「でも、やっぱAdobeって安心だよな」
理由は簡単です。
人を分かっている会社だと感じたから。
難しい言葉を振りかざさない。
現場の雑な言葉を、否定しない。
年配の人にも、若い人にも、同じ目線で寄り添う。
これ、DX推進で一番大事な姿勢なんですよ。
DX・生成AI時代に本当に必要な「言葉の設計」
DX推進、生成AI導入、AIエージェント、Agentic AI…。
言葉はどんどん難しくなっています。
でも、現場が動くきっかけは、
いつもシンプルな一言です。
「これ、楽になる?」
「結局、何ができるの?」
「それ、今の仕事で使える?」
Adobeの広告は、
その問いに一瞬で答えた。
だから刺さった。
だから広がった。
だから記憶に残った。
これ、広告の話であり、
同時にDX推進そのものの話でもあるんですよね。
まとめ:AI時代だからこそ、人間の言葉が武器になる
このCMを見て、改めて思いました。
AI時代だからこそ、
人間が使ってきた言葉の価値が上がっている。
ガラガラポン。
がっちゃんこ。
ペライチ。
どれも古い。
どれも曖昧。
どれも非エンジニア的。
でも、だからこそ、
一瞬で伝わる。
DXや生成AIを語るとき、
つい新しい言葉を作りたくなる気持ち、分かります。
でも一度、立ち止まって考えてみてください。
あなたの現場では、どんな言葉が飛び交っていますか?
その言葉を、ちゃんと拾い上げていますか?
そこに、次の企画のヒントが転がっているかもしれません。
さいごに
AIや生成AIは、これからますます賢くなります。
AGI、ASI、超知性…そんな時代は確実に来ます。
でも、
「人にどう伝えるか」
「人がどう感じるか」
ここは、まだまだ人間の仕事です。
今回のAdobeの広告は、
そのことを静かに、でも力強く教えてくれました。
あなたのDX推進、AI導入、研修設計。
そこに人の言葉は足りていますか?
ぜひ、一度立ち止まって考えてみてください。
本日の内容が、あなたの「シンギュラリティ時代への準備」に向けた、わずかながらでも「気づき」や「次の一歩」のヒントになれたなら幸いです。
10年先の超知性ASIやAGIが当たり前になる未来に向けて、私たち自身をアップデートし続けることが、今最も重要です。
ぜひ一緒に学びを深めていきましょう。
「社員のDXマインドをどう高めるか?」
「実践的なITスキル教育が進まない」
そんなお悩みがありましたら、ぜひ一度お聞かせください。
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【重要なキーワード解説】
ガラガラポン思考(生成AI時代の企画発想)
「ガラガラポン」とは、複数の素材・情報・要素を一度すべて混ぜ込み、そこから何が出てくるかわからない状態を許容する発想法である。生成AI時代においては、プロンプトを細かく定義しすぎるよりも、あえて幅を持たせた入力を行い、偶発性を活かすことで新しいアウトプットが生まれる。重要なのは「精度」よりも「探索」。DX推進においても、最初から完璧な設計を目指すのではなく、試行錯誤を前提としたガラガラポン的思考が、結果として現場にフィットした解を導き出す。
がっちゃんこ設計(情報統合と業務効率)
「がっちゃんこ」は、複数の資料や情報を一つにまとめる行為を直感的に表現した言葉である。DXや生成AIの文脈では、データ統合・ドキュメント統合・ナレッジ集約に相当する。多くの現場では情報が分散し、探すこと自体が業務負荷になっている。がっちゃんこ設計とは、ITツールやAIを使って「探す仕事」を減らし、「考える仕事」に時間を戻すための思想であり、単なる効率化ではなく、思考の再設計を意味する。
ペライチ化(本質を一枚で伝える力)
「ペライチ化」とは、複雑な情報を一枚で説明できる状態まで抽象化・再構成する力を指す。生成AIが普及した今、情報量そのものに価値はなくなりつつある。重要なのは「何が言いたいのか」を瞬時に理解できる構造だ。DX推進や人材育成においても、最終的にペライチで語れない構想は、現場では実装されない。ペライチ化は、理解・合意・行動を生むための最終アウトプットである。
【著者紹介】
近森 満(ちかもりみつる)
■株式会社サートプロ 代表取締役CEO
IT技術者の教育支援と人材育成を専門とする事業化コンサルタントとして、2006年に株式会社サートプロを創業し、IoT検定、+DX認定、アジャイル検定などの資格制度を創出。独自の技術者向け教育研修の開発に定評があり、実践的なスキル向上を支援。経済産業省DX推進ラボおよびIoT推進ラボのメンターとして、自治体や中小企業のDX推進を支援。近年は超知性ASIスキル可視化にも取り組み、次世代技術の普及に注力している。
■所属・役職
・IoT検定制度委員会 事務局長(IoT検定、+DX認定、超知性ASI検定)
・一般社団法人 IT職業能力支援機構 理事長(Android資格)
・電気・電子系技術者育成協議会 副理事長(E検定)
・NPO 組込みソフトウェア管理者技術者育成研究会 メンバー(組込み)
・ET教育フォーラム合同会社 代表(コンテンツ制作)
・経済産業省地方版IoT推進ラボ ビジネス創出事業メンター(IoT支援)
・経済産業省地域DX推進ラボ ビジネス創出事業メンター(DX支援)
・デジタル庁デジタル推進委員(デジタル化支援)
・DX事業共同組合 設立理事(DX推進)
・一般社団法人日本サステナブルビジネス機構 幹事(SDGs認証)
・”一億総活躍社会を実現する”共生日本協議会 理事(DEI支援)
・アジャイル開発技術者検定試験コンソーシアム 事務局長(Agile検定)
・一般社団法人国際サイバーセキュリティ協会 事務局長(IACS認定)
