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DXは進化か、暴走か。——モンスターを育てるのは人間の“意識”だった

2026年1月6日
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DXは進化か、暴走か。——モンスターを育てるのは人間の“意識”だった

【記事概要】

この記事では、多くの企業でDXが停滞してしまう本当の原因と、それを突破するための「MX(マインド・トランスフォーメーション)」という新しい思考法について学ぶことができます。

難解なビジネス理論ではなく、ユニークな「モンスターの進化」に例えることで、技術導入と同時に必須となる「人の意識変革」のステップ(受容・行動・文化)を視覚的に理解できるのが特徴です。

単なるツール導入で終わらせず、どうすれば組織の文化をアップデートし、現場の疲弊を防ぎながら真の変革を起こせるのか。明日からのDX推進に役立つ、実践的な視点とヒントを持ち帰っていただけます。

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目次

こんにちは、IT・DX教育サービスの株式会社サートプロ 近森満です。
www.certpro.jp/blogs/dx_chikamori/
当社では「DX推進人材教育プログラム」として初回無料のコンサルティングを提供しています。DX推進や人材育成のご相談をお待ちしています。
www.certpro.jp/dxconsulting/

マンネリ化したDXに違う視点を持つ

突然ですが、皆さんの会社では「DX(デジタルトランスフォーメーション)」、進んでいますでしょうか?

「もちろん! 最新のクラウドツールを導入したよ」
「AIを使って業務効率化に取り組んでいるところだ」

そんな頼もしい声が聞こえてきそうです。しかし、その一方で、こんなため息混じりの声も、私の耳には届いています。

「ツールは増えたけど、結局やることは変わってないんだよね…」 「『DXだ!』って上は言うけど、現場は新しいシステムの入力作業で手一杯だよ…」

これは一体、どういうことでしょうか。本来、私たちを楽にし、ビジネスを加速させるはずのDXが、なぜか現場を疲弊させ、新たな重荷になってしまっている。

私は、この奇妙な現象を解き明かすために、一つの思考実験をしてみることにしました。

それは、「DXをモンスターの育成ゲームに例えてみる」というアプローチです。

もし、私たちが日々向き合っているデジタル技術が、意思を持った生き物だとしたら? それはどんな風に進化し、私たち人間とどんな関係を築いていくのでしょうか。

今日のブログでは、少し変わった視点から、DXの本質と、それを成功させるための鍵となる「もう一つの進化」についてお話ししたいと思います。

DXをモンスターの進化に例えてみる

まず、私たちが育てようとしている「DXモンスター」の正体について、改めて考えてみましょう。

彼らは最初から凶暴なわけではありません。生まれたばかりの頃は、小さくて、少し不器用で、でも私たちの役に立ちたいと願う、愛らしいペットのような存在です。

私たちは彼らに「データ」という餌を与え、「業務への適用」というトレーニングを積ませます。すると彼らは経験値を獲得し、レベルアップし、やがて驚くべき姿へと「進化」を遂げていきます。

私が定義するDXモンスターの進化系統、名付けて「デジタル3兄弟」を紹介しましょう。

1. デジビット (Dejibit)

【第1形態:デジタイゼーション(アナログ・デジタル変換期)】

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まだ進化の始まりにいる、少し鈍重なモンスターです。 その体は、古びた紙の書類やファイル、木製のハンコが不恰好に集まってできています。そう、彼らは「物理的な重み」にまだ縛られているのです。

しかし、その胸には進化の種である「青いデータコア」が埋め込まれています。彼らは一生懸命、口から紙の書類をモグモグと食べ、それをデジタルの「0と1」のデータに変えて吐き出そうとします。 まだ単独では大きな仕事はできませんが、「紙をなくす」という最初の重要なステップを担う、健気な存在です。

2. デジリンクス (Dejilinks)

【第2形態:デジタライゼーション(プロセス変革期)】

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デジビットが経験を積み、無駄なものを削ぎ落として進化した姿です。 重かった紙の体は、洗練された青と銀の金属装甲へと変わりました。まるで訓練された警察犬のようにスリムで俊敏な、メカニカルなビーストです。 胸のデータコアはより強く輝き、そこから伸びる太いケーブルが血管のように全身を駆け巡っています。

彼らの能力は「自動化」と「連携」です。 バラバラだったデータを繋ぎ合わせ、人間がやっていた定型業務を高速で代行します。一度走り出したら止まらない、頼もしいパートナーです。

3. ディエクス (D-X)

【最終形態:デジタルトランスフォーメーション(ビジネス・社会変革期)】

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そして、進化の頂点に立つのがこの「ディエクス」です。 もはや物理的な身体すら持っていません。青、紫、金色に輝くエネルギーの奔流そのものとなった、神々しくも恐ろしい存在です。 胸のデータコアは太陽のように強烈な光を放ち、そのエネルギーは周囲の空間にまで干渉します。

彼らの能力は「ルールそのものの書き換え」です。 既存のビジネスモデルや業界の常識を破壊し、全く新しいデジタルの秩序を創造します。その影響力は一企業にとどまらず、社会全体をも変えてしまうほどのパワーを秘めています。

いかがでしょうか。このように見ると、DXの進化は非常にエキサイティングなものに思えます。

しかし、ここには大きな落とし穴があります。

モンスターの「進化」そのものは、善でも悪でもありません。中立な自然現象のようなものです。問題は、その強力な力を「誰が、どのように使うか」という点にあります。

もし、トレーナーである私たちが、彼らの特性を理解せず、ただ闇雲にレベルだけを上げ続けたらどうなるでしょうか?

「デジリンクス」は、非効率な業務プロセスをそのまま高速で自動化し、間違った結果を大量生産するマシーンになるかもしれません。 「ディエクス」は、制御不能な嵐となって現場を襲い、これまで築き上げてきた大切な企業文化まで根こそぎ破壊してしまうかもしれません。

そう、育て方を間違えると、DXは私たちを助けるどころか、現場を疲弊させ、混乱に陥れる「暴走モンスター」になってしまうのです。

モンスターは技術ではなく「意識」で進化する

なぜ、多くの企業でDXモンスターの暴走が起きてしまうのでしょうか? なぜ、高価なツールを導入しても、期待した成果が得られないのでしょうか?

その答えはシンプルです。

「技術の進化」に対して、「人間の意識の進化」が追いついていないからです。

私たちは、目の前のデジタル技術、つまり「デジタル3兄弟」のレベル上げには熱心です。最新のAI、クラウド、IoT……。予算を投じて、彼らをどんどん強くしようとします。

しかし、それを扱うトレーナー自身、つまり経営者や現場の社員一人ひとりの「OS(思考回路)」は、旧態依然としたままではないでしょうか?

「前例がないから不安だ」
「今までのやり方を変えたくない」
「デジタルは専門部署がやればいい」

そんな古いOSのまま、最新のモンスターを操ろうとしても、うまくいくはずがありません。最強の剣を手に入れても、使い手の剣術が未熟では、自分を傷つけてしまうのと同じです。

DXを成功させるためには、デジタルモンスターの進化に合わせて、私たち人間側も進化しなければなりません。

そこで必要となるのが、もう一つの進化の系譜、私が「MX(マインド・トランスフォーメーション)思考」と呼ぶ概念です。

MX思考とは何か

MX思考とは、単なる「やる気」や「心構え」といった精神論ではありません。 デジタル変革を「他人事」ではなく「自分ごと」として捉え直し、自らの仕事観、価値観、そして判断基準を、デジタル時代に合わせてアップデートし続ける、能動的な意識の変革プロセスです。

このMX思考の進化も、デジタル3兄弟と対になる、美しい「マインド3姉妹」の姿で表現してみましょう。

1. メルティン (Meltin)

【MX第1段階:マインドソフト(受容と緩和)】

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変化に対する最初の壁は、恐怖心や拒絶反応です。「どうせ無理」「面倒くさい」といった感情で、私たちの心はカチコチに凍りついています。 そんな心を優しく溶かしてくれるのが、この「メルティン」です。

彼女は、半透明で柔らかいスライムのような、愛らしい妖精の姿をしています。 胸には、まだ凍りついた青白い「マインドハート(心の結晶)」がありますが、その中心からは微かに温かい光が漏れ出し、氷を溶かし始めています。

彼女の役割は「雪解け」です。 「デジタルは敵じゃないよ」「失敗しても大丈夫だよ」と語りかけ、変化に対するアレルギー反応を和らげます。彼女が進化しないと、新しいツールは「異物」として組織から排除されてしまいます。

2. アクティナ (Actina)

【MX第2段階:マインドチェンジ(適応と実践)】

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心が解き放たれたら、次は行動を変える段階です。 メルティンが進化した「アクティナ」は、スポーツウェアに身を包んだ、活発で情熱的な妖精です。

彼女の胸の「マインドハート」は、もう完全に溶け、赤く燃える炎となって力強く脈打っています。その情熱のエネルギーが全身に行き渡り、手足が光り輝いています。頭のアンテナは、新しい情報に敏感に反応するシナプスのように変化しました。

彼女の信条は「習うより慣れろ」です。 新しいツールを恐れず触ってみる。これまでのやり方を捨てることを厭わない。失敗を恐れず、むしろそれを糧にして、自らの行動パターンをどんどん書き換えていく。そんな現場の推進力となる存在です。

3. トランセンド (Transcend)

【MX最終段階:マインドトランスフォーメーション(文化と本質の変革)】

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そして、個人の意識変革が組織全体へと波及し、文化そのものが変わる段階に至ったのが、この「トランセンド」です。

彼女はもはや、特定の個人の心に宿る存在ではありません。重力から解放され、優雅に浮遊する女神のような姿で描かれます。 胸の「マインドハート」は、虹色に輝く強烈な光源となり、後光のように彼女自身を包み込んでいます。頭のアンテナは巨大な光輪(ヘイロー)となり、そこから放たれる波動が、周囲の人々の意識を覚醒させていきます。

彼女が象徴するのは「悟り」と「伝播」です。 「デジタルを使う」という意識すらなく、空気のように当たり前にデジタルと共存している状態。個人の変革が組織のミッションと深くリンクし、それが新しい組織文化として定着した状態です。

DXだけが進むと起きる歪み

ここまでお話しすれば、もうお分かりでしょう。

DXの成功は、「デジタル3兄弟(技術)」と「マインド3姉妹(意識)」が、ペアになってバランスよく進化していくことでしか成し遂げられません。

もし、マインド3姉妹が未熟なまま、デジタル3兄弟だけがレベルアップしてしまうと、組織には様々な「歪み」が生じます。

冒頭で触れた、「ツールは増えたが仕事は減らない」という現象。 これは、デジリンクス(自動化ツール)が導入されたにもかかわらず、人間の意識がまだメルティン(変化への恐怖)の段階に留まっているために起こります。 「念のため、紙でも残しておこう」「新しいシステムは信用できないから、Excelでも管理しよう」 その結果、新旧の業務が二重化し、現場の負担が倍増してしまうのです。

「データはあるが意思決定が遅い」という現象も同様です。 デジビットがせっかく大量のデータを吐き出しても、それを読み解き、行動に移すアクティナ(実践力)が育っていなければ、データはただのゴミの山です。宝の持ち腐れどころか、管理コストだけが増えていきます。

そして、「現場が疲弊する」という最も深刻な事態。 これは、ディエクスのような強大な変革の波が押し寄せているのに、組織文化がトランセンドへと昇華しておらず、旧来の評価制度や組織構造のままで対応しようとするから起こります。 変化の圧力と、変われない組織の構造的な矛盾。その狭間で、最も負荷がかかる現場の人間が、軋みを上げて潰れてしまうのです。

これらはすべて、DXの失敗ではありません。
MXが追いついていないが故に起きる、必然的な「成長痛」であり、危険なサインなのです。

終わりに

DXは、魔法の杖ではありません。 それは、私たちが育て、共に歩んでいくパートナーです。

あなたの会社のデジタルモンスターたちは、今、どんな顔をしていますか? 彼らは、あなたを助けてくれていますか? それとも、あなたを困らせていますか?

もし、彼らが暴走気味だと感じるなら、一度立ち止まって、彼ら自身のレベルではなく、彼らを導くトレーナーである、あなた自身の心の中にいる「マインド3姉妹」に目を向けてみてください。

彼女たちは、まだ凍えていませんか? 情熱の炎は、燃えていますか?

技術の進化は、待ってくれません。しかし、意識の進化は、いつからでも、誰にでも始められます。

まずは、心の氷を溶かすことから始めましょう。 そして、最強のデジタルモンスターたちを従え、誰も見たことのない新しいビジネスの景色を見に行こうではありませんか。

進化の鍵は、常に人間が握っているのですから。

さいごに

本日の内容が、あなたの「シンギュラリティ時代への準備」に向けた、
わずかながらでも「気づき」や「次の一歩」のヒントになれたなら幸いです。

10年先の超知性ASIやAGIが当たり前になる未来に向けて、
私たち自身をアップデートし続けることが、今最も重要です。

ぜひ一緒に学びを深めていきましょう。

「社員のDXマインドをどう高めるか?」
「実践的なITスキル教育が進まない」
そんなお悩みがあれば、ぜひ一度お聞かせください。

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あなたの組織の課題解決に必ずお役に立ちます。
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次回の記事も、どうぞお楽しみに!


【著者紹介】

近森 満(ちかもりみつる)
■株式会社サートプロ 代表取締役CEO
IT技術者の教育支援と人材育成を専門とする事業化コンサルタントとして、2006年に株式会社サートプロを創業し、IoT検定、+DX認定、アジャイル検定などの資格制度を創出。独自の技術者向け教育研修の開発に定評があり、実践的なスキル向上を支援。経済産業省DX推進ラボおよびIoT推進ラボのメンターとして、自治体や中小企業のDX推進を支援。近年は超知性ASIスキル可視化にも取り組み、次世代技術の普及に注力している。
■所属・役職
IoT検定制度委員会 事務局長(IoT検定、+DX認定、超知性ASI検定)
一般社団法人 IT職業能力支援機構 理事長(Android資格)
電気・電子系技術者育成協議会 副理事長(E検定)
NPO 組込みソフトウェア管理者技術者育成研究会 メンバー(組込み)
ET教育フォーラム合同会社 代表(コンテンツ制作)
経済産業省地方版IoT推進ラボ ビジネス創出事業メンター(IoT支援)
経済産業省地域DX推進ラボ ビジネス創出事業メンター(DX支援)
デジタル庁デジタル推進委員(デジタル化支援)
DX事業共同組合 設立理事(DX推進)
一般社団法人日本サステナブルビジネス機構 幹事(SDGs認証)
”一億総活躍社会を実現する”共生日本協議会 理事(DEI支援)
アジャイル開発技術者検定試験コンソーシアム 事務局長(Agile検定)
一般社団法人国際サイバーセキュリティ協会 事務局長(IACS認定)

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