
【記事概要】
AI時代に人間に残る仕事は何か?
その問いに対して、近森満は「デバッグ」という、一見地味だが本質的な役割を提示します。本記事では、Spotify Podcast「超知性AI時代のDX企画書のネタ帳」で語られた内容をもとに、日本語という言語の特殊性と強み、そして生成AI時代における人間の価値を深掘りしていきます。
ひらがな・カタカナ・漢字が混在し、意味・文脈・空気感までを一瞬で読み取る日本語。その複雑さゆえに、世界では「扱いづらい言語」とされてきましたが、実はこの日本語こそが、AIの誤りや違和感を見抜く“最強のデバッグツール”になり得るという視点が提示されます。江戸時代から高い識字率を誇り、文字を「意味」や「イメージ」で捉えてきた日本人の脳の使い方は、生成AIが高度化すればするほど価値を持つ――そんな逆転の発想です。
また、AIの進化によって仕事が奪われるのではなく、「AIのアウトプットを正しく疑い、修正し、方向づける力」が人間に求められる時代に入ったというメッセージも語られます。これは単なるITスキルの話ではなく、学び方を学び続ける姿勢、日本語を正しく扱う力、そして違和感に気づく感性そのものが問われる話です。
DX推進、生成AI、AGI・ASIといった大きなテーマを背景に、「学び続ける日本人」であることの意味を、あらためて考え直すきっかけとなる内容です。

【本文】
こんにちは、IT・DX教育サービスの株式会社サートプロ 近森満です。
www.certpro.jp/blogs/dx_chikamori/
新年明けましておめでとうございます。
2026年、仕事始めの朝に、少しだけ立ち止まって考えてみたいテーマがあります。
それは、「AI時代に、人間に残る仕事は何なのか?」という問いです。
最近は、生成AI、AIエージェント、Agentic AI、AGI、ASI…
正直、もうお腹いっぱいという方も多いのではないでしょうか。
私自身も、ITシステムやAIに振り回されて「もう勘弁してくれ…」と思う瞬間が、めちゃくちゃあります。
それでも、考えずにはいられない。
なぜなら、この問いは「スキルセット」や「キャリアパス」の話に留まらず、私たちのマインドセットそのものを揺さぶるからです。
AIが進化すると、人間の仕事はどうなるのか?
結論から言ってしまうと、
AIが進化すればするほど、人間のやる仕事は減っていきます。
これは煽りでも何でもなく、冷静に考えれば当然の話です。
計算、検索、文章生成、要約、翻訳、企画のたたき台…。
これまで「知的労働」と呼ばれてきた多くの作業は、すでに生成AIが人間以上のスピードでこなします。
では、人間は何をするのか。
私が今、かなり腹落ちしている答えが、
「デバッグ」です。
AI時代に最後まで残る仕事は「デバッグ」
デバッグとは、簡単に言えば「誤りを見つけて直すこと」。
プログラムの世界ではおなじみですが、これはITエンジニアだけの話ではありません。
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文章の違和感
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文脈のズレ
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意味の破綻
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表現の不自然さ
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「なんかおかしいな」という感覚
これらを瞬時に察知し、修正する力。
これこそが、AI時代に人間が担う役割だと考えています。
特に日本では、この「デバッグ能力」が、めちゃくちゃ重要になってきます。
日本語は、世界最強の“面倒くさい言語”
日本語は、正直に言って とても面倒くさい言語 です。
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ひらがな
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カタカナ
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漢字
これだけでも十分ややこしいのに、
一つの言葉が複数の意味を持ち、文脈や空気感で解釈が変わる。
他にも方言、略語、ギャル語w
外国の方が日本語を学ぶときに、
「これは無理ゲーだ」と感じるのもわからなくはありません。
ただ、日本人はこの日本語を、当たり前のように使いこなしている。
これ、冷静に考えるとすごいことです。
日本語は「読む」ではなく「キャプチャーする」
日本語の特徴の一つは、
文字を意味やイメージで捉える という点です。
漢字は、もともと象形文字。
つまり、文字そのものが「絵」なんですよね。
私たちは文章を一文字ずつ読んでいるようで、実は
意味のかたまりでスキャンしている。
いわゆる「アハ体験」も、その一例です。
この能力は、小さい頃から日本語に触れ、
漢字かな交じり文に慣れ親しんできたからこそ身についています。
江戸時代の識字率が示す、日本の土台
よく言われる話ですが、江戸時代の日本の識字率は
60〜80% だったと言われています。
義務教育が始まる前ですよ。
世界的に見ても、これはかなり異常値です。
文字社会が、すでに文化として根付いていた。
この「文字を扱う文化」が、
現代の生成AI時代において、思わぬ形で価値を持ち始めています。
なぜ日本語はAIの「嘘」に気づけるのか
生成AIは、とても賢くなりました。
それでも、ハルシネーション、つまり、もっともらしい嘘はゼロにはなりません。
特に日本語では、
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言い回しが不自然
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普段使わない表現
-
文脈として微妙にズレている
-
会社や組織の文化に合わない言葉遣い
こうした違和感が、どうしても残ります。
日本人は、これに一瞬で気づく。
なぜなら、文章を「文字」ではなく
感覚値・イメージ・意味合いで捉えているからです。
これが、AI時代における「デバッグ能力」の正体です。
AIに任せる仕事、人間がやる仕事
AIが得意なのは、
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大量処理
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スピード
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パターン化
-
平均値
一方、人間が得意なのは、
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違和感に気づく
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空気を読む
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文脈を補正する
-
「これは違う」と言える勇気
DX推進やデジタル・トランスフォーメーションが進めば進むほど、
この役割分担は明確になっていきます。
学び直しの本質は「日本語」にある
ここで大事なのは、
リスキリング=新しいツールを覚えることではない、という点です。
もちろん、生成AIやAIエージェントを使いこなすスキルは重要です。
でも、それ以上に大切なのは、
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正しく読む力
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正しく書く力
-
違和感を言語化する力
つまり、日本語を正しく扱う力。
AI時代のマインドチェンジ、マインドシフトとは、
実はとても地味で、原点回帰的なものなのかもしれません。
小学校レベルの学びが、未来を救う
私が小学生の頃に覚えた文章、
今でも頭の中に残っています。
意味は単純でも、構造が美しい。
言葉の並びが自然。
こうした基礎的な日本語体験が、
今になって、AI時代の武器になるとは思いませんでした。
情操教育、読み書き、考える力。
これらは「古い教育」ではなく、超知性時代の基礎教養です。
デジタル3兄弟とマインド3姉妹
私はよく、
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デジタイゼーション
-
デジタライゼーション
-
デジタルトランスフォーメーション
を「デジタル3兄弟」と呼びます。
そして、それを使いこなすために必要なのが、
-
マインドシフト
-
マインドチェンジ
-
マインドトランスフォーメーション
この「マインド3姉妹」です。
技術だけ学んでも意味がない。
心構えだけ語っても現場は動かない。
この両輪を回せる人材こそが、
これからのDX推進、キャリアパス設計の中核になります。
まとめ:AI時代、人間は「振り回される側」では終わらない
AIに振り回される時代は、確かにしんどい。
でも、振り回されるだけで終わる必要はありません。
振り回す側に回る。
その第一歩は、
日本語を正しく学び直し、
AIのアウトプットを疑い、
修正し、方向づけること。
それが、AI時代における
人間の最後の、そして最も価値ある仕事です。
さいごに
本日の内容が、あなたの「DX推進」や「人材育成・教育支援」、
そして AGI・ASIが当たり前になる未来 に向けた、
小さな気づきになれば幸いです。
10年先を恐れるより、
今日の日本語を丁寧に扱うこと。
それが、超知性時代を生き抜く、
一番確実な準備だと、私は思っています。
当社では「DX推進人材教育プログラム」として
初回無料のコンサルティングを提供しています。
DX推進や人材育成でお悩みでしたら、ぜひ一度ご相談ください。
www.certpro.jp/dxconsulting/
次回の記事も、どうぞお楽しみに。
重要なキーワード解説
デバッグ(Debug)
AI時代における「デバッグ」とは、単なるプログラム修正ではありません。生成AIが生み出す文章・企画・判断結果に対し、「違和感」「ズレ」「文脈破綻」「意味のねじれ」を見抜き、修正・補正・方向づけを行う人間の知的行為そのものを指します。特に日本語は、漢字かな交じり文や文脈依存性が高く、意味をイメージ単位で捉える特性があります。そのため、日本人はAIのもっともらしい誤り(ハルシネーション)に気づきやすい。AIが高度化するほど、人間の価値は「正解を出すこと」ではなく、「間違いに気づき、問い直すこと」に移行します。デバッグ力は、DX推進・人材育成・経営判断においても、最後まで残る本質的スキルです。
マインド・トランスフォーメーション
マインド・トランスフォーメーションとは、単なる意識改革ではなく、「技術進化を前提にした思考様式そのものの変換」を意味します。生成AIやAIエージェントが当たり前になる時代においては、従来の成功体験や専門分野への固執が、むしろリスクになります。重要なのは、学び直しを前向きに捉え、スキルチェンジやキャリアパスの再設計を自然に受け入れる姿勢です。DX推進が進まない組織の多くは、技術不足ではなく、マインドセットが旧来型のまま止まっています。マインド・トランスフォーメーションは、個人にも組織にも不可欠な「見えないDX基盤」です。
超知性リテラシー(AGI・ASI時代の基礎力)
超知性リテラシーとは、AGI(汎用人工知能)やASI(超知性)が前提となる未来において、人間が持つべき判断力・読解力・疑問力の総称です。AIを「使う側」と「使われる側」を分けるのは、操作スキルではなく、このリテラシーの有無です。特に重要なのが、AIの出力を無批判に受け取らず、前提条件・文脈・目的を問い直す力。日本語を正しく扱い、意味の揺らぎに敏感であることは、超知性時代において大きな武器になります。超知性リテラシーは、未来の読み書き算盤とも言える基礎教養です。
【著者紹介】
近森 満(ちかもりみつる)
■株式会社サートプロ 代表取締役CEO
IT技術者の教育支援と人材育成を専門とする事業化コンサルタントとして、2006年に株式会社サートプロを創業し、IoT検定、+DX認定、アジャイル検定などの資格制度を創出。独自の技術者向け教育研修の開発に定評があり、実践的なスキル向上を支援。経済産業省DX推進ラボおよびIoT推進ラボのメンターとして、自治体や中小企業のDX推進を支援。近年は超知性ASIスキル可視化にも取り組み、次世代技術の普及に注力している。
■所属・役職
・IoT検定制度委員会 事務局長(IoT検定、+DX認定、超知性ASI検定)
・一般社団法人 IT職業能力支援機構 理事長(Android資格)
・電気・電子系技術者育成協議会 副理事長(E検定)
・NPO 組込みソフトウェア管理者技術者育成研究会 メンバー(組込み)
・ET教育フォーラム合同会社 代表(コンテンツ制作)
・経済産業省地方版IoT推進ラボ ビジネス創出事業メンター(IoT支援)
・経済産業省地域DX推進ラボ ビジネス創出事業メンター(DX支援)
・デジタル庁デジタル推進委員(デジタル化支援)
・DX事業共同組合 設立理事(DX推進)
・一般社団法人日本サステナブルビジネス機構 幹事(SDGs認証)
・”一億総活躍社会を実現する”共生日本協議会 理事(DEI支援)
・アジャイル開発技術者検定試験コンソーシアム 事務局長(Agile検定)
・一般社団法人国際サイバーセキュリティ協会 事務局長(IACS認定)
