
【記事概要】
生成AIは私たちの仕事や思考をどこまで変えたのか。
今年一年を振り返ると、多くの現場で聞こえてくるのは「生成AIに振り回された」という本音ではないでしょうか。最新モデルのリリース、精度向上、話題性のあるアップデート。そのたびにSNSでは「こんなことができた」「こんな使い方がある」と、大喜利大会のようなアウトプット合戦が繰り広げられました。
一方で、現実のDX推進の現場を見渡すと、デジタル・トランスフォーメーションが順調に進んでいる企業と、いまだデジタライゼーションやデジタリゼーションの段階で足踏みしている企業の差は、ますます広がっています。生成AIやAGI、ASIといった未来の話題が盛り上がるほど、足元の業務プロセスや人材育成、マインドセットの重要性が浮き彫りになっているのです。
生成AIは、従来のITシステムのように「同じ操作をすれば同じ答えが返ってくる」道具ではありません。むしろ、何が出てくるかわからないガチャであり、人の問いの立て方次第で結果が大きく変わる“大喜利型”のテクノロジーです。その不確実性を楽しみながら、仕事にどう活かすかを考える姿勢こそが、これからのDX人材に求められます。
さらに2026年以降、本格化すると言われるAIエージェント時代。24時間365日、文句も言わずに動いてくれるパートナーを前提にした働き方は、私たちのスキルセットやキャリアパス、そしてマインドチェンジを根本から問い直します。本記事では、生成AIを「流行りの道具」で終わらせないために、今なにを考え、どう行動すべきかを、現場目線で掘り下げていきます。

【本文】
こんにちは、IT・DX教育サービスの株式会社サートプロ 近森満です。
www.certpro.jp/blogs/dx_chikamori/
当社では「DX推進人材教育プログラム」として初回無料のコンサルティングを提供しています。
DX推進や人材育成のご相談をお待ちしています。
www.certpro.jp/dxconsulting/
今年を一言で振り返ると、私の中でははっきりしています。
2025年は、生成AIの「大喜利大会」で終わった一年でした。
デジタル業界に身を置いていると、生成AIのアップデートに振り回されない日はありません。
朝起きれば新機能、昼にはSNSでの活用自慢、夜には「これが最強プロンプトだ」というまとめ記事。
情報の洪水です。
一方で、DX推進の現場はどうだったか。
正直に言えば、生成AIの進化スピードと、現場のDXの進捗には大きなギャップがありました。
DXが進んでいる企業と、まったく進まない企業。その差は、今年さらに拡大したと感じています。
生成AIに振り回された一年
私は今年一年、あらゆる場所で「生成AIどうですか?」と聞かれました。
AGIが来る、ASIが来る、AIが人を超える。
そうした話題は確かに刺激的です。
しかし現場では、生成AIがどれだけ進化しても、アナログな業務プロセスや、人の意識、マインドセットが足を引っ張っているケースが多く見られました。
生成AI以前に、そもそも業務が整理されていない。
デジタライゼーションやデジタリゼーションの段階で止まっている企業も少なくありません。
DX推進という言葉が当たり前になった今でも、実態はまだ道半ばです。
ITシステムと生成AIの決定的な違い
ここで一度、ITシステムと生成AIの違いを整理しておきます。
これまでのITシステムは、決まった手順を踏めば、決まった結果が返ってくるものでした。
銀行のATMを思い出してください。
誰が操作しても、カードを入れ、暗証番号を入力し、金額を指定すれば、同じ結果が返ってきます。
UIは分かりやすく、操作手順も共通化され、結果は一つ。
これが従来のITシステムの世界です。
一方、生成AIはまったく違います。
同じ指示をしても、同じアウトプットは二度と出てこない。
画像生成でも、文章生成でも、毎回違う結果が返ってきます。
私はこれをよく「ガチャ」と表現します。
何が出てくるか分からない。
だからこそ、生成AIはガチャガチャであり、大喜利大会になるのです。
大喜利化する生成AIアップデート

新しい生成AIのバージョンが出ると、必ず起きる現象があります。
「何ができるようになったんですか?」という問いです。
この問いが投げられた瞬間、SNSでは大喜利が始まります。
「こんな使い方ができた。」
「こんなアウトプットが出た。」
「このプロンプトが有効!」
面白い例、すごい例、アイデアが次々と投稿されます。
これは、これまでのITにはなかった文化です。
生成AIは、人のプロセスそのものを扱う技術だからです。
どう指示するか。
何を問いとして投げるか。
どのアウトプットを良しとするか。
そのすべてが人に委ねられています。
GoogleやOpenAI、Anthropicも、最終的な品質判断はユーザーに任せています。
生成AIは、正解を返す機械ではありません。
仕事で求められる生成AIの使い方
仕事の世界では、本来、答えは一つであるべき場面が多くあります。
表計算の結果が毎回違ったら困ります。
以前は、生成AIを使うことで「答えが合わない」「使えない」という声も多くありました。
ただし、最近は精度が改善され、実務で使える場面も増えています。
それでも、生成AIは百の答えを出す仕組みです。
どれを採用するか。
どう修正するか。
どう責任を持つか。
その答えはだれかの正解であっても、みんなが正解とは思わないかもしれません。
この最終的な判断、ここが人の仕事になります。
生成AIは、正解を与える存在ではありません。
人が正解に近づけるためのパートナーです。
正解は選ぶものではなく、作るもの
世の中に唯一の正解はありません。
どんなプロセスを通り、どんな選択をしたか。
結果として、それが正解だったと定義されるだけです。
生成AIのアウトプットも同じです。
AIが出したものが、そのまま価値になるわけではありません。
それをどう使い、どう説明し、どう納得してもらうか。
ここに人の努力が必要です。
生成AIの登場によって、むしろ人の意思決定力と覚悟が、より強く問われるようになりました。
エンターテインメント化する生成AI

生成AIは、エンターテインメントとの相性が非常に良い技術です。
キャラクタービジネス、ショート動画、ゲーム、アニメ。
有名キャラクターが使えるようになれば、楽しさは一気に広がります。
ガチャガチャも同じです。
ゴミしか出てこないなら、誰も回しません。
たまに当たりが出るから、楽しい。
生成AIも、突拍子もないアウトプットがたまに出るから、使い続けられているのです。
それが仕事に使えることもある。
だからこそ、私たちは生成AIを手放せないのです。
全員参加の大喜利大会
生成AIの大喜利大会には、参加しないという選択肢はありません。
参加しなければ、キャッチアップは確実に遅れます。
ただし、流される必要はありません。
自分なりの問いを持つ。
目的を持って使う。
この姿勢が重要です。
AIエージェント元年の始まり
来年以降、本格化するのがAIエージェントです。
24時間365日、文句も言わずに動き続けるパートナー。
私自身、音声配信を自動で文字起こしし、ブログ化し、翌日には下書きが完成している世界を目指しています。
正直に言えば、まだうまくいっていません。
やろうとしているけれど、思った通りには動かない。
それでも、この試行錯誤こそが価値だと思っています。
AIエージェントは、使うものから、任せるものへ。
そのためには、スキルチェンジだけでなく、マインドチェンジが不可欠です。
まとめ:生成AI時代に問われる人の役割
生成AIは魔法の杖ではありません。
ガチャであり、大喜利であり、人の思考を映す鏡です。
正解を探すのではなく、正解にしていく。
この姿勢こそが、DX推進と人材育成の核心です。
さいごに
本日の内容が、あなたのシンギュラリティ時代への準備に向けた、気づきや次の一歩のヒントになれば幸いです。
10年先、AGIやASIが当たり前になる未来に向けて、私たち自身をアップデートし続けることが、今もっとも重要です。
DX推進や人材育成で悩んでいる方は、ぜひ一度ご相談ください。
初回無料のDX推進人材教育プログラムで、必ずお役に立ちます。
www.certpro.jp/dxconsulting/
次回の記事も、どうぞお楽しみに。
キーワードの解説
生成AI
生成AIとは、文章・画像・音声・プログラムコードなどを自動生成するAI技術の総称です。従来のITシステムが「決められた入力に対して決められた出力を返す」のに対し、生成AIは同じ指示でも異なるアウトプットを返すという特徴を持ちます。この特性は、創造性や発想支援には非常に有効ですが、業務利用においては「正解が一つではない」という前提理解が不可欠です。生成AIは魔法の答え製造機ではなく、人の問いの質や目的意識を映し出す鏡であり、DX推進においてはツールではなく思考拡張装置として捉える必要があります。
DX推進
DX推進とは、単なるIT導入や業務効率化ではなく、デジタル技術を活用して組織・ビジネスモデル・価値提供そのものを変革する取り組みです。現場では「DX」という言葉だけが先行し、デジタライゼーションやデジタリゼーションの段階で止まってしまうケースが多く見られます。生成AIの登場によってDX推進は加速する一方、人材のスキルセットやマインドセットが追いつかないという課題も顕在化しています。DX推進の本質は、技術導入ではなく、人の意思決定と行動変容にあります。
AIエージェント
AIエージェントとは、与えられた指示や目的に基づき、自律的に判断・実行を行うAIのことです。24時間365日稼働し、人の代わりに業務を遂行する存在として注目されています。単発の生成AI利用と異なり、AIエージェントは「任せる」ことが前提となるため、業務設計や責任分界、マインドチェンジが不可欠です。今後のDXでは、AIエージェントと人がどう役割分担するかが競争力を左右します。
【著者紹介】
近森 満(ちかもりみつる)
■株式会社サートプロ 代表取締役CEO
IT技術者の教育支援と人材育成を専門とする事業化コンサルタントとして、2006年に株式会社サートプロを創業し、IoT検定、+DX認定、アジャイル検定などの資格制度を創出。独自の技術者向け教育研修の開発に定評があり、実践的なスキル向上を支援。経済産業省DX推進ラボおよびIoT推進ラボのメンターとして、自治体や中小企業のDX推進を支援。近年は超知性ASIスキル可視化にも取り組み、次世代技術の普及に注力している。
■所属・役職
・IoT検定制度委員会 事務局長(IoT検定、+DX認定、超知性ASI検定)
・一般社団法人 IT職業能力支援機構 理事長(Android資格)
・電気・電子系技術者育成協議会 副理事長(E検定)
・NPO 組込みソフトウェア管理者技術者育成研究会 メンバー(組込み)
・ET教育フォーラム合同会社 代表(コンテンツ制作)
・経済産業省地方版IoT推進ラボ ビジネス創出事業メンター(IoT支援)
・経済産業省地域DX推進ラボ ビジネス創出事業メンター(DX支援)
・デジタル庁デジタル推進委員(デジタル化支援)
・DX事業共同組合 設立理事(DX推進)
・一般社団法人日本サステナブルビジネス機構 幹事(SDGs認証)
・”一億総活躍社会を実現する”共生日本協議会 理事(DEI支援)
・アジャイル開発技術者検定試験コンソーシアム 事務局長(Agile検定)
・一般社団法人国際サイバーセキュリティ協会 事務局長(IACS認定)
