
【記事概要】
IT用語の壁、それは多くの人にとって“呪文”のように感じられるものです。とくにカタカナや英語由来の専門用語が飛び交うデジタルの世界では、「わかりづらい」「とっつきにくい」と感じる人が少なくありません。本記事では、クラウドやDXなどの用語が、なぜこれほどまでに日常に浸透しながらも難解に映るのか、その背景や教育現場での工夫、さらには用語に対するマインドセットの変革までを、近森満の語り口でやさしく解説します。IT教育支援の現場で得られた豊富な経験をもとに、「言葉に強くなる」ための考え方やリスキリングの重要性を語り、これからの時代に必要なITリテラシーとの向き合い方を提案しています。とくに初心者や教育担当者に向けて、「学ぶことが楽しくなる」ヒントを散りばめた、やさしく、実践的な一歩を支援する記事です。

【本文】
IT用語バスターズ!クラウドもDXも“かみ砕いて”わかる解説講座|デジタルに苦手意識を持つあなたへ
こんにちは、IT・DX教育サービスの株式会社サートプロ 近森満です。
www.certpro.jp/blogs/dx_chikamori/
当社では「DX推進人材教育プログラム」として初回無料のコンサルティングを提供しています。DX推進や人材育成のご相談をお待ちしています。
www.certpro.jp/dxconsulting/
IT用語って、なんでこんなにわかりづらいの?
「クラウド?DX?聞いたことはあるけど、正直よくわからない」。
そんな声、IT教育の現場ではよく耳にします。まるで呪文のような三文字熟語やカタカナ用語が飛び交い、聞くだけでアレルギー反応を起こしてしまう方も少なくありません。
とくに初学者やベテラン世代には「デジタル=難しい」「自分には関係ない」といった苦手意識が根強く、これがリスキリングの足かせにもなっています。
しかし、私たちIT業界の人間に求められるのは「わからない人を非難する」ことではなく、「わかるように伝える」こと。そう、自分たちは“仕上がっている側”であることを自覚し、これから学ぶ人たちに寄り添う姿勢こそが大切なのです。
用語アレルギーを乗り越える“かみ砕き”の工夫
事例: 高校生に聞かれた「DXって、なんでDTじゃないの?」
ある高校で講演した際、生徒からこう質問されました。
「デジタルトランスフォーメーションなら、なんで略してDTじゃないんですか?」
確かにその通り。これは用語に含まれる「Transformation」の“Trans”を「Exchange(交換)」的な意味合いで“X”と略す海外表記が由来なのですが、そんな背景を知らなければ納得できませんよね。
このように、言葉の成り立ちやイメージのズレを丁寧に紐解いていくことが、理解の第一歩になります。
クラウドって雲?それともサーバー?比喩の力を活用する
「クラウド」という言葉も誤解されやすい代表格。直訳すれば「雲」ですが、それがどうしてITに関係するのか…ピンとこない方も多いでしょう。
そこで私は「データが空に浮かぶように、世界中のどこかにあるサーバーに預けられている」とたとえます。
雲のように、どこにあるかわからないけれど、そこに確かに存在する。そんな“比喩”を通じて、IT用語を視覚的・感覚的に理解することが可能になります。
さらに「APIって何?」という質問には、「アプリ同士をつなぐ“コンセント”みたいなものですよ」と説明しています。
実体験ベースのリテラシー教育のススメ
私自身、アナログからデジタルへと歩んできた世代です。小学生の頃にはアマチュア無線にハマり、中学で電気部に所属、テレビを分解して部品を集めては喜んでいました。
このような「触れて覚える体験」こそ、学びを楽しいものに変える鍵。今のようにスマホが当たり前になる以前は、雑誌『週刊アスキー』のような初心者向け媒体が道しるべになっていました。
学びにおいては、手を動かすことで「わかる」「できる」が連鎖していきます。言葉だけの暗記はつまらないもの。ですが、実体験を通じて用語を結びつければ、自然と理解が進むのです。
用語理解のカギは“興味の連鎖”にあり
「知らない言葉が出てきたら、すぐ調べる」
これ、私のクセなんです。最近では生成AIにもすぐに聞いてしまいます(笑)。
でも、この習慣がとても大切。知らない言葉を放置せず、メモを取り、少しずつ関連づけていく。それが“学びの連鎖”を生みます。
「APIを調べたら、次はクラウドに興味が出てきた」
「クラウドを知ったら、今度はSaaSって何?となった」
このように、言葉は単独ではなく、つながって意味を持つものです。
だからこそ、IT教育においては「一覧表で用語を丸暗記」よりも、「興味を引き出す工夫」が重要だと私は考えています。
事例: IT初心者を育てる講座で意識すること
私たちの会社が実施しているIT教育講座でも、必ず最初に「不安を安心に変える」セッションを行います。
「クラウドって雲?なんかあやしい…」という印象から、「雲の中にある共有倉庫みたいなもんですよ」と説明すれば、ほとんどの受講者がホッとした表情を見せます。
こうした“とっつきやすさ”が、学びへの入口になるのです。
デジタルリテラシーを「言葉」から育てる
IT教育というと、どうしてもスキルやツールの習得に目が行きがちですが、実は「言葉に慣れる」ことが最初の壁であり、大きな成功要因でもあります。
IT用語は、ある意味「専門職の言語」です。ですが、私たちの暮らしやビジネスに深く関わるようになった今、もはや“専門家だけのもの”ではありません。
だからこそ、誰もがこの言葉たちと「仲良くなる」ことが求められているのです。
[用語解説]ITカタカナ用語バスターズ
よく出る20語のやさしい解説集
1. クラウド(Cloud)
自分のパソコンじゃなくて“インターネット上の倉庫”にデータやアプリを置いて使う仕組み。
2. サーバー(Server)
データやサービスをみんなに配る“給食室”のような存在。
3. ネットワーク(Network)
コンピュータ同士がつながる“道路”のこと。インターネットはその最大の道路網。
4. ブラウザ(Browser)
インターネットをのぞく“窓”。ChromeやSafariが代表例。
5. アプリ(App)
スマホやPCで動く“便利な道具”。
6. プラットフォーム(Platform)
みんなが集まって使える“広場”のような場。YouTubeやAmazonもその一つ。
7. SNS(Social Networking Service)
人と人がつながる“デジタルな井戸端会議”。
8. ログイン(Login)
会員証を見せて“ドアを開ける行為”。
9. パスワード(Password)
ドアを開けるための“秘密のカギ”。
10. API(Application Programming Interface)
アプリとアプリをつなぐ“コンセント”。差し込むだけで連携できる。
11. UI(User Interface)
アプリやサイトの“見た目・触り心地”。ボタンの配置やデザインのこと。
12. UX(User Experience)
アプリやサービスを使ったときの“体験全体”。「気持ちよく使えた!」が良いUX。
13. アルゴリズム(Algorithm)
料理の“レシピ”のようなもの。手順に従って処理が進む。
14. データベース(Database)
情報を整理して入れる“大きな引き出し”。
15. AI(Artificial Intelligence)
人間の知能を真似て学習・判断する“デジタル頭脳”。
16. DX(Digital Transformation)
単なるデジタル化ではなく、仕組みや働き方そのものを“作り替える”こと。
17. IoT(Internet of Things)
モノがネットにつながる仕組み。冷蔵庫がネットでレシピを提案するのもIoT。
18. 5G(ファイブジー)
“超高速・大容量”の新しい携帯通信。4Gの次世代。
19. フィードバック(Feedback)
相手の行動や成果に対して返す“お返事”や“感想”。
20. セキュリティ(Security)
情報やシステムを守る“鍵と警備員”。
まとめ:用語との向き合い方を変えることが、DXの第一歩
「言葉に強くなる」ことは、「変化に適応できる力を育てる」ことと同義です。
とくにDX推進やリスキリングが求められる現代において、IT用語の理解は“スキルセット”の根幹に直結します。
知らない言葉に出会った時、「自分はITが苦手だから…」と避けるのではなく、「これはどんな意味があるんだろう?」と興味を持つ。
その“マインドチェンジ”こそが、デジタル時代に生き抜くための大きな武器になるのです。
さいごに
本日の内容が、あなたの「シンギュラリティ時代への準備」に向けた、わずかながらでも「気づき」や「次の一歩」のヒントになれたなら幸いです。
10年先の超知性ASIやAGIが当たり前になる未来に向けて、私たち自身をアップデートし続けることが、今最も重要です。
ぜひ一緒に学びを深めていきましょう。
「社員のDXマインドをどう高めるか?」、「実践的なITスキル教育が進まない」など、DX推進担当者の育成やIT教育研修でお悩みでしたら、ぜひ一度お聞かせください。
初回無料の「DX推進人材教育プログラム」コンサルティングにご応募いただければ、あなたの組織の課題解決に必ずお役に立ちます。
www.certpro.jp/dxconsulting/
次回の記事も、どうぞお楽しみに!
キーワードの解説
DX(デジタル・トランスフォーメーション)
DXとは、企業や社会がデジタル技術を活用して、ビジネスモデルや組織の在り方、働き方を根本から変革する取り組みのことです。単にITを導入するのではなく、「どうすれば顧客体験を向上できるか」「変化に強い組織を作れるか」という視点が重要です。近年では製造業や教育、医療分野にも浸透しており、経営層から現場までのマインドセットの転換が求められています。
リスキリング
リスキリングとは、新しい仕事や業務に対応できるように、現在の職業スキルを再習得することを指します。DXやAIの急速な普及により、従来のスキルでは対応できないケースが増えており、企業にとっては人材戦略の要となっています。政府も支援策を打ち出しており、今や個人にとっても企業にとっても「未来の働き方」に直結する重要テーマです。
ITリテラシー
ITリテラシーとは、コンピュータやネットワークなどの情報技術を正しく理解し、適切に活用する能力のことです。単にPCを使えるだけではなく、セキュリティ意識、情報の見極め力、デジタルツールの選定力なども含まれます。特にビジネスパーソンにとっては、業務効率化や顧客対応の質向上に直結する基本的な素養として注目されています。
【著者紹介】
近森 満(ちかもりみつる)
■株式会社サートプロ 代表取締役CEO
IT技術者の教育支援と人材育成を専門とする事業化コンサルタントとして、2006年に株式会社サートプロを創業し、IoT検定、+DX認定、アジャイル検定などの資格制度を創出。独自の技術者向け教育研修の開発に定評があり、実践的なスキル向上を支援。経済産業省DX推進ラボおよびIoT推進ラボのメンターとして、自治体や中小企業のDX推進を支援。近年は超知性ASIスキル可視化にも取り組み、次世代技術の普及に注力している。
■所属・役職
・IoT検定制度委員会 事務局長(IoT検定、+DX認定、超知性ASI検定)
・一般社団法人 IT職業能力支援機構 理事長(Android資格)
・電気・電子系技術者育成協議会 副理事長(E検定)
・NPO 組込みソフトウェア管理者技術者育成研究会 メンバー(組込み)
・ET教育フォーラム合同会社 代表(コンテンツ制作)
・経済産業省地方版IoT推進ラボ ビジネス創出事業メンター(IoT支援)
・経済産業省地域DX推進ラボ ビジネス創出事業メンター(DX支援)
・デジタル庁デジタル推進委員(デジタル化支援)
・DX事業共同組合 設立理事(DX推進)
・一般社団法人日本サステナブルビジネス機構 幹事(SDGs認証)
・”一億総活躍社会を実現する”共生日本協議会 理事(DEI支援)
・アジャイル開発技術者検定試験コンソーシアム 事務局長(Agile検定)
・一般社団法人国際サイバーセキュリティ協会 事務局長(IACS認定)
