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デジタル時代の情報の選び方ーーフェイクニュースに惑わされない超知性リテラシー入門ーー

2025年9月19日
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【記事概要】

情報があふれるデジタル時代、真実と虚偽の境界線はかつてなく曖昧になりました。SNSやニュースアプリを通じ、私たちは一日数千件もの情報に触れています。その中には、事実のように見えて実は意図的に操作された「フェイクニュース」も少なくありません。本稿では、AI・生成AI・アルゴリズムの発達によって拡散する情報の「見極め方」をテーマに、近森満が提唱する“超知性リテラシー”を紹介します。エコーチェンバー現象、一次情報とデータ検証、広告と記事の境界線、SNS時代における情報倫理——。これらを「マインドチェンジ(心の変革)」と「デジタル3兄弟×マインド3姉妹」の概念から紐解き、AI時代に必要な“情報判断力”を磨く実践法を解説します。あなたの情報選択が未来を左右する時代、今こそ“信頼できる知性”を育てましょう。

【本文】

デジタル時代の情報の選び方ーフェイクニュースに惑わされない超知性リテラシー入門

こんにちは、IT・DX教育サービスの株式会社サートプロ 近森満です。
www.certpro.jp/blogs/dx_chikamori/
当社では「DX推進人材教育プログラム」として初回無料のコンサルティングを提供しています。
DX推進や人材育成のご相談をお待ちしています。
www.certpro.jp/dxconsulting/

1. 情報が「溢れている」のではなく、「暴れている」時代へ

私たちは毎日、SNS、ニュースアプリ、動画サイトなどから膨大な情報を浴びています。
スマホを開けば、数分ごとに通知が届き、タイムラインには誰かの意見やニュースが流れ続けます。
でも気づいていますか?
情報は「溢れている」だけでなく、「暴れている」んです。

一度、間違った情報が発信されると、それがAIのアルゴリズムによって瞬く間に拡散され、
正しい情報よりも何倍もの速度で広まってしまう。
この現象はもはや“情報の感染症”といっても過言ではありません。

フェイクニュースに触れたとき、私たちはそれを「疑う」前に「信じて」しまう。
それが人間の心理構造です。
つまり、情報の時代に必要なのは“知識”ではなく“知性”。
それも、人間とAIが共存する時代の「超知性リテラシー」です。

2. なぜ人はフェイクニュースを信じてしまうのか?

心理学的にいえば、人間は自分の考えを裏付ける情報ばかりを選びやすい。
これを「確証バイアス」と呼びます。
SNSでは、AIアルゴリズムが私たちの嗜好に合わせて情報を選び出します。
その結果、同じ意見や価値観の人の投稿ばかりが表示され、
異なる視点の情報が見えにくくなる。

この現象を「エコーチェンバー効果」といいます。
まるで自分の声が壁に反射して返ってくるように、
同じ考えの人たちが互いに賛同し合い、
やがて誤情報すら「真実」のように感じてしまう。

人間は、社会的動物です。
「みんながそう言っている」という状況に安心を覚える生き物。
そこにAIの仕掛けるフィルターバブルが重なると、
正しい情報よりも「心地よい情報」に浸るようになる。

――まさに、これが“情報中毒”の正体です。

3. 「記録社会」で問われる“発信の責任”

生成AIやブロックチェーンの発展により、
私たちの言葉や行動はデジタル上に“永遠に記録される”時代になりました。

Zoomでの会議、SNSへの投稿、ブログの記事、AIによる自動文字起こし。
一見、消えたと思っても、ログやキャッシュとして残っている。

つまり、「なかったこと」にはならない。
誰もが発信者になれる時代だからこそ、
「誰が、何を、どの目的で」情報を出しているのかを考えることが重要です。

それは同時に、“あなた自身が責任あるメディアになる”ということ。
情報を発信するなら、「伝える力」だけでなく「選ぶ力」も持たねばなりません。

私はよく言います。
DXとは“デジタル・トランスフォーメーション”だけでなく、
“ディシジョン(決断)・トランスフォーメーション”。
情報を選び、決断する力こそ、DX時代の人間力なのです。

4. フェイクを見抜く「3つのチェックポイント」

ここで、私が企業研修でも伝えている「フェイクニュースを見抜く3原則」を紹介します。

情報源は誰か?
その情報は一次情報か、または誰かの“再解釈”なのか。
大手メディアであっても引用元を必ず確認する。
ニュースアプリよりも、一次発信の政府機関・公式発表・学術論文をチェックしましょう。

データや証拠はあるか?
感情的な言葉で語られていないか、数値や画像は正確か。
AIが生成した画像や動画(ディープフェイク)は、光の反射や影で見抜ける場合もあります。
AI時代は、“目で見える情報ほど疑う勇気”が必要です。

他の信頼できる媒体でも報じられているか?
複数の媒体を横断的に確認する「クロスチェック」を習慣化しましょう。
“ひとつの情報だけで判断しない”こと。
これが、超知性リテラシーの基本です。

5. 広告と記事の境界線を意識する

私たちは、気づかぬうちに「広告の海」に生きています。
SNSの投稿、レビュー記事、ランキングサイト――。
その多くはPR要素を含んでいます。

「おすすめ」や「売れ筋」と書かれた情報の裏には、
広告主の意図が隠れていることが多い。

私は、これを“ステルス広告の時代”と呼びます。
見えないスポンサーが、あなたの意思決定を操っている。

情報リテラシーを高めるためには、
「これは広告か、それとも記事か?」と問い直す癖を持つことです。
たとえばレビューサイトであれば、
褒め言葉ばかり並んでいる投稿よりも、
賛否両論が混在するページのほうが信頼できる。

信頼とは、批判を受け入れる透明性から生まれるのです。

6. SNSリテラシーは「習慣化」せよ

SNSは便利ですが、同時に“感情の拡声器”でもあります。
怒り、悲しみ、喜び――。
投稿ボタンを押す一瞬の判断で、人生が変わることもある。

私は研修で「SNS3秒ルール」を教えています。
投稿前に、3秒だけ立ち止まり、
「この情報は誰かを傷つけないか?」「明日も同じ気持ちで読めるか?」と自問する。

SNSは“共感のメディア”であり、“炎上の装置”でもある。
だからこそ、情報リテラシーは一夜漬けでは身につきません。
マナーや倫理観を「習慣化」することが何よりの防御策です。

ネチケット(ネット上のエチケット)は、
AIやDXの時代にも“人間らしさ”を守る最後の砦です。

7. 情報は“命”をも左右する

医療・健康・金融・キャリア――。
これらの領域では、誤情報が人の人生を狂わせます。
「このサプリで人生が変わる」「この投資で100万円が倍に」。

信じたいという気持ちが、もっとも危険です。
信じたくなる情報ほど、冷静に検証する。

現代社会では、AIが生成するフェイク広告や詐欺サイトが急増しています。
生成AIが書いた偽レビューを見抜くためには、
文章のトーン、表現の均一性、根拠の不明確さを読む力が必要です。

AI時代の「情報選択力」は、
もはやリテラシーではなく、“サバイバルスキル”です。

8. 超知性リテラシーとは何か

私が提唱する「超知性リテラシー」とは、
AIやAGI(汎用人工知能)、ASI(超知能)と共存する時代における“人間の知性の進化”を指します。

AIが真偽を自動判定するようになる未来に、
人間が持つべきは「判断を委ねる力」ではなく、「判断を導く力」です。

つまり、超知性リテラシーとは、
① 情報を多面的に見る視点(メタ認知)
② 感情に流されず考える冷静さ
③ 他者の立場で考える想像力
この3つを育てる知的トレーニングです。

AIが賢くなるほど、人間の“心の知能指数”が試されます。
超知性とは、テクノロジーを超えて“人間性”を取り戻す力なのです。

9. デジタル3兄弟とマインド3姉妹で考える

私がよく講演で話す比喩があります。
DXの世界では「デジタル3兄弟」と「マインド3姉妹」が欠かせません。

  • デジタル3兄弟:AI・IoT・クラウド

  • マインド3姉妹:リスキリング・マインドチェンジ・トランスフォーメーション

この両輪が揃って初めて、DXは進化します。

どんなにAIが発達しても、
「人の心」が変わらなければ社会は変わらない。
マインドセットを変え、自ら考え、判断する力。
これこそが、デジタル社会の“人間力DX”です。

10. 情報の“使い手”になろう

DX時代、情報は「受け取るもの」から「使うもの」へと変わりました。
生成AIを使って情報を整理し、自分の意見を持ち、発信する。
その積み重ねが、信頼されるプロフェッショナルを育てます。

「AIに聞けば答えが出る時代」だからこそ、
“どの質問を投げるか”が人間の価値になる。

情報を選び、整え、行動に変える――。
これが真のリスキリング(学び直し)であり、
超知性リテラシーの実践です。

まとめ:情報に振り回されるな、情報を使いこなせ

フェイクニュースに惑わされないために必要なのは、
テクノロジーではなく“人間の知性”です。
AIが進化するほど、私たちは「選ぶ力」を磨かなければならない。

未来の社会では、情報を信じる者ではなく、
情報を“検証できる者”が生き残る。

さあ、あなたは今日から何を信じ、何を疑いますか?
その一つひとつの判断が、あなたの人生をデザインします。

さいごに

本日の内容が、あなたの「シンギュラリティ時代への準備」に向けた、わずかながらでも「気づき」や「次の一歩」のヒントになれたなら幸いです。
10年先の超知性ASIやAGIが当たり前になる未来に向けて、私たち自身をアップデートし続けることが、今最も重要です。
ぜひ一緒に学びを深めていきましょう。

「社員のDXマインドをどう高めるか?」、「実践的なITスキル教育が進まない」など、DX推進担当者の育成やIT教育研修でお悩みでしたら、ぜひ一度お聞かせください。
初回無料の「DX推進人材教育プログラム」コンサルティングにご応募いただければ、あなたの組織の課題解決に必ずお役に立ちます。
www.certpro.jp/dxconsulting/
次回の記事も、どうぞお楽しみに!


スキルチェックリスト

今日からあなたもDX推進にむけ行動をチェックしてみましょう!
□ 情報源を確認してから共有する
□ SNS投稿前に3秒間考える
□ 広告と記事の違いを意識する
□ 異なる意見をあえて取り入れる
□ AIと共に判断する“超知性”を磨く


キーワードの解説

フェイクニュース
誤った情報や虚偽のニュースを意図的に拡散する行為。SNSや検索アルゴリズムにより拡散されやすく、真偽を判断する力が求められています。特に生成AIが進化する今、テキストや画像の偽造が巧妙化しており、一次情報の確認が不可欠です。

エコーチェンバー効果
同じ意見を持つ人々がSNSなどで集まり、互いの考えを強化し合う現象。これにより偏った情報が真実のように錯覚されやすくなります。AI時代には、自分の外の意見を意識的に取り入れる「情報の越境」が重要です。

超知性リテラシー
AI・AGI・ASIと共存する時代に必要な新しい知性。単なる情報処理能力ではなく、メタ認知・感情の制御・倫理的判断を組み合わせた「人間の知の進化」を意味します。DX推進やAI教育の文脈で、今後最も注目される概念の一つです。


【著者紹介】

近森 満(ちかもりみつる)
■株式会社サートプロ 代表取締役CEO
IT技術者の教育支援と人材育成を専門とする事業化コンサルタントとして、2006年に株式会社サートプロを創業し、IoT検定、+DX認定、アジャイル検定などの資格制度を創出。独自の技術者向け教育研修の開発に定評があり、実践的なスキル向上を支援。経済産業省DX推進ラボおよびIoT推進ラボのメンターとして、自治体や中小企業のDX推進を支援。近年は超知性ASIスキル可視化にも取り組み、次世代技術の普及に注力している。
■所属・役職
IoT検定制度委員会 事務局長(IoT検定、+DX認定、超知性ASI検定)
一般社団法人 IT職業能力支援機構 理事長(Android資格)
電気・電子系技術者育成協議会 副理事長(E検定)
NPO 組込みソフトウェア管理者技術者育成研究会 メンバー(組込み)
ET教育フォーラム合同会社 代表(コンテンツ制作)
経済産業省地方版IoT推進ラボ ビジネス創出事業メンター(IoT支援)
経済産業省地域DX推進ラボ ビジネス創出事業メンター(DX支援)
デジタル庁デジタル推進委員(デジタル化支援)
DX事業共同組合 設立理事(DX推進)
一般社団法人日本サステナブルビジネス機構 幹事(SDGs認証)
”一億総活躍社会を実現する”共生日本協議会 理事(DEI支援)
アジャイル開発技術者検定試験コンソーシアム 事務局長(Agile検定)
一般社団法人国際サイバーセキュリティ協会 事務局長(IACS認定)

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