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生成AI導入でリストラは正当?AI時代の雇用問題と企業責任

2025年9月17日
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【記事概要】

AIが急速に進化し、企業におけるDX推進が加速する中で、果たして「生成AI」は人材削減=“人切り”の大義名分として利用されるようになってしまうのか?
本記事は、近森満が語る“AIと雇用のリアル”をベースに、LINEヤフーの「全社員への生成AI活用義務化」発表をはじめとする先進事例、そしてスタートアップで実際に発生したレイオフの論争を取り上げ、AI導入が本当に人の幸せに繋がっているのか、社会はそれにどう向き合うべきかを問い直します。

前編では、生成AIがもたらす業務効率化の流れと、それに伴う人的配置・ビジネスモデルの変化について。後編では、DXが組織変革の一環としてリストラのきっかけとなる可能性とその是非、そして経営者・従業員双方のマインドセットの重要性に迫ります。

単なる効率化ツールとしてではなく、「人の幸せ」や「働き方の未来」に資するDXのあり方を探る――。
読み終えたとき、きっとあなたの中の“DX観”が一歩前進することでしょう。

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【著者情報】

こんにちは、IT・DX教育サービスの株式会社サートプロ 近森満です。
www.certpro.jp/blogs/dx_chikamori/

当社では「DX推進人材教育プログラム」として初回無料のコンサルティングを提供しています。DX推進や人材育成のご相談をお待ちしています。
www.certpro.jp/dxconsulting/

 

 

AI導入と「リストラ」の関係は本質的に誤解されている

今、AIを取り巻く議論は大きく二極化しています。
「生産性を向上させる夢のツール」として語られる一方で、「人間の仕事を奪う脅威」としての不安も根強い。その象徴のような出来事が、LINEヤフーによる「生成AIの全社員活用義務化」と、某スタートアップ企業における“生成AIを理由としたレイオフ”の件です。

LINEヤフーは、11,000名の全社員に生成AIの業務活用を義務化し、「3年間で生産性を2倍に」と宣言。まさにDX推進の旗振り役として日本を牽引しています。

一方、AI導入によって「人員が余剰になった」とするスタートアップ企業のレイオフ発表。SNS上では「AIで解雇の口実を作るな」と大炎上。

これ、果たしてAIが“人切り施策”の大義名分になってしまったのでしょうか?
結論から言えば、AIそのものが悪なのではなく、「使う側の姿勢と責任の所在」が問われる時代になったということです。

 

 

DXとは“人を減らす”ことではない。本質は「価値創出」にある

生成AIやDXという言葉が一人歩きしてしまうと、経営判断とセットになったとき「手段と目的のすり替え」が起こります。

たとえば、企業がDXを進めていく過程で、人員の再配置や組織改編は避けられないこともあります。
しかしそれを「AIがあるから人は不要」と短絡的に結びつけてしまうと、
それは単なるコストカットの口実になってしまう。

AIはあくまで“道具”であり、それをどう使うかがDX推進の本質なのです。

むしろ、AI導入によって得られた“時間”や“創造性の余白”をどう活かすかが、DX人材の本領発揮と言えるでしょう。

 

事例: LINEヤフーの生成AI義務化

LINEヤフーでは、生成AI活用を「全員に義務化」したうえで、その前提にあるのは“新たな顧客価値の創出”です。
単に効率化を目指すのではなく、「AIを使って何を生み出すのか?」を問うているわけです。

ここに見られるのは、“AIによって削減した時間を再投資し、よりクリエイティブな仕事へ転換する”というDXの理想形です。

 

 

なぜ「人切り施策」に見えてしまうのか

では、なぜ生成AIの導入が「人切り」に見えてしまうのか。

その理由の一つは、“説明責任の欠如”にあります。
「業務効率化のため」とだけ説明され、具体的な成果や方針が共有されないと、社員にとっては“切られる側の理由”にしか聞こえません。

さらに、DXやAIを使う人材が限られていたり、業務が属人化していたりすると、新しい仕事に移れない“置き去り層”が生まれてしまう。

このギャップが、「生産性向上」の裏にある“人の不幸”として映ってしまうのです。

 

 

経営者のマインド・トランスフォーメーションが必要だ

ここで必要なのが、経営者自身のマインド・トランスフォーメーションです。
生成AIは、経営戦略の一環として使わなければ逆効果になります。

「うちはバンドだ、オーケストラだ」と言える企業文化――

つまり、役割の垣根を超えて協力し、個の力で新しい価値を作っていけるチーム――
そうした組織でこそ、AIの力は最大限発揮されるのです。

 

事例: ダイニー社のレイオフと山田氏のnote

あるスタートアップ企業で実際に起きたレイオフ。
発表されたnoteには「生成AIによって一部の業務が不要となった」とあり、
退職勧奨の現場で交わされたやり取りが赤裸々に語られていました。

しかし、それが多くの人の心に刺さったのは、人としての“納得感”が欠けていたからです。
DXが単なる「効率化」や「コストダウン」の言い訳になってしまうと、
本来目指すべき未来への希望すら見失ってしまう。

 

 

デジタル・トランスフォーメーションとマインドセットの共進化

DXと一言で言っても、それは単なる「システム導入」ではありません。
組織文化、働き方、人材のスキルセット、そしてマインドセットを含めた総合的な“変革”です。

特に重要なのが、近森満が提唱する「マインド3姉妹」――
マインドチェンジ、マインドシフト、マインド・トランスフォーメーションです。

社員がAIに仕事を取られるのではなく、AIを道具として活用し、自ら新たな価値を創出する――
この“心の変革”なくして、真のDXは実現しません。

 

 

「力技」からの脱却と、新しいスキルの育成

日本の多くの企業文化では、「力技(ちからわざ)」が重視されてきました。
すなわち、努力、根性、長時間労働によって成果を出すスタイル。

しかし、これからの時代に求められるのは、
超知性リテラシー=AIを使いこなす力、判断力、創造性です。

単なる“省力化”ではなく、“アップスキリングとリスキリング”によって、
スキルセットのアップデートを実現することがDX人材の条件になります。

 

 

AI導入の副作用とどう向き合うか?

AIを使えば確かに効率化できます。
しかし、議事録作成、報告書執筆、定型業務の削減により、
「仕事を奪われた」と感じる人も確実に出てくる。

この現実を無視するのではなく、
「空いた時間で何をするか?」「どう成長するか?」
個人が自らのキャリアパスを再設計できる環境が必要です。

人材育成とセットでなければ、AI導入は単なる淘汰を意味します。

 

 

まとめ:AIは“人切り”ではなく“人を活かす”未来の共犯者

生成AIを導入したことで“余剰人員”が出た、
それを理由にレイオフを行った――

このような構図が今後増えてくるかもしれません。

しかし私たちが目指すべき未来は、AIを人の“代替手段”としてではなく、“共創のパートナー”として活かす社会です。

生産性を高め、従業員の負担を軽減し、その余白で新しい価値を生み出す。
その道を拓くには、経営者・従業員双方のマインドチェンジが欠かせません。

 

本日の内容が、あなたの「シンギュラリティ時代への準備」に向けた、わずかながらでも「気づき」や「次の一歩」のヒントになれたなら幸いです。
10年先の超知性ASIやAGIが当たり前になる未来に向けて、私たち自身をアップデートし続けることが、今最も重要です。
ぜひ一緒に学びを深めていきましょう。

「社員のDXマインドをどう高めるか?」、「実践的なITスキル教育が進まない」など、DX推進担当者の育成やIT教育研修でお悩みでしたら、ぜひ一度お聞かせください。
初回無料の「DX推進人材教育プログラム」コンサルティングにご応募いただければ、あなたの組織の課題解決に必ずお役に立ちます。
www.certpro.jp/dxconsulting/

 

生成AI導入を検討させている方は、こちらもご覧ください。
セキュリティから活用方法まで、サポートさせていただきます。
certpro-generationaiservice.sfsite.me/

次回の記事も、どうぞお楽しみに!

 

 

【スキルチェックリスト】

今日からあなたもDX推進にむけ行動をチェックしてみましょう!

□ 自社の生成AI活用状況を点検した
□ 「AIが仕事を奪う」ではなく「共創の道具」として再定義した
□ バックオフィスや間接業務の見直しを検討した
□ 経営者・社員双方のマインドセット教育を構想した
□ DX推進の目的が“価値創出”になっているか確認した

 

 

【キーワードの解説】

生成AI
生成AI(Generative AI)とは、テキスト・画像・音声・コードなどのデータを自動的に生成する人工知能技術のこと。特に注目されているのがChatGPTやGeminiのような大規模言語モデル(LLM)で、業務効率化や自動化、創造的作業の補助として広く活用されている。一方で、仕事の一部を代替することで「人の仕事が奪われる」といった懸念もあるため、活用には倫理観と教育がセットで求められる。

DX(デジタル・トランスフォーメーション)
DXとは、デジタル技術を用いて、業務プロセス・ビジネスモデル・企業文化そのものを抜本的に変革すること。単なるIT導入とは異なり、組織の目的や価値の見直しまで含まれる大きな概念。生産性向上だけでなく、顧客体験の刷新や新規事業の創出を通じて、持続的な競争優位を実現することが狙いとされる。

マインド・トランスフォーメーション
マインド・トランスフォーメーションとは、単なる意識改革ではなく、価値観・行動・判断基準の根本的な変革を意味する。AI時代においては、単にスキルを習得するだけでなく、「人にしかできない仕事」への適応力や、新たなツールを前向きに受け入れる姿勢が求められる。近森満は、これを「マインド三姉妹」(マインドチェンジ・マインドシフト・マイントラ)として提唱している。

 

 

【著者紹介】

近森 満(ちかもりみつる)
■株式会社サートプロ 代表取締役CEO
IT技術者の教育支援と人材育成を専門とする事業化コンサルタントとして、2006年に株式会社サートプロを創業し、IoT検定、+DX認定、アジャイル検定などの資格制度を創出。独自の技術者向け教育研修の開発に定評があり、実践的なスキル向上を支援。経済産業省DX推進ラボおよびIoT推進ラボのメンターとして、自治体や中小企業のDX推進を支援。近年は超知性ASIスキル可視化にも取り組み、次世代技術の普及に注力している。
■所属・役職
IoT検定制度委員会 事務局長(IoT検定、+DX認定、超知性ASI検定)
一般社団法人 IT職業能力支援機構 理事長(Android資格)
電気・電子系技術者育成協議会 副理事長(E検定)
NPO 組込みソフトウェア管理者技術者育成研究会 メンバー(組込み)
ET教育フォーラム合同会社 代表(コンテンツ制作)
経済産業省地方版IoT推進ラボ ビジネス創出事業メンター(IoT支援)
経済産業省地域DX推進ラボ ビジネス創出事業メンター(DX支援)
デジタル庁デジタル推進委員(デジタル化支援)
DX事業共同組合 設立理事(DX推進)
一般社団法人日本サステナブルビジネス機構 幹事(SDGs認証)
”一億総活躍社会を実現する”共生日本協議会 理事(DEI支援)
アジャイル開発技術者検定試験コンソーシアム 事務局長(Agile検定)
一般社団法人国際サイバーセキュリティ協会 事務局長(IACS認定)

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