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「DXのアハ体験で組織は変わる」1,000人のわからない人より1人わかる人が居る組織は強い

2025年9月5日
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【記事概要】

生成AI時代において、企業のDX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進するには、千人の理解できない人より、たった一人の“見えている”人の存在が何よりも大きな変革の起点になる——この考え方を軸に、近森満が語る「アハ体験(Aha! Experience)」の重要性に迫ります。

脳科学で語られるアハ体験とは、ある瞬間に視界がパッと開けるような気づきのこと。DXでも同じく、一度でも実践して成功体験を得た人が組織に一人でもいると、その成功のイメージが周囲に波及し、変革が一気に加速します。

ウォーリーを探せやステレオグラム、目の錯覚の事例を引用しながら、抽象的だった「DXの必要性」が一人の成功体験によって具体化し、「自分たちもやれるかもしれない」という希望へと変わる。さらに、総務省や自治体が取り組む「伴走型支援」の実例や、自社での取り組みを通じて、どうすればこの“最初の一人”を生み出せるのか、その方法論とマインドセットを語ります。

一歩を踏み出す勇気が変革のトリガーとなる。アハ体験を起点とした“気づきと実践”が、超知性AI時代の組織変革の本質です。

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【本文】

DXのアハ体験で組織は変わる──「わかる人」が1人いるだけで動き出す組織の法則
こんにちは、IT・DX教育サービスの株式会社サートプロ 近森満です。
www.certpro.jp/blogs/dx_chikamori/
当社では「DX推進人材教育プログラム」として初回無料のコンサルティングを提供しています。DX推進や人材育成のご相談をお待ちしています。
www.certpro.jp/dxconsulting/

DXは「気づいた人」から始まる

「1,000人の見えていないより、一人見えている人がいる方が強い」。
これは、私が全国の企業や自治体でDX支援をしてきた中で何度も実感している真理です。

企業や組織のデジタル化がなかなか進まないのは、道筋が見えていないからです。でも、そのなかにたった一人でも“見えている人”がいれば、その人の存在が周囲の意識を変え、組織を動かす原動力になります。

これは知識や理論ではなく、「実感」を伴った“アハ体験”が鍵になります。

アハ体験がもたらす「見える化」の力

事例: ウォーリーを探せとステレオグラムの錯覚

茂木健一郎さんらが提唱する「アハ体験」は、ある瞬間に「そうか!」と理解が腑に落ちる経験を指します。
たとえば「ウォーリーをさがせ」の絵本。ごちゃごちゃした絵の中で最初は見つけられなかったウォーリーも、一度場所を見つけてしまえば、その後は絵を開くたびに瞬時に視認できるようになります。

これはまさに、視覚的なアハ体験。最初はわからなかったものが、脳の中でパターンとして定着し、「見えるもの」に変わるのです。

DXも同じです。最初は“なにが課題で、どうすれば良くなるのか”がまったく見えない状態。でも、ある瞬間にやってみたら「これだ」となると、そのあとは同じように再現できるようになります。

DXにおけるアハ体験とは何か?

DXの文脈でのアハ体験とは、「自分たちでもできる」という実感のこと。
たとえば、自社の業務プロセスを少しだけ自動化したら、想像以上に効率化できた。この体験が「うちでもDXはできるんだ」という“わかる人”を生みます。

この「体感して分かる」ことが、理屈で100回説明されるよりも強力な説得力を持つのです。

《参考》視覚現象と目の錯覚とによる説明 ミヒャエル バッハ

⁠https://michaelbach.de/ot/

小さな成功体験が組織を変える

事例: スモールスタートからの拡張

今、スタートアップや自治体のデジタル化の現場では「スモールスタート」がキーワードになっています。

いきなり1億円規模のERPを導入するのではなく、まずは自分のPCで簡単な自動化ツールを試す。それがうまくいったらチームに展開し、やがて全社展開へとつなげる。この流れの起点は、“最初の1人”が体験したアハ体験に他なりません。

小さくても具体的な成功体験があれば、人は動きます。逆に、いくら机上で議論しても、体験がないと行動に移すことは難しいのです。

伴走型支援が生む「見える人」

事例: 自治体と伴走型支援の取り組み

私たちサートプロも、岡山・東京・加賀市・北海道釧路・埼玉など、さまざまな地域で「伴走型DX支援」に取り組んできました。

ここでのキーポイントは、“外部の専門家が手取り足取り教える”のではなく、“現場の人が自分で手を動かして理解する”という点です。

専門家はあくまで背中を押す存在。自分で考え、手を動かし、失敗しながら学ぶことで、組織内に「見えている人」が育つのです。

変革に必要なのは、全員ではなく「最初の一人」

企業によっては「まずは全社員に研修を」と考えがちですが、1,000人全員に一斉教育をしても、行動変容はなかなか起きません。

それよりも、最初に1人だけ「やってみる人」を作る。その人が成功体験を得ることで、周囲に波及していく。これが最も効率的で、現実的なDXの進め方です。

まとめ:気づきが変革の始まり

DXを成功させるには、テクノロジーや予算よりも先に「気づき」が必要です。そして、その気づきを体験として持つ人が、組織を内側から変えていきます。

見えない1,000人より、見えている一人。

その“一人”を育てることが、これからの組織戦略の中心になります。

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さいごに

DXとは単なるIT導入ではなく、組織の「文化」と「意識」の変革です。だからこそ、最初の一歩は“気づき”から始まります。

アハ体験を通じて、あなた自身が「わかった人」になり、周囲にその気づきを広めてください。

小さな実践が、大きな組織変革を生みます。DXもまた、最初は個人の“体験”から始まるのです。

本日の内容が、あなたの「シンギュラリティ時代への準備」に向けた、わずかながらでも「気づき」や「次の一歩」のヒントになれたなら幸いです。
10年先の超知性ASIやAGIが当たり前になる未来に向けて、私たち自身をアップデートし続けることが、今最も重要です。
ぜひ一緒に学びを深めていきましょう。

「社員のDXマインドをどう高めるか?」、「実践的なITスキル教育が進まない」など、DX推進担当者の育成やIT教育研修でお悩みでしたら、ぜひ一度お聞かせください。
初回無料の「DX推進人材教育プログラム」コンサルティングにご応募いただければ、あなたの組織の課題解決に必ずお役に立ちます。
www.certpro.jp/dxconsulting/
次回の記事も、どうぞお楽しみに!


キーワードの解説

アハ体験(Aha Experience)
アハ体験とは、ある瞬間に「なるほど!」と理解が深まり、脳が“ひらめき”を感じる心理現象です。脳科学者の茂木健一郎氏などが提唱し、視覚的・認知的な転換点を伴います。DX文脈では、難解に思えたIT施策が、ある小さな成功体験によって「できる」と腑に落ちる瞬間と同義です。組織でこの体験を持つ人が現れることで、他のメンバーにも連鎖的に気づきが広がり、変革が起きやすくなります。

DX推進
DX推進とは、デジタル技術を活用して業務・ビジネスモデル・企業文化を変革し、持続的な競争優位性を獲得するプロセスを意味します。単なるIT導入ではなく、社員のマインドセットや業務プロセスそのものの革新が問われます。日本企業では、業務効率化に偏りがちですが、真のDXとは顧客体験と価値創出の再構築です。

伴走型支援
伴走型支援とは、外部の専門家が現場に寄り添いながら、プロジェクトの立ち上げから定着までを一貫してサポートする方式です。自治体のスマート化や中小企業のデジタル化支援でも採用されており、現場で実践しながら“わかる人”を育てるのが特徴。主体性と実行力を育む仕組みとして注目されています。


【著者紹介】

近森 満(ちかもりみつる)
■株式会社サートプロ 代表取締役CEO
IT技術者の教育支援と人材育成を専門とする事業化コンサルタントとして、2006年に株式会社サートプロを創業し、IoT検定、+DX認定、アジャイル検定などの資格制度を創出。独自の技術者向け教育研修の開発に定評があり、実践的なスキル向上を支援。経済産業省DX推進ラボおよびIoT推進ラボのメンターとして、自治体や中小企業のDX推進を支援。近年は超知性ASIスキル可視化にも取り組み、次世代技術の普及に注力している。
■所属・役職
IoT検定制度委員会 事務局長(IoT検定、+DX認定、超知性ASI検定)
一般社団法人 IT職業能力支援機構 理事長(Android資格)
電気・電子系技術者育成協議会 副理事長(E検定)
NPO 組込みソフトウェア管理者技術者育成研究会 メンバー(組込み)
ET教育フォーラム合同会社 代表(コンテンツ制作)
経済産業省地方版IoT推進ラボ ビジネス創出事業メンター(IoT支援)
経済産業省地域DX推進ラボ ビジネス創出事業メンター(DX支援)
デジタル庁デジタル推進委員(デジタル化支援)
DX事業共同組合 設立理事(DX推進)
一般社団法人日本サステナブルビジネス機構 幹事(SDGs認証)
”一億総活躍社会を実現する”共生日本協議会 理事(DEI支援)
アジャイル開発技術者検定試験コンソーシアム 事務局長(Agile検定)
一般社団法人国際サイバーセキュリティ協会 事務局長(IACS認定)

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