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DX・AIから取り残されるのはなぜ?変われない組織の共通点

2025年7月2日
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  【記事概要】

DX(デジタル・トランスフォーメーション)や生成AIの導入が進む現代社会において、「自分たちは無関係」と決めつけてしまう組織が未だに多く存在しています。今回のエピソードでは、そんな“DXからもAIからも取り残される組織”に共通して見られる3つの要因—「決めつける」「こだわる」「完璧を目指しすぎる」—を鋭く分析し、どのように乗り越えるべきかを掘り下げていきます。

事例としては、生成AI活用の先進事例である舞鶴市の行政チャットボット構築の取り組みや、現場の面倒くささへの心理的抵抗など、組織の内面に迫るリアルな視点を紹介。リーダーシップの重要性、マインドセットの変革「マインド・トランスフォーメーション」の必要性について、近森氏自身の経験や失敗談を交えて語られ、笑いと納得を交えた読み応えある内容となっています。

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  【著者情報】

こんにちは、IT・DX教育サービスの株式会社サートプロ 近森満です。
www.certpro.jp/blogs/dx_chikamori/

当社では「DX推進人材教育プログラム」として初回無料のコンサルティングを提供しています。
DX推進や人材育成のご相談をお待ちしています。
www.certpro.jp/dxconsulting/

 

 

DX・生成AIを拒む組織、その根底にあるもの

「DXとかAIとか、うちには関係ない」。そう言い放つ企業や部署、まだまだ存在していますよね。実は、こうした組織の多くが時代の波に乗り遅れる3つの“クセ”を持っていると、私は思っています。

それが、
「決めつける」
「こだわる(固執する)」
「完璧を目指しすぎる」
の3つ。私たちはこれを“3K”と呼んでいます。

この“3K”が、DXや生成AIといった新しい技術・手法の導入を阻む最大の壁になっているのです。

 

 

「決めつけ」から始まる思考停止

DXにしても生成AIにしても、導入の初期段階でよく耳にするのが「ウチには必要ない」「ウチの業種には合わない」といった言葉。これ、まさに“決めつけ”です。

新しい技術を前に「危ない」「信用できない」「失敗するに決まってる」といった否定的な反応をするのは、人間として当然かもしれません。でも、そのまま立ち止まってしまっては、何も変わらないのです。

使ってみる前から“ダメ”と決めつけてしまうことこそが、一番危険な思考停止。

昔、Google検索が出たばかりの頃、「こんなもの、どう使えばいいのか分からない」と多くの人が戸惑いました。でも今では、調べ物=検索が当たり前になっていますよね。生成AIも同じ。触れてみなければ、その可能性も課題も見えてこないのです。

 

 

「こだわる」ことが変化を拒む

2つ目は「こだわる」、つまり現状維持への固執です。

「今のままで問題ない」「昔からこのやり方でやってきた」――これらの言葉は、一見安心感を与えるように見えて、実は変化を拒む呪文です。

現状維持バイアスとも言われるこの傾向は、心理的安全性を守ろうとする防衛本能とも言えるでしょう。しかし、変化のスピードが加速するいま、立ち止まることは“後退”と同義です。

たとえば、手書きの経理処理を続けている企業で、高齢の経理担当者が退職するとします。次にそのポジションに入る人が、手書き+電卓作業に慣れるでしょうか?答えはNOです。SaaS会計システムが当たり前の時代に、レガシーな手法に人材は集まりません。

変わらなければ、採用も技術継承も難しくなる。そんな未来は、実は目の前まで来ているのです。

 

事例: 炊飯器と心のバリア

かつて、ご飯を炊くには火加減が必要で、失敗すればお米は台無しでした。でも、炊飯器の登場によって「ポンと押すだけでおいしいご飯」が当たり前になりましたよね。

これがまさに「心理的安全性を技術が担保した」例です。

同じように、AIやDXも“人間の不安”を解消するためにこそあるべきなのに、逆に不安を生んでいる。これは矛盾です。その矛盾を打ち破るためには、まずは“こだわり”を手放す勇気が必要です。

 

 

「完璧を求めすぎる」という罠

3つ目は「完璧を求めすぎる」という姿勢です。

「どうせ導入するなら100点満点じゃないと」
「この機能が足りないから、やめておこう」

…こんなふうに、不完全を許さない空気感が、新しい挑戦を根こそぎ潰してしまいます。

しかし、生成AIやDX導入の現場では、80点で十分なんです。

 

事例: 舞鶴市の町内チャットボット

京都府舞鶴市のデジタル推進課では、生成AIを活用した町内チャットボットを構築し、「問い合わせ数の激減」という成果をあげています。

ポイントは、完璧な回答を目指すのではなく、80点を良しとする姿勢です。

自治体は本来、「完璧主義」に陥りやすい世界です。しかし、「全ての質問に完璧に答えよう」とすると、スピードもコストも膨らみます。だからこそ、「まずやってみる」「走りながら直す」という柔軟さが必要です。

 

 

「面倒くさい」に打ち克つには

DXが進まない理由を突き詰めていくと、結局はこの一言にたどり着きます。

「面倒くさい」

わかります。新しいツールを覚えるのも、使い方を社内展開するのも、時間と労力がかかります。

でも、それを理由に手を止めるのか、それとも「面倒だからこそAIで時短できる」と発想を転換するかで、未来は大きく変わります。

 

 

マインド・トランスフォーメーションという選択

最終的に必要なのは、「意識の変革」――マインド・トランスフォーメーションです。

近森自身も、「生成AIをなぜ使い倒しているのか?」と聞かれれば、その答えは明確です。
「面倒くさいから」
一度作った資料をまた一から作るのは手間。でも、AIに補助してもらえば、テンプレートも要約も一瞬です。

だからこそ、「苦手・面倒・煩わしい」と感じる部分にこそ、生成AIを活かすべきなのです。

 

 

経営者にこそ必要な「変わる覚悟」

そして最も重要なのは、経営者自身がマインド・トランスフォーメーションを実践することです。

部下や現場が「変わらない」「進まない」と嘆く前に、まずは経営者自身が旗を振って動くことが求められます。

実際、経営者の無理解や判断の遅さが、現場の萎縮や停滞を生むことも多いのです。

 

 

まとめ):変化できる組織にするために必要なたった一つのこと

「意識が変われば、行動が変わる。行動が変われば、組織が変わる。」

このシンプルな真理を実践できるかどうかが、DXや生成AI活用の成否を分けます。

まずは、決めつけるのをやめましょう。
こだわりを手放しましょう。
完璧を諦めましょう。

そして――動いてみましょう。
80点でいいんです。走りながら改善すれば、必ず道は拓けます。

 

いかがでしたでしょうか?
すこしでもみなさまの気づきになれたのであれば幸いです。

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  【キーワードの解説】

DX(デジタル・トランスフォーメーション)
DXとは、企業がデジタル技術を活用して、業務プロセスやビジネスモデルを抜本的に変革する取り組みを指します。単なるIT化ではなく、顧客体験の向上や新規事業創出など「組織そのものの再定義」につながるのがポイント。DXにより、競争力を維持・強化するだけでなく、未来の事業継続可能性を高めることができます。

生成AI(Generative AI)
生成AIとは、テキストや画像、音声、動画などのコンテンツを自動的に生成する人工知能の総称です。ChatGPTやMidjourneyなどが代表例で、特定のルールではなく、大量のデータからパターンを学習し、自然な言語やビジュアルを出力します。業務効率化や創造的活動の補助に活用され、企業にとっては“第2の従業員”とも言える存在になりつつあります。

マインド・トランスフォーメーション
マインド・トランスフォーメーションとは、従来の固定観念や慣習にとらわれた思考を転換し、柔軟かつ前向きに変化を受け入れる意識変革を指します。DX推進や生成AI導入の際には、技術そのものよりも「人間の意識改革」が最大のハードルとなることが多く、この概念は変革の出発点として極めて重要です。

 

  【著者紹介】

近森 満(ちかもりみつる)
■株式会社サートプロ 代表取締役CEO
IT技術者の教育支援と人材育成を専門とする事業化コンサルタントとして、2006年に株式会社サートプロを創業し、IoT検定、+DX認定、アジャイル検定などの資格制度を創出。独自の技術者向け教育研修の開発に定評があり、実践的なスキル向上を支援。経済産業省DX推進ラボおよびIoT推進ラボのメンターとして、自治体や中小企業のDX推進を支援。近年は超知性ASIスキル可視化にも取り組み、次世代技術の普及に注力している。
■所属・役職
IoT検定制度委員会 事務局長(IoT検定、+DX認定、超知性ASI検定)
一般社団法人 IT職業能力支援機構 理事長(Android資格)
電気・電子系技術者育成協議会 副理事長(E検定)
NPO 組込みソフトウェア管理者技術者育成研究会 メンバー(組込み)
ET教育フォーラム合同会社 代表(コンテンツ制作)
経済産業省地方版IoT推進ラボ ビジネス創出事業メンター(IoT支援)
経済産業省地域DX推進ラボ ビジネス創出事業メンター(DX支援)
デジタル庁デジタル推進委員(デジタル化支援)
DX事業共同組合 設立理事(DX推進)
一般社団法人日本サステナブルビジネス機構 幹事(SDGs認証)
”一億総活躍社会を実現する”共生日本協議会 理事(DEI支援)
アジャイル開発技術者検定試験コンソーシアム 事務局長(Agile検定)
一般社団法人国際サイバーセキュリティ協会 事務局長(IACS認定)

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