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プロンプトって質問じゃないの?生成AIを動かす“設計図”としての真の役割とは

2025年6月26日
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【記事概要】

生成AIを活用する上で必須となる「プロンプト」の本質的な意味とは何か?多くの人が抱く「プロンプト=質問」という誤解を解き、実はAIに「やってほしいことを的確に伝える設計図(命令文)」であるという認識への転換が求められている。本記事では、近森満が日々のDX推進・IT教育支援の現場で実践している「プロンプトエンジニアリング」の講座内容をもとに、良いプロンプトと悪いプロンプトの違い、具体的な設計ポイント(三要素「誰に・何を・どう」)について事例を交えてわかりやすく解説。また、ブログ生成など生成AIの実務応用において、いかにプロンプトの工夫が成果物の品質に直結するかを、近森自身の実体験を通じて語る。さらに、テンプレート活用や便利なプロンプト共有サイトの紹介を通じ、誰でもすぐに実践できるAI活用スキルの習得方法を提案する。

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【本文】

プロンプトは“質問”ではなく、“設計図”である――生成AIを使いこなすための第一歩

こんにちは、IT・DX教育サービスの株式会社サートプロ 近森満です。
www.certpro.jp/blogs/dx_chikamori/

当社では「DX推進人材教育プログラム」として初回無料のコンサルティングを提供しています。DX推進や人材育成のご相談をお待ちしています。
www.certpro.jp/dxconsulting/

AIとの対話で最も重要な「呪文」とは何か?

「プロンプトって、ただの質問でしょ?」
これは私がよく受ける質問です。実際、生成AIに対して「〜を教えて」とか「〜について調べて」などと入力して使っている方は多いでしょう。しかし、それでは生成AIの真価を引き出すことはできません。

プロンプトとは、**AIに何をどうしてほしいかを伝えるための「設計図」**です。単なる質問ではなく、命令文であり、仕様書であり、ときに対話のシナリオでもあるのです。私はそれを「呪文」とも呼んでいます。

では、その「呪文」にはどんな要素が必要なのでしょうか?

「質問」と「プロンプト」の違いを理解する

質問というのは、情報を得るための行為です。一方、プロンプトはAIに行動を促す指示です。たとえば:

  • 質問:京都に行くにはどうすればいい?
  • プロンプト:あなたは観光プランナーです。京都旅行を検討している20代女性に向けて、週末1泊2日の予算3万円以内の旅程を3案、表形式で提案してください。

このように、プロンプトには「誰に(役割)」「何をしてほしいか(目的)」「どうしてほしいか(形式や条件)」が含まれています。

生成AI時代の「良いプロンプト」と「悪いプロンプト」

良いプロンプトは、AIが迷わず行動できるように、明確な意図と条件がセットされています。

事例: 旅行プランの相談

悪い例:「旅行に行きたい」
→ AIは「どこに?いつ?予算は?」と逆に質問を返してくる。

良い例:「夏に3万円以内で、関西から1泊2日で行けるおすすめ旅行先を教えてください」
→ AIは具体的な旅行先を提案してくれます。

つまり、AIに“意図”を伝えなければ、AIは「空気を読んでくれない」KYなのです。

プロンプト設計の三原則:「誰に・何を・どう」

生成AIにプロンプトを与える際、私が伝えている三原則があります。

  1. 誰に(役割の付与)
    例:「あなたはSEOに強いWebライターです」
    → AIはその立場での回答を意識します。
  2. 何を(目的や指示)
    例:「30代女性向けの美容記事タイトルを考えて」
    → 具体性が高まります。
  3. どう(出力形式や条件)
    例:「30文字以内で3案、箇条書きで」
    → 回答が明確になります。

この三要素を整理しておくだけで、生成AIの出力品質は飛躍的に向上します。

私自身が実践しているプロンプト活用術

私の業務では、毎日のように音声配信を行い、その内容をブログにリライトしています。
実はこのプロセスの大半を生成AIに任せており、**「90〜95%はAIが作成、残りの5〜10%を私が仕上げる」**という運用です。

ただし、AI任せにしすぎると、表面的で没個性的な文章になる恐れがあります。
だからこそ、最初のプロンプト設計が非常に重要なのです。

事例: ブログ生成の悪い例と良い例

  • 悪い例:「ブログ書いて」
    → AIは「何について?誰向け?どれくらい?」と聞き返してきます。
  • 良い例:「あなたはSEOに強いWebライターです。30代女性向け美容ブログのタイトルを30文字以内で3つ提案してください。」
    → 具体的なアウトプットが得られます。

テンプレート活用でプロンプト設計を標準化

プロンプトは毎回ゼロから考える必要はありません。テンプレート化することで、業務効率は劇的に向上します。

たとえば:

  • ブログ構成生成プロンプト
  • 要約プロンプト
  • アイデア出しプロンプト
  • 改善フィードバック用プロンプト

これらをストックしておくだけで、AI活用のスピードと質が段違いになります。

まとめ(企画書のネタ):プロンプトは「空気を読ませる」ための明文化された思考

生成AIは「空気を読めない」存在です。だからこそ、人間が「空気=意図や文脈」をプロンプトという形で明文化する必要があります。

「プロンプト=設計図」として捉え、意図を明示すること。それこそが、生成AIをビジネスパートナーとして活用する鍵です。

さいごに

いかがでしたでしょうか?
プロンプトはただの質問ではなく、「AIを操るための魔法の呪文」であり、「業務効率を高める設計図」です。
特に、DX推進においてAI活用を真剣に考えるなら、このプロンプト設計スキルは必須になります。

テンプレート化、三原則(誰に・何を・どう)、そして自分のスタイルを融合させて、ぜひ皆さんも「プロンプト職人」への一歩を踏み出してください。

DX推進担当者の育成やIT教育研修でお悩みがあれば、ぜひ初回無料のコンサルティング「DX推進人材教育プログラム」にご応募ください。かならずお役に立ちます。
ではまた。
www.certpro.jp/dxconsulting/


キーワードの解説

プロンプトエンジニアリング
生成AIに対して、目的に沿った最適な出力を引き出すための入力設計技術です。単なる質問ではなく、AIに「何を、誰に、どう伝えるか」を的確に指示するスキルを指します。近年では「生成AIを使いこなす鍵」として注目されており、DX推進や業務自動化においても高い効果を発揮します。AIを“道具”として活用するための根幹となるリテラシーとも言えるでしょう。

DX(デジタル・トランスフォーメーション)
企業がデジタル技術を活用して業務やビジネスモデルを変革し、価値創造を行う取り組みのこと。IT導入にとどまらず、企業文化や人材育成の変革も含む広範な概念です。近年では生成AIやIoT、クラウドなどとの連携により、DXの実現スピードが加速しています。

リスキリング
既存の職務から新しい職種やスキルへの移行を可能にするための「学び直し」のこと。AIやDX時代において急速に必要性が高まっており、従業員のキャリア支援だけでなく、企業の競争力強化にも直結する施策です。プロンプト設計スキルの習得もリスキリングの一環として非常に有効です。


【著者紹介】

近森 満(ちかもりみつる)
■株式会社サートプロ 代表取締役CEO
IT技術者の教育支援と人材育成を専門とする事業化コンサルタントとして、2006年に株式会社サートプロを創業し、IoT検定、+DX認定、アジャイル検定などの資格制度を創出。独自の技術者向け教育研修の開発に定評があり、実践的なスキル向上を支援。経済産業省DX推進ラボおよびIoT推進ラボのメンターとして、自治体や中小企業のDX推進を支援。近年は超知性ASIスキル可視化にも取り組み、次世代技術の普及に注力している。
■所属・役職
IoT検定制度委員会 事務局長(IoT検定、+DX認定、超知性ASI検定)
一般社団法人 IT職業能力支援機構 理事長(Android資格)
電気・電子系技術者育成協議会 副理事長(E検定)
NPO 組込みソフトウェア管理者技術者育成研究会 メンバー(組込み)
ET教育フォーラム合同会社 代表(コンテンツ制作)
経済産業省地方版IoT推進ラボ ビジネス創出事業メンター(IoT支援)
経済産業省地域DX推進ラボ ビジネス創出事業メンター(DX支援)
デジタル庁デジタル推進委員(デジタル化支援)
DX事業共同組合 設立理事(DX推進)
一般社団法人日本サステナブルビジネス機構 幹事(SDGs認証)
”一億総活躍社会を実現する”共生日本協議会 理事(DEI支援)
アジャイル開発技術者検定試験コンソーシアム 事務局長(Agile検定)
一般社団法人国際サイバーセキュリティ協会 事務局長(IACS認定)

【音声配信】

※音声収録のポッドキャストではテキストには載っていない㊙話も。
ぜひ、ものは試しに聴いてみてください。
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