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AIに仕事を奪われるけどIT人材は不足している矛盾(後編)

2025年5月14日
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【記事概要】

AIの進化により「仕事を奪われる」との懸念が広がる一方で、「IT人材は依然として不足している」という矛盾が現場を悩ませています。本記事では、DX推進の第一人者・近森満が、生成AI時代の人材戦略について、現場感とユーモアを交えて語ります。かつてのCOBOL技術者の事例から、今後のリスキリングやスキルチェンジの重要性、また「すべてのITを一人で担える人材はいない」という前提に立った分業と専門性の深化まで、リアルな視点が満載。さらに、アメリカで起きているITエンジニアのレイオフが日本に与える影響を分析し、「淘汰されないエンジニア像」とは何かを問います。変化を恐れるのではなく、自らの価値を再定義し、新しい社会で活躍するためのヒントが詰まった内容です。

前編もありますので良かったら確認してみてください。

【本文】

AI時代の”矛盾”をどう読み解くか?IT人材はなぜ不足し続けるのか?

こんにちは、IT・DX教育サービスの株式会社サートプロ 近森満です。
www.certpro.jp/blogs/dx_chikamori/
当社では「DX推進人材教育プログラム」として初回無料のコンサルティングを提供しています。DX推進や人材育成のご相談をお待ちしています。
www.certpro.jp/dxconsulting/

AIに仕事を奪われる?

―――じゃあ、IT人材が余ってるはずじゃない?―――

生成AIの進化で「AIに仕事を奪われる」という言葉がバズっていますよね。チャットボットも絵も動画も作れてしまう時代、「これからはAIが何でもやってくれる」と思われがち。でも、現実はどうか?

全業界でIT人材は足りていないんです。

この矛盾に違和感を持ったあなたは正しい。でも、もっと正確に言えば「AIで代替される仕事」と「人がやるべきIT仕事」は違う層にあるんです。昔のCOBOL技術者がリプレイスの波に乗り遅れたように、今も「自分で学び直せるか」が試されています。

スペシャリスト時代の「人材ギャップ」

昔はオールマイティにできるスーパーエンジニアが存在していました。でも今は違う。ネットワーク、クラウド、フロントエンド、バックエンド、AI、セキュリティ、データ分析、そしてプロダクトマネジメント……。

専門分化が進んだ現代、すべてをカバーできる人なんてそうそういません。

だからこそ、企業が求めるIT人材像と、実際に市場にいる人材が「マッチしない」んです。経験の浅いエンジニアが現場に入っては苦戦し、企業も「育てる余裕がない」と嘆く……。この構造的課題が、IT人材の慢性的な不足につながっています。

事例: COBOLからスキルチェンジした技術者たち

近森自身も体験したCOBOL時代の「スキル転換」は象徴的です。COBOLを扱うシステムが次々とリプレイスされ、「このままじゃ仕事がない!」と危機感を持ったエンジニアたちは、ネットワークや別の言語にスキルチェンジ。
でも、その転換には“時間”も“お金”も“覚悟”も必要だった。
そして今、そのハードルはむしろ下がっています。なぜなら、eラーニングも生成AIもあるから。

なぜアメリカのレイオフが日本にとって「チャンス」なのか?

アメリカのIT大手――Google、Meta、Indeedなどでは、すでにAI時代の再編が始まっています。エンジニアのレイオフが進み、「数年後には日本にもこの波がくる」と警鐘を鳴らします。

しかしこれは単なる悲観ではありません。

優秀な人材が、新しい市場に流れ込むチャンスでもある。

たとえば、今までAIに無縁だった企業にとっては、「元GAFAのAI人材」が中小企業に流れてくる可能性だってある。これはまさに逆転のチャンスなんです。

エンジニアが淘汰される条件と生き残る条件

令和トラベルの篠塚氏が語るように、「プロダクト職に携わる人たちは2年くらいはいなくならないが、スキルのケイパビリティを広く深くできない人から順番に淘汰される。」これからのエンジニアに求められるのは「ケイパビリティ」=深く、広く活用できるスキルの組み合わせ

「ちょっとだけ分かる」「一通り経験してる」だけでは、生き残れない。AIに置き換えられないためには、何かひとつ尖った専門性が必要です。
さらに、その専門性を他領域とつなげるスキル=超知性リテラシーが求められる時代です。

事例: 米国レイオフから新しい価値を生むスピンアウト

Googleを解雇されたエンジニアが、新たなスタートアップを立ち上げ、AIによる農業支援や物流最適化などに挑戦している例も登場しています。
レイオフ=終わり、ではない。むしろ「始まり」になり得るのです。

私たちも「鬼滅隊」になるしかない

私は、アニメ鬼滅の刃の「テクノロジー=鬼」「人間=鬼滅隊」じゃないかと。
鬼=技術は進化し続ける。止まらない。倒しても次が来る。
じゃあ、私たち人間はどうするのか?

鍛えるしかないんです、自分自身を。
磨くしか無いんですよ、自分の刀を。

人は簡単に増えない。技術は一瞬で複製される。
だからこそ、自分の価値を言語化し、社会に提示する時代なんです。

マインドチェンジから始まるDX人材戦略

重要なのは「行動できるマインドセット」。たとえスキルがあっても、学ばない人は淘汰されます。
逆に、スキルが今なくても「学ぼうとする人」「社会の動きをキャッチアップしようとする人」には未来があります。
それを支えるのが「DX推進人材教育」です。

事例: 自治体1,700システムが直面する現場の現実

全国の自治体がバラバラなシステムを運用している現場。
標準化には時間がかかり、エンジニアが足りない。
だからこそ「学び直し」=リスキリングが必要なんです。

リスキリングは誰にでも必要
「これでいいや」なんてない。
なぜなら、時代が変わり続けるから。

まとめ(企画書のネタ):AI時代のDX人材の新しい定義

DX人材とは、単にデジタルツールを使える人ではありません。
「AI時代の変化を理解し、自らの価値を言語化し、提案できる人」
これが、新しいDX人材の定義です。

企業は、そうした人材の育成に注力すべきです。
従来の職能定義を超え、広く深く貢献できる人材をどう育てるかが鍵になります。

人材不足ではなく、教育不足です

さいごに

「AIに仕事を奪われる」なんて嘆いてる暇があったら、自分から仕掛けましょう。
「仕事を奪ってくれたら、もっと面白い仕事にチャレンジできる」くらいの気概が必要です。

いかがでしたでしょうか?
すこしでもみなさまの気づきになれたのであれば幸いです。
DX推進担当者の育成やIT教育研修でお悩みがあれば、ぜひ初回無料のコンサルティング「DX推進人材教育プログラム」にご応募ください。かならずお役に立ちます。
ではまた。
www.certpro.jp/dxconsulting/

―――

【音声配信】

※音声収録のポッドキャストではテキストには載っていない㊙話も。
ぜひ、ものは試しに聴いてみてください。
最近ビデオポッドキャストを始めましたので映像でもどうぞ!

【著者紹介】

近森 満(ちかもりみつる)
■株式会社サートプロ代表取締役CEO
IT技術者の教育支援と人材育成を専門とする事業化コンサルタントとして、2006年に株式会社サートプロを創業し、IoT検定、+DX認定、アジャイル検定などの資格制度を創出。独自の技術者向け教育研修の開発に定評があり、実践的なスキル向上を支援。経済産業省DX推進ラボおよびIoT推進ラボのメンターとして、自治体や中小企業のDX推進を支援。近年は超知性ASIスキル可視化にも取り組み、次世代技術の普及に注力している。
■所属・役職
IoT検定制度委員会事務局長(IoT検定、+DX認定、超知性ASI検定)
一般社団法人 IT職業能力支援機構理事長(Android資格)
電気・電子系技術者育成協議会副理事長(E検定)
NPO 組込みソフトウェア管理者技術者育成研究会メンバー(組込み)
ET教育フォーラム合同会社代表(コンテンツ制作)
経済産業省地方版IoT推進ラボビジネス創出事業メンター(IoT支援)
経済産業省地域DX推進ラボビジネス創出事業メンター(DX支援)
デジタル庁デジタル推進委員(デジタル化支援)
DX事業共同組合設立理事(DX推進)
一般社団法人サステナブルビジネス機構幹事(SDGs認証)
”一億総活躍社会を実現する”共生日本協議会理事(DEI支援)
アジャイル開発技術者検定試験コンソーシアム 事務局長(Agile検定)

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