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生成AIを“つなぐ”仕組み、MCPってなに?モデルコンテキストプロトコルを超簡単に解説!

2025年5月8日
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【記事概要】

生成AIの普及が加速する中で、異なるAIモデルやサービスをつなぐための共通規格「MCP(Model Context Protocol)」が注目を集めています。近森満は、Anthropicが提唱するこのMCPについて、USB-Cのような標準規格として捉えるとわかりやすいと語り、生成AIが多様なツールやアプリケーションと連携することで、ユーザー体験がより滑らかになる未来像を描きます。

本記事では、OpenAI、Google、Anthropicの3大生成AIモデルが担うマルチモーダル化の現状から、CanvaのようなAI統合型ツールの実例、さらにはMCPによる業界の標準化が持つ意義までを平易に解説します。また、MCPを「お弁当箱とおかずカップ」や「テレビとリモコン」になぞらえた近森満が独特の例え話を通じて、抽象的な技術概念を実生活に置き換え、理解を促進します。

今後、生成AIがますます私たちのビジネスや日常に浸透していく中で、ユーザーにとって「使いやすさ」や「目的達成の容易さ」を実現する鍵となるMCPの本質に迫ります。

【本文】

こんにちは、IT・DX教育サービスの株式会社サートプロ 近森満です。
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当社では「DX推進人材教育プログラム」として初回無料のコンサルティングを提供しています。DX推進や人材育成のご相談をお待ちしています。
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MCPとは何か?生成AIを“つなぐ”共通言語の登場

生成AIがビジネスや日常生活に浸透するなかで、AI同士やAIとアプリケーション間の「つながり」をどう実現するかが重要な課題となっています。そこで登場したのが「MCP(Model Context Protocol)」です。これは、異なるAIモデルに共通の文脈(コンテキスト)を与え、接続するためのオープンプロトコル。Anthropic社が提唱し、OpenAIやGoogleなどの主要企業も追随する形で支持を表明しています。

MCPの役割を一言で言えば、「生成AIのためのUSB-C」です。パソコンやスマホと周辺機器を接続するUSB-Cのように、MCPはAIモデルと外部サービスとの標準的な“つなぎ口”として機能します。

マルチモーダルAI時代に必須の接続性

現在の生成AIの進化は、いわゆるマルチモーダル化が大きな流れとなっています。これは、テキスト、画像、音声、動画、コードなど、多様な情報を一つのモデルで扱えるようにする動きです。

OpenAIのChatGPT、GoogleのGemini、AnthropicのClaudeといった大手3社は、いずれもこのマルチモーダル対応を進めています。各モデルが画像生成やコード補完をこなす一方で、ユーザーにとっては「どれを使えばいいのか」、「どうやって接続すればいいのか」が新たな課題になっていました。

その複雑さを解消する鍵が、MCPなのです。

事例: Canvaに見るAIの「複合連携」

たとえば、近森満自身も日々のサムネイル作成に利用している「Canva」には、すでに様々な生成AI機能が組み込まれています。画像の背景除去、QRコード生成、テキストの自動補正やタイトル作成まで、以前は専門ツールでしかできなかった操作が、ワンクリックで実現可能になっています。

この背後では、複数のAIエンジンが連携して動いており、MCPのような「共通言語」がなければ、それぞれの機能をシームレスに統合することはできません。

MCPを身近なたとえで理解する

とはいえ、MCPと聞いてもピンとこない人は多いかもしれません。そこで、近森は2つの秀逸なたとえ話を用いて、MCPの概念を噛み砕いて説明しています。

1)「お弁当箱とおかずカップ
AIモデルがお弁当箱だとすると、コンテキスト(文脈)=おかずは、仕切りがなければごちゃまぜになってしまいます。そこでおかずカップ=MCPが必要になるというわけです。

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2)「テレビとリモコン」
テレビがAIモデルで、リモコンがMCP。リモコンがあることで、どのチャンネル(=アプリケーション)にアクセスするかを簡単に選べるようになります。

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これらのたとえは、抽象的なプロトコル概念を日常感覚に引き寄せて理解するうえで非常に有効です。

なぜMCPが業界標準になるのか?

MCPは、現在OpenAIを含めて50以上のAIサービスが採用を表明しており、業界標準となる可能性が非常に高いです。その理由は以下の3点に集約されます。

  • 相互運用性の確保:AIモデルやアプリケーションごとにAPIや形式が異なると、接続コストが高騰する。それをMCPが標準化によって解決。
  • ユーザー利便性の向上:ユーザーは複数のAIを横断的に利用することができ、ビジネスニーズに応じた最適なツール選びが可能に。
  • 開発スピードの加速:開発者にとっても、接続部分を共通化できることで、AI実装のハードルが一気に下がる。

つまりMCPとは、「AIの民主化」を一歩進めるための共通基盤とも言えるのです。

事例: VHSとβ戦争に学ぶ標準化の力

MCPの普及は、かつてのカセットテープ「VHS vs ベータ」規格争いを彷彿とさせます。最終的に普及のしやすさと互換性を武器にVHSが勝利し、業界の共通基準となりました。

近森はこの事例を引き合いに出しながら、MCPが生成AI時代の“VHS”になり得ると説きます。

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DX推進におけるMCPの意義とは?

企業のDX推進においても、MCPは非常に重要な意味を持ちます。というのも、現在多くの企業が取り組んでいる「生成AI導入」は、単体モデルの活用にとどまっています。MCPのような仕組みがあれば、AIモデルの横断利用や社内外データとの統合が格段にしやすくなります。

その結果、以下のような革新が可能になります:

  • 企業内でのマルチAI連携(RAGなど)
  • 部門横断でのデータ活用
  • 外部サービスとの自動統合(API接続)
  • ノーコードでのAI活用促進

つまり、技術者でなくてもAIが使える時代の到来をMCPが後押ししているというわけです。

超知性時代を見据えた布石

今後、AGI(汎用人工知能)やASI(超知性AI)の登場が現実味を帯びてくるなかで、AIの「つながり方」がますます重要になってきます。個々のAIが進化するだけでなく、AI同士が協調し合う社会的インフラの整備が求められるのです。

MCPは、その“つなぎ役”としてのポテンシャルを持っています。技術的にも思想的にも、「分断されたAIをどう調和させるか」という問いに対する1つの答えと言えるでしょう。

まとめ(企画書のネタ):MCPは生成AI時代の基盤インフラ

  • MCPは、生成AIの相互運用性を支える標準プロトコル
  • USB-Cのような「共通端子」として、AIとアプリ、ツールをつなぐ
  • 「お弁当箱」「リモコン」など、日常的な比喩で理解が深まる
  • OpenAI、Anthropic、Googleなど大手が次々に採用へ
  • 企業のDX推進におけるAI活用を一層加速
  • 超知性AI時代の共通基盤としても重要な布石

さいごに

いかがでしたでしょうか?
すこしでもみなさまの気づきになれたのであれば幸いです。
DX推進担当者の育成やIT教育研修でお悩みがあれば、ぜひ初回無料のコンサルティング「DX推進人材教育プログラム」にご応募ください。かならずお役に立ちます。
ではまた。
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【音声配信】

※音声収録のポッドキャストではテキストには載っていない㊙話も。
ぜひ、ものは試しに聴いてみてください。
最近ビデオポッドキャストを始めましたので映像でもどうぞ!

【著者紹介】

近森 満(ちかもりみつる)
■株式会社サートプロ代表取締役CEO
IT技術者の教育支援と人材育成を専門とする事業化コンサルタントとして、2006年に株式会社サートプロを創業し、IoT検定、+DX認定、アジャイル検定などの資格制度を創出。独自の技術者向け教育研修の開発に定評があり、実践的なスキル向上を支援。経済産業省DX推進ラボおよびIoT推進ラボのメンターとして、自治体や中小企業のDX推進を支援。近年は超知性ASIスキル可視化にも取り組み、次世代技術の普及に注力している。
■所属・役職
IoT検定制度委員会事務局長(IoT検定、+DX認定、超知性ASI検定)
一般社団法人 IT職業能力支援機構理事長(Android資格)
電気・電子系技術者育成協議会副理事長(E検定)
NPO 組込みソフトウェア管理者技術者育成研究会メンバー(組込み)
ET教育フォーラム合同会社代表(コンテンツ制作)
経済産業省地方版IoT推進ラボビジネス創出事業メンター(IoT支援)
経済産業省地域DX推進ラボビジネス創出事業メンター(DX支援)
デジタル庁デジタル推進委員(デジタル化支援)
DX事業共同組合設立理事(DX推進)
一般社団法人サステナブルビジネス機構幹事(SDGs認証)
”一億総活躍社会を実現する”共生日本協議会理事(DEI支援)
アジャイル開発技術者検定試験コンソーシアム 事務局長(Agile検定)

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