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生成AIの夜が明けてほしくない〜第5次産業革命と第4次AIブーム、その“Day1”を生きる私たちへ

2025年4月25日
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【記事概要】

生成AIの急速な普及により社会が劇的に変化する中、2022年11月に登場したChatGPTを起点とした「生成AI元年」を迎えた現在、技術進展のスピードは留まるところを知りません。
しかしその一方で、実際に生成AIを業務で活用している人々は未だ全体の25%にとどまっており、多くの人々がその可能性を実感できずにいます。本稿では「夜が明けてほしくない」と語る近森満の視点から、AI技術の進展が一部のプロだけのものとなってしまう懸念、そして全ユーザーが生成AIを活用できる社会の必要性を語ります。
第5次産業革命の幕開けとしての生成AIの本質と、AIエージェント時代に取り残されないための「Day1(初日)のマインドセット」の重要性について、多様な事例と比喩を交えて解説します。

目次

  • 【本文】
  • 生成AIの「Day1(初日)」が意味するもの
  • 参考:MCPとは
  • まだ夜明け前。25%の勝ち組と75%の乗り遅れ勢
  • 事例: RPAブームの急落とその教訓
  • 生成AIがもたらす「第5次産業革命」の幕開け
  • 「いい感じ」にしてくれるAIは人類の解放か、それとも…
  • 事例: PoCで終わるAIプロジェクトの問題
  • AGI時代を前に、今やるべきこととは
  • 生成AIは「学び」の民主化装置だ
  • まとめ(企画書のネタ):Day1を共有せよ
  • さいごに
  • 【音声配信】
  • 【著者紹介】

【本文】

生成AIの夜が明けて欲しくないという話、それは未来への警鐘でもあり、希望への導きでもある。

こんにちは、IT・DX教育サービスの株式会社サートプロ 近森満です。
www.certpro.jp/blogs/dx_chikamori/
当社では「DX推進人材教育プログラム」として初回無料のコンサルティングを提供しています。DX推進や人材育成のご相談をお待ちしています。
www.certpro.jp/dxconsulting/

生成AIの「Day1(初日)」が意味するもの

今や生成AIは日常に溶け込み、業務の補助どころか中心にまで据えられようとしています。ChatGPTやAnthropicのClaude、GoogleのGeminiに至るまで、あらゆるAIモデルが次のステージへ進化しようとしています。技術的には、各社の生成AIが「MCP(Model Context Protocol)」という共通仕様でつながることで、AI同士が有機的に協働する未来も見え始めました。

こうした流れは、言ってみれば“夜が明ける”ようなものです。生成AIが一部に大きく浸透し、さらにAIエージェントが日常に入り込むことで社会全体が大きく変わろうとしています。ですが、私はあえて言いたい。

夜が明けて欲しくない。

この言葉には、未来への懸念と希望の両方が詰まっています。

参考:MCPとは

MCP は Model Context Protocol の略です。AI が外部のデータやツールにアクセスするための共通のルール(プロトコル)です。AI が様々なサービスやツールと連携する際に、それぞれのシステムごとに連携コードを独自に実装する必要がなく、共通のインターフェースで接続できるようにします。これにより、AI の開発効率が向上し、AI の利用範囲も広がります。

※MCPの3文字熟語が Microsoft Certified Professional や Multi-agent Communication Protocol ではないかと思った方も多いと思いますが、違いますので念の為。

まだ夜明け前。25%の勝ち組と75%の乗り遅れ勢

実は今、生成AIを実務レベルで使いこなしているのはわずか25%程度と言われています。残りの75%は、触れていない・使い方が分からない・あるいは会社からの許可が下りていない・こわい、といった理由で、AI社会の入り口にさえ立てていないのが現状です。

この状況で夜が明けてしまえば、どうなるのか?
生成AIの次にくるAIエージェント時代——つまり「Day2」2日目に突入してしまうと、多くの人が完全に取り残されてしまうのです。これが、「夜が明けて欲しくない」という私の強い主張の理由です。

事例: RPAブームの急落とその教訓

5〜6年前に「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)」が話題になった時も、最初は大きく盛り上がりました。しかし半年も経たないうちに熱は冷め、多くの現場では“プロ向けの技術”として扱われるようになってしまったんです。理由はシンプル。使いこなせる人が限られていたからです。

これは、今の生成AIやAIエージェントにも同じことが起こり得る危険を示しています。

生成AIがもたらす「第5次産業革命」の幕開け

私の考えでは、すでに私たちは「第5次産業革命」に突入しています。

これまでの産業革命は、蒸気機関(第1次)、電力(第2次)、コンピュータ(第3次)、データ活用とAI(第4次)と続いてきました。そして今、全ユーザーがテクノロジーを直接使う時代がやってきた。それが第5次です。

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近森満DX推進セミナーでの資料から抜粋

また今の第4次産業革命(IoT、AI、ロボティクス、データ流通など)のときには第3次AIブームと言われていますが、生成AIが登場した2022年11月に潮目が変わり第4次AIブームになったのでは無いか、これが近森満の思うところです。

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近森満DX推進セミナーでの資料から抜粋

スマホで生成AIを使って「いい感じ」に仕上げる。今まで専門家がやっていたデータ処理や文章作成、企画アイデア出しまでを、誰もができるようになった。この“誰でもできる”という変化が本質なのです。

「いい感じ」にしてくれるAIは人類の解放か、それとも…

Excelの関数やAccessのクエリ、膨大なデータの集計や可視化。これまでは「一部のスキルを持った人」しかできなかったことが、今は「AIがいい感じにしてくれる」ようになったのです。

しかし、ここに落とし穴があります。

「いい感じ」になっても、それがなぜそうなったのか説明できなければ、プロとしては不完全なのです。
それが、AIエージェントになるとさらに顕著になります。なぜその結果になったのか?どのデータをもとに判断したのか?その説明ができない限り、業務への本格導入は難しいのです。

事例: PoCで終わるAIプロジェクトの問題

私の周囲でも、「一応AI動かしてみました!」というPoC(Proof of Concept)で終わってしまう事例が多数見受けられます。ですが、そのAIを実際に本番環境で活用し続けるには、「なぜ動いたのか」「なぜその結果が出たのか」を説明できるだけのスキルと理解が必要です。

これが「Explainable AI(説明可能なAI, XAI)」や「トレーサビリティ」の必要性が叫ばれている理由でもあります。

AGI時代を前に、今やるべきこととは

2025年は「AIエージェント元年」とも言われています。次は「AGI(汎用人工知能)」の時代、、そして「ASI(超知性AI)」の時代がやってくると予測されています。技術は確実に進化します。

でも、私たちの社会や教育、企業の現場はまだまだ追いついていない

だから私は、あえて声を大にして言います。

「夜が明けて欲しくない。」

今はまだDay1。生成AIを22%の人だけが活用しているこの初日段階で、残りの78%が追いつく時間が必要なのです。

生成AIは「学び」の民主化装置だ

生成AIの本質は、「学びの民主化」です。
これまで「分かる人」だけのものであった知識やノウハウが、AIの手助けで誰にでも手に入るようになりました。

このツールを「全員が使える社会」にしていくためには、マインドセットの転換が必要です。
「AIは専門家だけのもの」という思い込みを捨てること。
「AIを使うことは難しい」と決めつけないこと。

そして何より、周囲と一緒に使って、シェアしていく文化が必要です。

人は365日、24時間、誰でも平等です。

まとめ(企画書のネタ):Day1を共有せよ

生成AIは、まだDay1にある。
この「1日目」にできるだけ多くの人が集まり、学び、活用する社会をつくることが、次に来るAIエージェント時代の基盤になるのです。

夜が明けたその先、Day2以降に進むためには、まずDay1の「夜の時間」を共有しなければなりません。
早起きした人だけが勝つのではなく、みんなで目覚める。そんな社会を目指しましょう。

さいごに

いかがでしたでしょうか?

個人的には、個人的にはですよ、
夜が明けてDay2、2日目になってほしいと思っています。
だってすでにAIエージェント元年、これからが本番なのですから。

すこしでもみなさまの気づきになれたのであれば幸いです。
DX推進担当者の育成やIT教育研修でお悩みがあれば、ぜひ初回無料のコンサルティング「DX推進人材教育プログラム」にご応募ください。かならずお役に立ちます。
ではまた。
www.certpro.jp/dxconsulting/

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【音声配信】

※音声収録のポッドキャストではテキストには載っていない㊙話も。
ぜひ、ものは試しに聴いてみてください。
最近ビデオポッドキャストを始めましたので映像でもどうぞ!

【著者紹介】

近森 満(ちかもりみつる)
■株式会社サートプロ 代表取締役CEO
IT技術者の教育支援と人材育成を専門とする事業化コンサルタントとして、2006年に株式会社サートプロを創業し、IoT検定、+DX認定、アジャイル検定などの資格制度を創出。独自の技術者向け教育研修の開発に定評があり、実践的なスキル向上を支援。経済産業省DX推進ラボおよびIoT推進ラボのメンターとして、自治体や中小企業のDX推進を支援。近年は超知性ASIスキル可視化にも取り組み、次世代技術の普及に注力している。
■所属・役職
IoT検定制度委員会 事務局長(IoT検定、+DX認定、超知性ASI検定)
一般社団法人 IT職業能力支援機構 理事長(Android資格)
電気・電子系技術者育成協議会 副理事長(E検定)
NPO 組込みソフトウェア管理者 技術者育成研究会メンバー(組込み)
ET教育フォーラム 合同会社 代表(コンテンツ制作)
経済産業省 地方版IoT推進ラボビジネス創出事業メンター(IoT支援)
経済産業省 地域DX推進ラボビジネス創出事業メンター(DX支援)
デジタル庁 デジタル推進委員(デジタル化支援)
DX事業共同組合 設立理事(DX推進)
一般社団法人 サステナブルビジネス機構 幹事(SDGs認証)
”一億総活躍社会を実現する”共生日本協議会 理事(DEI支援)
アジャイル開発技術者検定試験コンソーシアム 事務局長(Agile検定)

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