
【記事概要】
日本の製造業を支える中核スキル「組込みC言語プログラミング」に焦点を当てた新たな検定試験「組込みC言語プログラミング検定レベル1」が、2025年3月31日にリリースされました。この検定は、実践的かつ基礎的なC言語スキルを有する技術者の可視化と育成を目的としており、技術者の再評価や新人教育の指標としても有効です。開発には、近森満氏を中心とするセサミ(組込みソフトウェア管理者・技術者育成研究会)の有志が携わり、模擬問題も公開され、受験前の自己診断も可能です。近森氏が20年前に立ち上げた「ETEC」の精神を受け継ぎ、次世代に向けて再び“組込み”分野の価値を再認識し、スキルを社会的に証明する新しい道筋を示します。今後はレベル2や応用編の検定も予定されており、技術継承や現場力強化の一助として注目される取り組みです。
目次
- 【記事概要】
- 組込みC言語の復権——時代は再び「ものづくり」の足元を見つめ始めた
- なぜ検定を立ち上げたのか——20年越しの情熱と原点
- 模擬問題を今すぐ体験!基礎力測定でスキルの“見える化”を
- 事例: 模擬問題を活用した社内研修プログラム設計
- 技術継承の危機、そして“バイネームで登場できる人”の育成
- DX時代にこそ問われる「リアルなスキル」の証明
- 事例: 自動運転車における組込みC言語の重要性
- C言語は古い?そんなことはない。むしろ「古くて新しい」
- 検定はひとりで作らない——チームで育てる検定制度へ
- まとめ(企画書のネタ):レガシー技術の未来に投資せよ
- さいごに
- 【音声配信】
- 【著者紹介】
【本文】 日本発・次世代技術者育成の一手!「組込みC言語プログラミング検定レベル1」模擬問題、提供スタート
こんにちは、IT・DX教育サービスの株式会社サートプロ 近森満です。
www.certpro.jp/blogs/dx_chikamori/
当社では「DX推進人材教育プログラム」として初回無料のオンラインによるコンサルティングを提供しています。DX推進や人材育成のご相談をお待ちしています。
www.certpro.jp/dxconsulting/
組込みC言語の復権——時代は再び「ものづくり」の足元を見つめ始めた
「いまさらC言語?」と思ったあなた、それ、間違っていません。でもね、「今だからこそ、C言語」なんです。
2025年3月31日、「組込みC言語プログラミング検定レベル1」がリリースされました。これは、近森満が約20年前に立ち上げた「ETEC(Embedded Technology Engineer Certification)」の精神を再び呼び覚ますような、まさに“原点回帰”とも言える試みです。
C言語は古典的でありながら、今なお車載システム、家電、医療機器、プラント制御などで現役バリバリ。その理由は「軽くて速くて信頼性が高い」から。特にハードウェアリソースに制限のある組込み開発現場においては、その性能が求められる限り、C言語は消えることはありません。
だからこそ「今、このタイミングで再び検定化すべき」と、サートプロは考え、関係者へのアプローとに踏み切りました。
なぜ検定を立ち上げたのか——20年越しの情熱と原点
この検定の発起人である私は、沖電気グループ出身の“ものづくり”企業で開発・製造する製品や現場を見ていた人。その後、技術教育分野に転身し、2006年にサートプロを設立。過去にAndroid認定、アジャイル検定、E検定など20以上の検定制度を創出、100件以上のコンサル、自社でも6団体の運営事務をしてきました。
その中でも、今回の組込みC言語プログラミング検定には特別な思いが詰まっています。というのも、最初に立ち上げたETECこそ、組込みエンジニアの“道しるべ”だったからです。
当時のスローガンは「見える化で信頼を得る」こと。これは今でも変わっていません。
そして、再びこの分野に戻ってきた理由は、次のとおりです:
- 組込み分野が技術継承の岐路にあること
- 日本の製造業が世界に対して強みを持つ最後の砦であること
- 若手の育成が追いついていないこと
- シニア世代が次の世代にバトンを渡す「仕組み」が不足していること
- 社会が変化しAIが下支えするので「人=プロ」が重要であること
模擬問題を今すぐ体験!基礎力測定でスキルの“見える化”を
今回の検定には、正式リリースに先立ち、模擬問題サイトが用意されています。内容は10問の四択問題で、C言語の基礎力、特に組込み向けとして重要な項目——ポインタやメモリ管理、条件分岐、ループ制御などをカバーしています。
模擬問題の詳細・受験はこちら:
模擬問題サイト

現場で教えるインストラクターや新人教育を担う人事担当者、新人研修講師にとっても、この模擬問題は貴重な教材となります。
「どれくらいわかっているか」ではなく、「どこまで基礎が身についているか」を測る試金石として使える設計になっているのです。
事例: 模擬問題を活用した社内研修プログラム設計
ある電機メーカーでは、模擬問題を元に新人研修のカリキュラムを再設計。独自のレベル設定と照らし合わせることで、入社3ヶ月の技術者に最適な問題がピックアップされ、「教えすぎ」や「説明不足」といった問題が激減したとの報告がありました。
技術継承の危機、そして“バイネームで登場できる人”の育成
今の日本では、組込み技術者の多くが定年を迎えようとしています。技術と経験が個人に属してしまっている状態では、知の断絶が避けられない。
「誰が組込みに強いのか?」
「どの企業にそのスキルがあるのか?」
これが明確でないと、いざというときに誰にも頼れない社会になってしまいます。検定による可視化は、そうした未来を防ぐための“布石”です。
また、検定制度の整備により、教える人・学ぶ人・評価する人が共通の言語で話せるようになります。これは教育の精度と効率を飛躍的に高める武器になるのです。
DX時代にこそ問われる「リアルなスキル」の証明
生成AI、AGI、クラウド、Python……DX時代は華やかなキーワードで満ちていますが、その“土台”にあるのは、リアルな開発現場の確かなスキルです。
組込み分野におけるC言語は、その象徴です。少ないメモリで正確な処理を行う、マシンとのインタフェースを作る、センサーからのデータを制御系に反映させる——これらは表面的なITスキルではなく、“命を預かる技術”なのです。
事例: 自動運転車における組込みC言語の重要性
自動運転システムでは、多重冗長なセンサー群とリアルタイム制御が命綱です。通信の遅延や処理のミスは、命に関わります。ここで重要なのが、ハードウェアに近いレベルで確実に動作するコードを書く能力——まさにC言語の真骨頂です。
C言語は古い?そんなことはない。むしろ「古くて新しい」
C言語は「枯れた技術」として扱われがちですが、裏を返せば「完成された技術」です。そして、その使いどころはつながる世界において、クラウドにも、エッジにも、IoTにも、未来の制御システムにも広がっている。
今、再びC言語を学ぶ、教える、証明することの意義はますます高まっています。
さらに本検定では、レベル2応用編の開発も計画中。そして組込みはC言語だけではないので、品質管理、テスト技術、セキュリティなど、組込みソフトウェアに必要なスキル領域を横断的に扱う予定です。
検定はひとりで作らない——チームで育てる検定制度へ
今回の検定開発には、セサミ(組込みソフトウェア管理者・技術者育成研究会)が協力しています。
メンバーは三浦氏、石井氏、松尾氏、末石氏らが参加しています。さらに、問題作成・レビュー・広報・導入支援などを通じて多くの企業や技術者が“共創”する形を目指しています。
「作って終わり」ではなく、「皆で育てていく」——これが新時代のスキル可視化の姿です。
まとめ(企画書のネタ):レガシー技術の未来に投資せよ
新しいことを学ぶには、古いことを知ることが重要です。 C言語は単なる言語ではなく、組込み技術の思想そのもの。「軽く、確実に、無駄なく動かす」この考え方こそが、DX時代のあらゆる開発に求められているのです。
本検定は、そのスキルを「証明」する道具であり、次世代に向けた「橋渡し」です。
検定の導入を通じて、御社の教育カリキュラムや採用基準、スキルマップを一新しませんか?
レガシー=時代遅れ、ではありません。
レガシー=継承すべき財産。
その“遺産”を、未来へと繋ぐ役割を担いましょう。
プレスリリース発行しました。
kyodonewsprwire.jp/release/202503306565
さいごに
いかがでしたでしょうか?
すこしでもみなさまの気づきになれたのであれば幸いです。
DX推進担当者の育成やIT教育研修でお悩みがあれば、ぜひ初回無料のオンラインコンサルティング「DX推進人材教育プログラム」にご応募ください。かならずお役に立ちます。
ではまた。
www.certpro.jp/dxconsulting/
【音声配信】
※音声収録のポッドキャストではテキストには載っていない㊙話も。
ぜひ、ものは試しに聴いてみてください。
最近ビデオポッドキャストを始めましたので映像でもどうぞ!
【著者紹介】
近森 満(ちかもりみつる)
▷ 株式会社サートプロ 代表取締役CEO
▷ IT技術者の教育支援と人材育成を専門とする事業化コンサルタントとして、2006年に株式会社サートプロを創業し、IoT検定、+DX認定、アジャイル検定などの資格制度を創出。独自の技術者向け教育研修の開発に定評があり、実践的なスキル向上を支援。経済産業省DX推進ラボおよびIoT推進ラボのメンターとして、自治体や中小企業のDX推進を支援。近年は超知性ASIスキル可視化にも取り組み、次世代技術の普及に注力している。
▷ 一般社団法人 IT職業能力支援機構 理事長(Android資格)
▷ 電気・電子系技術者育成協議会 副理事長(E検定)
▷ IoT検定制度委員会 事務局長(IoT検定+DX認定)
▷ ET教育フォーラム 合同会社 代表(コンテンツ制作)
▷ 経済産業省 地方版IoT推進ラボビジネス創出事業メンター(IoT支援)
▷ 経済産業省 地域DX推進ラボビジネス創出事業メンター(DX支援)
▷ デジタル庁 デジタル推進委員(デジタル化支援)
▷ DX事業共同組合 設立理事(DX推進)