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新しいスキルを学んでも続かないのはなぜ?答えは“心の準備不足”にあった

2025年10月3日
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【記事概要】

「新しいスキルを学んでも続かないのはなぜか?」――この問いに対して、近森満は「スキル以前に“心の準備”ができていないこと」が最大の原因だと指摘します。DX推進やリスキリングが叫ばれる中、多くの人や企業はPythonや生成AI、ノーコードツールといった“何を学ぶか”に意識が向きがちです。しかし本質はそこではなく、「なぜそれを学ぶのか」という目的意識、つまりマインドセットにあります。

本記事では、ゴールセッティング理論や自己決定理論(自律性・有能感・関係性)を軸に、学びが続かない構造的な理由を解き明かします。特に、スキル先行型の学習がリスキリングでは機能しにくい理由や、「マインドシフト・マインドチェンジ・マインドトランスフォーメーション」という“マインド三姉妹”の考え方を通じて、行動変容を起こすための実践的な視点を提示します。

また、企業における人材育成を「コスト」ではなく「投資」と捉え直す重要性、経営者や上司の支援が学びの持続性を左右する現実にも踏み込みます。DXとはデジタル導入ではなく、人の意識変革そのものであり、生成AIやAGI・ASI時代において求められるのは、スキルチェンジ以前のマインドチェンジである――そんな近森満らしい熱量と実体験を交えながら、読者に「なぜ学ぶのか」を問います。ご期待ください。

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【本文】

こんにちは、IT・DX教育サービスの株式会社サートプロ 近森満です。
www.certpro.jp/blogs/dx_chikamori/

当社では「DX推進人材教育プログラム」として初回無料のコンサルティングを提供しています。DX推進や人材育成のご相談をお待ちしています。
www.certpro.jp/dxconsulting/

新しいスキルを学んでも続かない理由

「新しいスキルを学びましょう」

この言葉、ここ数年で何回聞いたでしょうか。DX推進、デジタル・トランスフォーメーション、リスキリング。どれも正しいし、必要なことです。

では、なぜ多くの人が途中で止まってしまうのか。
Pythonを学び始めたけれど続かなかった。
生成AIの講座を受けたけれど、結局使っていない。
ノーコードツールを触ってみたけれど、サンプルを動かしただけで終わった。

これ、珍しい話ではありません。むしろ「普通」です。

問題はスキルの難易度ではありません。
問題は「なぜそれを学ぶのか」が、本人の中で言語化されていないことです。

多くの場合、「何を学ぶか」から入ってしまう。
けれど本来は逆です。
どうやるかよりも、なぜやるか。

この順番を間違えると、ボタンの掛け違いが起きます。

DXとスキル習得が混同される落とし穴

DXという言葉を分解すると、デジタルとトランスフォーメーションです。
デジタルを学ぶのは手段であって、目的ではありません。

ところが現場では、
・ITスキルを上げよう
・プログラミングを学ぼう
・AIを使おう

こうした「手段」が先行します。

プログラミング言語、Python、C言語、生成AI、ノーコードツール。
どれも悪くない。むしろ大事です。

ただし、それが「何のためか」が抜け落ちた瞬間、学びは続きません。

サンプルアプリを作った。
動画どおりに動かした。
「で、だから何なの?」
この感覚が出たら要注意です。

ゴールセッティング理論が示すシンプルな答え

人は、明確な目標を持ったときに初めて行動に一貫性が生まれます。
これはゴールセッティング理論として知られています。

「なぜやるのか」を整理する。
これだけで、学びの質は大きく変わります。

スキル先行型が悪いわけではありません。
新入社員研修のように、まずスキルを身につける必要がある場面もあります。

ただし、リスキリングは違います。
大人の学び直しは、「自分の意思」がなければ続かない。

だからこそ、最初に必要なのはスキルではなく、目的の言語化です。

自己決定理論が示す「続く学び」の条件

ここで重要なのが、自己決定理論です。
人が意欲的に行動するためには、次の3つが満たされる必要があります。

・自律性
・有能感
・関係性

これらが満たされると、人は自然と動き出します。

マインドチェンジとは、この内的動機を整えるプロセスです。
私はこれを
マインドシフト、マインドチェンジ、マインドトランスフォーメーション
――通称「マインド三姉妹」と呼んでいます。

スキルを学ぶ前に、この三姉妹が機能しているか。
ここを見落とすと、行動に移せません。

マインドチェンジを起こす三つのステップ

マインドチェンジには、明確なステップがあります。

一つ目は、目的を言葉にすること。
「プログラミングを学ぶ」は目的ではありません。
その先に何を達成したいのか。そこを言語化します。

二つ目は、日常の行動とつなげること。
自分の仕事、生活、身の回りの課題と結びついていない学びは続きません。

三つ目は、小さな成果を確認すること。
子どもと同じです。できたことを積み重ねることで、有能感が育ちます。

この三つがそろって初めて、学びは「使える力」になります。

リスキリングは一過性では終わらない

リスキリングは流行語ではありません。
一度やって終わり、ではない。

大人は学び続けなければならない時代に入りました。
だからこそ、マインドセットが重要になります。

スキルのゴールはマインドトランスフォーメーションです。
DXとは、デジタル導入ではありません。
人の意識が変わらなければ、DXは達成できない。

企業と経営者に求められる覚悟

企業における人材育成は、いまだに「コスト」と見られがちです。
しかし本質は投資です。

生成AIを使っていいのか悪いのか、曖昧な態度。
学びに対する中途半端なスタンス。
これでは現場は動けません。

経営者や上司が「学んでいい」と明確に示すこと。
これが、関係性を満たす重要な要素になります。

事例: 営業職にプロジェクトマネジメントを学ばせたい理由

ある社長から相談を受けました。
営業職にプロジェクトマネジメント研修を受けさせたいが大丈夫か、と。

答えは「大いにアリ」です。
プロジェクトマネジメントは技術者だけのものではありません。

人を動かし、目的に向かって進める。
これは営業にも管理職にも必要なスキルです。

こうした判断ができる企業は、これから強くなります。

スキルは武器になる。ただし順番がある

スキルは、これからの時代、確実に武器になります。
だから学んでほしい。

ただし、順番を間違えないでほしい。
なぜやるのかが先。
どうやるかは後。

私自身、AIエージェントに挑戦して挫折しかけています。
理由はシンプル。
「どうやるか」で詰まっている。

それでも続けられるのは、「なぜやるのか」が腹落ちしているからです。

まとめ:マインドが変われば、行動が変わる

新しいスキルが続かない理由は、能力ではありません。
心の準備不足です。

マインドシフトから始める。
これがDX時代の学びの第一歩です。

さいごに

本日の内容が、あなたの「シンギュラリティ時代への準備」に向けた、わずかながらでも「気づき」や「次の一歩」のヒントになれたなら幸いです。
10年先の超知性ASIやAGIが当たり前になる未来に向けて、私たち自身をアップデートし続けることが、今最も重要です。
ぜひ一緒に学びを深めていきましょう。

「社員のDXマインドをどう高めるか?」
「実践的なITスキル教育が進まない」

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次回の記事も、どうぞお楽しみに。


キーワードの解説

DX推進

DX推進とは、単なるIT化やデジタルツールの導入ではなく、デジタル技術を前提にして業務・組織・文化・人の意識までを変革していく取り組みを指す。多くの企業がDXを「システム刷新」と誤解しがちだが、本質は人の行動変容にある。特に重要なのは、現場の一人ひとりが「なぜ変わるのか」を腹落ちさせることだ。マインドチェンジが伴わないDXは、形だけ整っても定着せず、結果として失敗に終わるケースが多い。

リスキリング

リスキリングとは、新しい職務や役割に対応するために、既存のスキルセットを更新・再構築することを意味する。一度学んで終わりの研修とは異なり、継続的な学び直しが前提となる点が特徴だ。重要なのは「何を学ぶか」よりも「なぜ学ぶか」。目的が曖昧なままスキル習得を進めても、行動が続かず成果につながらない。リスキリング成功の鍵は、マインドセットの転換にある。

マインドチェンジ/マインドトランスフォーメーション

マインドチェンジとは、物事の捉え方や価値観を意識的に変えることを指す。一方、マインドトランスフォーメーションは、その変化が一時的ではなく、行動や判断基準として定着した状態を意味する。DX時代に求められるのは後者だ。スキルや知識は手段であり、最終的なゴールは「変化に適応し続けられる思考様式」を身につけることにある。


【著者紹介】

近森 満(ちかもりみつる)
■株式会社サートプロ 代表取締役CEO
IT技術者の教育支援と人材育成を専門とする事業化コンサルタントとして、2006年に株式会社サートプロを創業し、IoT検定、+DX認定、アジャイル検定などの資格制度を創出。独自の技術者向け教育研修の開発に定評があり、実践的なスキル向上を支援。経済産業省DX推進ラボおよびIoT推進ラボのメンターとして、自治体や中小企業のDX推進を支援。近年は超知性ASIスキル可視化にも取り組み、次世代技術の普及に注力している。
■所属・役職
IoT検定制度委員会 事務局長(IoT検定、+DX認定、超知性ASI検定)
一般社団法人 IT職業能力支援機構 理事長(Android資格)
電気・電子系技術者育成協議会 副理事長(E検定)
NPO 組込みソフトウェア管理者技術者育成研究会 メンバー(組込み)
ET教育フォーラム合同会社 代表(コンテンツ制作)
経済産業省地方版IoT推進ラボ ビジネス創出事業メンター(IoT支援)
経済産業省地域DX推進ラボ ビジネス創出事業メンター(DX支援)
デジタル庁デジタル推進委員(デジタル化支援)
DX事業共同組合 設立理事(DX推進)
一般社団法人日本サステナブルビジネス機構 幹事(SDGs認証)
”一億総活躍社会を実現する”共生日本協議会 理事(DEI支援)
アジャイル開発技術者検定試験コンソーシアム 事務局長(Agile検定)
一般社団法人国際サイバーセキュリティ協会 事務局長(IACS認定)

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