
【記事概要】
「検索より質問が武器になる時代」が到来しています。生成AIの台頭により、従来のキーワード検索から、文脈や意図を含んだ「問い」を立てる力が情報収集の鍵となってきました。本エピソードでは、検索革命の歴史を振り返りながら、ChatGPTをはじめとする生成AIの進化がどのようにユーザー体験を変えつつあるかを解説。
そして、ただ「DXとは何ですか」と尋ねるだけでは不十分な今、より良い回答を得るために求められる“良い質問”の条件とは何かを提示します。さらに、音声で自然な文脈をもってAIに伝えることの有用性、AIとの対話による「問いの力」のトレーニング方法にも触れながら、生成AI時代における情報収集力の新しいスキルセット=マインド・トランスフォーメーションの重要性を提唱しています。

【著者情報】
こんにちは、IT・DX教育サービスの株式会社サートプロ 近森満です。
www.certpro.jp/blogs/dx_chikamori/
当社では「DX推進人材教育プログラム」として初回無料のコンサルティングを提供しています。DX推進や人材育成のご相談をお待ちしています。
www.certpro.jp/dxconsulting/
質問が検索を超える時代へ
いまや「検索」は誰もが日常的に行う行動です。しかし、その検索のあり方が、生成AIの登場によって根本から変わろうとしています。これまでのように、キーワードを打ち込んで情報を探すスタイルから、「どんな問いを立てるか」によって、得られる情報の質や深さが大きく変わる時代になったのです。
質問を立てる=問い力 とも言います。
私は、過去20年近く、検索窓に「キーワードを3つまで入れよう」と教わってきました。理由は明確で、多すぎると検索結果の精度が落ちるからです。しかし、生成AIの登場により、私たちはキーワードではなく、自然な言葉・文脈・背景を含めて問いかけることが求められるようになっています。
検索エンジンと生成AIの違い
従来の検索エンジン、たとえばGoogleやYahoo!は、リンク集を返してくれるツールでした。私たちはリンクをたどって、自分に合った情報を「自力で」見つけなければなりませんでした。しかし生成AIは違います。
生成AIは、情報を収集し、要約し、整理して、「あなたが求めているものはこれではないですか?」とコンサルのように提案してくれる存在なのです。
これを私は「AIコンシェルジュ」と呼びたい。ホテルのコンシェルジュが、おすすめのレストランや観光スポットを提案してくれるように、生成AIも私たちの要求に合わせて情報をキュレーションしてくれるわけです。
事例: Googleの進化と広告ビジネスの変化
Googleのビジネスモデルは、基本的に広告です。検索結果のリンク先にユーザーが飛ぶことで、広告表示がなされ、広告主からの収益が得られるという仕組みです。
しかし、生成AIが「リンクを踏ませず、回答だけでユーザーを満足させてしまう」ようになると、リンク先に行く回数が減り、広告収益モデルが根底から揺らぎます。これは検索革命とも言える構造変化です。
良い問いとは何か?
生成AIを活用する上で最も重要なのは、「良い問いを立てる力」です。
単に「DXってなに?」と聞くだけでは、ありきたりな答えしか返ってきません。これからは以下の3つの条件を満たす問いを立てる必要があります。
①具体性がある
②意図が明確である
③深掘りの余地がある
例えば、
「中小製造業のDX推進において、現場マネージャーが使いやすいIoTツールの成功事例と課題は?」
こういった問いには、生成AIも高精度で応えてくれる可能性が高まります。
音声による質問の有効性
実は、話し言葉での問いかけが生成AIには効果的です。検索窓に「伊勢神宮に夏に行きたい。混雑を避けつつ宿泊と移動をどう確保すればよいか」と打つよりも、話してしまったほうが、AIには正確に伝わります。
人間も、コンシェルジュや友人との会話であれば、自然に補足情報を話しますよね? それと同じです。
質問力はトレーニングできる
質問力はセンスではなく、習慣と練習で鍛えられます。AIは最高の練習相手。自分の思考を試す場として、プロンプトの精度を高めていくことで、思考も洗練されていきます。
「問い」は「思考の解像度」です。問いを鍛えることは、AI活用力を高めるだけでなく、自分自身のマインド・トランスフォーメーションにもつながるのです。
新時代のスキルセット=問いの力
AI時代において必要なスキルセットとは、コーディングスキルやAIツールの知識だけではありません。「問いを立てる力」こそが、新時代のデジタル・リテラシー=超知性リテラシーの根幹になります。
AIに支配されるのではなく、AIと共に思考し、協働する時代。そのためには、「何を知りたいのか」「なぜ知りたいのか」「それを使って何をしたいのか」を明確にする必要があります。
まとめ:問いが世界を変える
検索エンジンが終わりを迎えるわけではありません。しかし、生成AIの台頭により、「検索に頼る時代」から「問いを通じて知を引き出す時代」へと、確実にシフトが起きています。
その鍵となるのが「問いの力」。これはまさに、DX推進の根幹にあるマインドセット=マインド・トランスフォーメーションそのものです。
「ググればいい」はもう古い。これからは「聞き方」が問われます。
ぜひ、今日から「質問の質」にこだわってみてください。AIはあなたの問いに、必ず何らかの形で応えてくれます。そしてそのやりとりが、自分の思考と可能性を押し広げてくれるのです。
本日の内容が、あなたの「シンギュラリティ時代への準備」に向けた、わずかながらでも「気づき」や「次の一歩」のヒントになれたなら幸いです。
10年先の超知性ASIやAGIが当たり前になる未来に向けて、私たち自身をアップデートし続けることが、今最も重要です。
ぜひ一緒に学びを深めていきましょう。
「社員のDXマインドをどう高めるか?」、「実践的なITスキル教育が進まない」など、DX推進担当者の育成やIT教育研修でお悩みでしたら、ぜひ一度お聞かせください。
初回無料の「DX推進人材教育プログラム」コンサルティングにご応募いただければ、あなたの組織の課題解決に必ずお役に立ちます。
www.certpro.jp/dxconsulting/
生成AI導入を検討させている方は、こちらもご覧ください。
セキュリティから活用方法まで、サポートさせていただきます。
certpro-generationaiservice.sfsite.me/
次回の記事も、どうぞお楽しみに!
【キーワードの解説】
問い力(といりょく)
問い力とは、単に疑問を投げかける力ではなく、状況や目的に応じて適切な問いを構築し、他者やAIから有益な情報を引き出す能力です。生成AI時代には、「どんな問いを立てるか」によって得られる回答の質が大きく変わります。良い質問には、具体性・明確な意図・深掘りの余地が含まれ、それによってAIはコンテキストを理解し、精度の高い出力が可能になります。この力はAI活用のみならず、会議・営業・教育現場などあらゆる対人コミュニケーションでも重要です。
マインド・トランスフォーメーション
マインド・トランスフォーメーションとは、従来の考え方や価値観から脱却し、変化を受け入れ、能動的に新しい視点を取り入れていく意識改革のプロセスです。DX(デジタル・トランスフォーメーション)を進めるうえで、単にツールを導入するだけではなく、組織や個人が「変化を恐れず挑戦できるマインドセット」を獲得することが極めて重要になります。本稿では、検索行動の進化を例に、このマインド変革の必要性を提唱しています。
生成AI(せいせいエーアイ)
生成AIとは、既存のデータをもとにテキスト・画像・音声などの新しいコンテンツを自動生成する人工知能のことです。ChatGPTやClaudeなどが代表的な例で、検索エンジンとは異なり、情報をリンクとして提示するのではなく、会話形式で回答を生成し、ユーザーに直接的な知的支援を提供するのが特徴です。生成AIの登場により、質問力が情報探索の主導権を握るようになり、検索行動そのものが変化しています。
【著者紹介】
近森 満(ちかもりみつる)
■株式会社サートプロ 代表取締役CEO
IT技術者の教育支援と人材育成を専門とする事業化コンサルタントとして、2006年に株式会社サートプロを創業し、IoT検定、+DX認定、アジャイル検定などの資格制度を創出。独自の技術者向け教育研修の開発に定評があり、実践的なスキル向上を支援。経済産業省DX推進ラボおよびIoT推進ラボのメンターとして、自治体や中小企業のDX推進を支援。近年は超知性ASIスキル可視化にも取り組み、次世代技術の普及に注力している。
■所属・役職
・IoT検定制度委員会 事務局長(IoT検定、+DX認定、超知性ASI検定)
・一般社団法人 IT職業能力支援機構 理事長(Android資格)
・電気・電子系技術者育成協議会 副理事長(E検定)
・NPO 組込みソフトウェア管理者技術者育成研究会 メンバー(組込み)
・ET教育フォーラム合同会社 代表(コンテンツ制作)
・経済産業省地方版IoT推進ラボ ビジネス創出事業メンター(IoT支援)
・経済産業省地域DX推進ラボ ビジネス創出事業メンター(DX支援)
・デジタル庁デジタル推進委員(デジタル化支援)
・DX事業共同組合 設立理事(DX推進)
・一般社団法人日本サステナブルビジネス機構 幹事(SDGs認証)
・”一億総活躍社会を実現する”共生日本協議会 理事(DEI支援)
・アジャイル開発技術者検定試験コンソーシアム 事務局長(Agile検定)
・一般社団法人国際サイバーセキュリティ協会 事務局長(IACS認定)


