
【記事概要】
関係人口をどう増やすか――これは地域創生やローカルDXにおいて避けて通れないテーマです。近森満氏は、SNSや地域掲示板のようなデジタルサービスが関係人口の創出に大きな役割を果たすと語ります。ふるさと納税や観光誘致のような直接的な貢献から、ローカル掲示板「ジモティー」での偶然の出会いや物品のやり取りまで、人と人が関わる接点が新たな関係人口を生み出していきます。特に、SNS発信によって地域を知ってもらうことの重要性、参加ハードルを下げるプラットフォームが持つ力、そして人との交流から生まれる「心のつながり」が未来の協働人口につながることを、自身の体験を交えて解説しました。一方で、SNS活用にはリスクもあるためモラルや仕組み整備の必要性も指摘。最終的に、デジタル時代だからこそ「人と人との関係性」を丁寧に育むことが、持続可能な地域社会を作る鍵になると結びます。

【本文】
関係人口の創出にSNSは役立つのか――。
この問いは、地域創生やローカルDXを考える上で避けて通れないテーマです。
こんにちは、IT・DX教育サービスの株式会社サートプロ 近森満です。
www.certpro.jp/blogs/dx_chikamori/
当社では「DX推進人材教育プログラム」として初回無料のコンサルティングを提供しています。DX推進や人材育成のご相談をお待ちしています。
www.certpro.jp/dxconsulting/
関係人口とは何か
「関係人口」とは、その地域に定住しているわけではないけれど、何らかの形で関わりを持つ人々を指します。例えば、ふるさと納税を通じて税収を支える人、SNSで地域を知って訪れる人、ボランティア活動で一時的に関わる人なども含まれます。こうした存在は、地方自治体にとっては新しい資源であり、地域経済の活性化や持続的なつながりを生む重要な要素になります。
SNSが果たす役割
関係人口を広げるためには「出会いの裾野を広げる」ことが欠かせません。SNSやインターネットは、そのための強力なツールです。
Twitter(X)、Instagram、Facebookなどを通じて地域情報を発信すれば、これまで接点のなかった人々にも知ってもらうきっかけを作れます。観光、イベント、ボランティア募集なども、発信がなければ届かないままです。SNSは地域を知ってもらう入口であり、関係人口を増やすための最低限の仕組みといえます。
事例: 自身のSNS発信から広がったつながり
私はFacebookやTwitterで会社の活動や個人の考えを積極的に発信しています。表面的には「売名行為」に見えるかもしれませんが、実際には人となりを知ってもらうことで仕事が進めやすくなるなど、関係性を築く効果があります。SNSは「誰がどんな思いで関わっているか」を伝える媒体でもあるのです。
ローカル掲示板「ジモティー」の力
SNSだけではありません。地域掲示板サービス「ジモティー」のように、参加のハードルが低く、地域課題を直接解決できる仕組みも大きな役割を果たしています。
事例: ギターの譲渡から生まれた新しい関係
私は趣味でギターを弾きます。ある日ジモティーで中古ギターを見つけ、北海道の方とやり取りする機会がありました。最初は単なる取引でしたが、やり取りを重ねるうちに音楽談義に発展し、地域への関心や親しみも芽生えました。これは小さな交流ですが、まさに「関係人口」が増える瞬間です。偶然の出会いが心のつながりを生み、地域に対する新しい感覚を育むのです。
協働人口への道筋
AIの普及によって、私たちの労働時間の一部は余剰となりつつあります。その余剰時間を「地域との関わり」にシフトできれば、単なる関係人口から「協働人口」へと変わっていきます。
いきなり移住するのではなく、ボランティアやイベント参加、物品交換など、小さな行動から始まるつながりが未来の共同活動を生み出します。DX推進の視点で見ても、この「余剰から協働」への転換は、持続可能な地域社会にとって重要です。
デジタル活用とリスク管理
便利なSNSや掲示板サービスも万能ではありません。詐欺まがいの行為や不適切な交流が発生するリスクもあります。だからこそ、モラルやマナーを守り、サービス提供者側も安全な仕組みを整える必要があります。信頼できる仕組みがあるからこそ、人々は安心して参加でき、関係人口が持続的に増えていきます。
事例: ワーケーションやAirbnbのような仕組み
Airbnbの空き家活用や、全国で広がるワーケーション施設も、地域と人々をつなぐ仕組みです。これらもまた関係人口を増やすツールであり、デジタルサービスの力で地域と都市をつなぐ事例といえるでしょう。
まとめ:リアルとデジタルの融合で関係人口を広げる
SNSや掲示板、シェアリングサービスは「余剰時間」を「地域との関わり」に変える触媒です。
しかし最終的に大切なのは、人と人との信頼や心のつながりです。AI時代だからこそ、より人間らしい交流を育むことが求められています。デジタルとリアルの融合こそが、未来の地域創生のカギになるのです。
さいごに
いかがでしたでしょうか?
すこしでもみなさまの気づきになれたのであれば幸いです。
DX推進担当者の育成やIT教育研修でお悩みがあれば、ぜひ初回無料のコンサルティング「DX推進人材教育プログラム」にご応募ください。かならずお役に立ちます。
ではまた。
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キーワードの解説
関係人口
関係人口とは、定住者でも観光客でもない、地域と多様な関わりを持つ人々を指します。ふるさと納税の寄付者や地域イベントへの参加者、オンライン上で情報をシェアする人も含まれます。地域外の人が交流や支援を通じて「ゆるやかに関わる」形態は、人口減少が進む日本において地域活性化のカギです。単なる交流人口から協働人口へと発展すれば、地域課題の解決にも寄与します。
ローカルDX
ローカルDXとは、地域社会におけるデジタル・トランスフォーメーションの取り組みを指します。SNSによる情報発信、地域掲示板での課題解決、ワーケーション施設の整備など、地域の特色を生かしたデジタル活用が特徴です。単なるデジタル化ではなく、住民・外部人材・自治体が協働して新しい価値を創り出すことが目的です。地域社会に根差したデジタル戦略こそが、持続可能なまちづくりの基盤となります。
協働人口
協働人口とは、関係人口の中からさらに一歩進み、地域の課題解決や事業に主体的に参加する人々を指します。ボランティア活動や地域ビジネス、災害支援などを通じて、地域と共に汗をかき、成果を分かち合う存在です。AIや自動化で余剰となった時間を地域に還元することで、持続可能な社会を築く「新しい働き方・関わり方」として注目されています。
【著者紹介】
近森 満(ちかもりみつる)
■株式会社サートプロ 代表取締役CEO
IT技術者の教育支援と人材育成を専門とする事業化コンサルタントとして、2006年に株式会社サートプロを創業し、IoT検定、+DX認定、アジャイル検定などの資格制度を創出。独自の技術者向け教育研修の開発に定評があり、実践的なスキル向上を支援。経済産業省DX推進ラボおよびIoT推進ラボのメンターとして、自治体や中小企業のDX推進を支援。近年は超知性ASIスキル可視化にも取り組み、次世代技術の普及に注力している。
■所属・役職
・IoT検定制度委員会 事務局長(IoT検定、+DX認定、超知性ASI検定)
・一般社団法人 IT職業能力支援機構 理事長(Android資格)
・電気・電子系技術者育成協議会 副理事長(E検定)
・NPO 組込みソフトウェア管理者技術者育成研究会 メンバー(組込み)
・ET教育フォーラム合同会社 代表(コンテンツ制作)
・経済産業省地方版IoT推進ラボ ビジネス創出事業メンター(IoT支援)
・経済産業省地域DX推進ラボ ビジネス創出事業メンター(DX支援)
・デジタル庁デジタル推進委員(デジタル化支援)
・DX事業共同組合 設立理事(DX推進)
・一般社団法人日本サステナブルビジネス機構 幹事(SDGs認証)
・”一億総活躍社会を実現する”共生日本協議会 理事(DEI支援)
・アジャイル開発技術者検定試験コンソーシアム 事務局長(Agile検定)
・一般社団法人国際サイバーセキュリティ協会 事務局長(IACS認定)
