
【記事概要】
本記事は、生成AI時代における中小企業のDX(デジタル・トランスフォーメーション)推進の第一歩として、「ITを知らない経営者は損をする」というテーマを軸に展開されます。ITリテラシーに乏しい経営者が抱えるリスク、人材採用や業務効率化の機会損失、顧客体験の低下などを具体例とともに明示しながら、デジタルツールの導入による変革の重要性を解説。特に、クラウド会計、CRM、オンライン商談といった実用的なデジタル活用事例を紹介しつつ、DXは単なるコストではなく未来への投資であるという視点を提示します。さらに、「マインド・トランスフォーメーション(意識変革)」の必要性に触れ、経営者が自ら学ぶ姿勢を持ち続けることの意義と、その具体的な学びの場として勉強会やIT専門家との交流を奨励。ITリテラシーの更新が企業存続と成長の鍵となる現代において、本記事は中小企業経営者にとって“気づき”と“行動”を促す実践的な指南書となる内容です。

【本文】
ITを知らない経営者は損をする:中小企業のためのDX入門
こんにちは、IT・DX教育サービスの株式会社サートプロ 近森満です。
www.certpro.jp/blogs/dx_chikamori/
当社では「DX推進人材教育プログラム」として初回無料のコンサルティングを提供しています。DX推進や人材育成のご相談をお待ちしています。
www.certpro.jp/dxconsulting/
ITに背を向ける経営者が直面する“損失”とは?
「ITを知らない経営者は損をする」。
一見、脅し文句のように聞こえるかもしれませんが、これは令和時代を生き抜くすべての中小企業に突きつけられた現実です。
中堅・大企業では情報システム部門が整備され、経営者層もデジタルネイティブ世代へと移行が進んでいます。一方で、多くの中小企業では、未だに紙と電話とFAXが主戦力。経営者自身がITから距離を置き、「デジタルは部下や外注に任せればいい」と考えてしまっているのです。
ですが、それは「経営の舵取りを他人任せにする」ことと同義です。特にスタートアップや小規模企業であれば、社長自らが営業も経理も企画も担います。その際に、ITに疎いままでいれば、リソース不足による非効率や意思決定の遅延が命取りになりかねません。
DXに遅れると何が起きるのか
では、ITやデジタルに疎い経営者が「損をする」とは、具体的にどういう状況を指すのでしょうか。以下、代表的な例を挙げてみましょう。
事例: 優秀な人材が採れない会社
今どき、企業を知る入り口は「ホームページ」「SNS」「ブログ」などのデジタルコンテンツです。
にもかかわらず、未だにホームページがなかったり、数年前に作っただけで放置されていたりする中小企業は少なくありません。
これは、採用活動において致命的です。求職者は、応募前に必ずWebで企業情報を調べます。もし、Web上に会社の実像がなければ、「古臭い」「ブラックでは?」という誤解を与えかねません。
しかも、それを改善する手段――広告出稿やSNS運用、音声配信などの温度メディア――は、すべてデジタルの知識が必要です。経営者がITに無関心であれば、こうした施策が実行されることはないでしょう。
アナログ経営がもたらす業務非効率
「うちはスマホもパソコンも使っているから問題ない」と思っていませんか?
実際には、それらのツールを“ビジネスでどう使うか”が重要です。
例えばスマホ。
「個人の連絡用で終わっていませんか?」
業務効率化の視点でいえば、モバイルアプリを活用した営業支援(SFA)や勤怠管理、チャット連携などスマホを中心とした働き方改革も十分に可能です。
また、LINEなどのSNSを活用して顧客との接点(タッチポイント)を増やすことで、UX(顧客体験)の向上にもつながります。
なぜIT軽視は経営リスクなのか
「うちは人手で対応できているから大丈夫」。
ですが、市場と顧客はすでに変化しています。
キャッシュレスに対応できなければ小売業は不利になり、オンライン会議を拒めば商談の機会を逸する。ITを取り入れないという選択は、機会損失という形で経営に跳ね返ってくるのです。
しかも、ITを導入しない経営者は、デジタルに前向きな従業員を失うリスクも孕みます。社内に変化を起こすためには、まずは経営者自身の“マインド・トランスフォーメーション”が必要です。
中小企業におけるDXのはじめ方
とはいえ、「何から始めればいいのかわからない」という声が多いのも事実です。
事例: サートプロのクラウド会計導入事例
たとえば当社サートプロでは、見積書・請求書・領収書の発行はすべてクラウド会計システムで一元管理しています。これにより履歴管理や取引先管理がスムーズになり、人的ミスや二重対応が減りました。
また、テンプレートが統一されているので、出したいときにいつでも素早く作れます。さらに毎月の定期請求書の発送まで行ってくれます。
同様に、オンライン商談(ZoomやGoogle Meetの活用)や、CRM(顧客管理)ツールの導入もDXの第一歩として有効です。
DXはコストではなく投資である
多くの経営者が勘違いしていますが、DXにかかる費用は「コスト」ではなく「投資」です。
なぜなら、そこから得られるのはコスト削減ではなく、新しい収益機会や市場開拓といった「攻めの経営」だからです。
「上流の取引先がデジタル化したからうちも合わせなきゃ…」といった後ろ向きな導入ではなく、自らの意思で未来を切り拓くツールとしてDXに向き合うべきなのです。
経営者にこそ必要なITリテラシー
「ITは専門家の仕事でしょ?」
いいえ、時代は変わりました。経営者こそITリテラシーを持たなければならないのです。
クラウド、AI、データ分析――どれも日常会話で飛び交うキーワードですが、その意味や仕組みを正確に理解している経営者はまだ少数派です。しかも、これらの技術用語は3年もすれば陳腐化していくのが実情です。
ですから、常に情報をアップデートするための「学びの体制づくり」が必要なのです。
マインド・トランスフォーメーションという自己変革
DX推進の根幹には、「学ぶ姿勢」と「変わろうとする意思」が求められます。
これを私は「マインド・トランスフォーメーション」と呼んでいます。知識を詰め込むだけでなく、自分自身の行動や価値観を変える勇気がなければ、企業の未来は拓けません。
「ITを教えて」と部下に頭を下げられない経営者こそ、外部の専門家や交流会を活用し、自社に合ったやり方を模索していくことが必要です。
まとめ:DXを“自分ごと”にする
DXはもはや大企業だけの話ではありません。むしろ中小企業こそ、DXの効果をダイレクトに享受できる余地があるのです。
必要なのは、ツールや制度ではなく、「自分自身を変える」という覚悟。マインドチェンジこそが、DXの本質であり、中小企業の未来を切り拓く鍵となるのです。
さいごに
いかがでしたでしょうか?
少しでも皆さまの気づきになれたのであれば幸いです。
DX推進担当者の育成やIT教育研修でお悩みがあれば、ぜひ初回無料のコンサルティング「DX推進人材教育プログラム」にご応募ください。かならずお役に立ちます。
ではまた。
www.certpro.jp/dxconsulting/
キーワードの解説
DX推進(デジタル・トランスフォーメーション)
DX推進とは、デジタル技術を活用してビジネスや組織の在り方を抜本的に変革する取り組みを指します。単なるIT化や業務効率化にとどまらず、顧客価値やビジネスモデルの革新を目的としています。特に中小企業にとっては、市場競争力の向上や人材不足への対応策としても不可欠な戦略です。経営層自らがデジタルの本質を理解し、意思決定に反映することが成功の鍵となります。
マインド・トランスフォーメーション
マインド・トランスフォーメーションとは、意識や価値観の根本的な変化を意味します。単なるスキル習得ではなく、「自分を変える覚悟」を伴った変容を指し、DXを推進するうえでの重要な前提となります。特に中小企業の経営者には、学ぶ姿勢、変わる勇気、そして実践する意志が求められます。マインドが変わらなければ、どれほど先進的な技術も真の成果にはつながりません。
CRM(Customer Relationship Management)
CRMとは、顧客との関係性を管理・最適化するための考え方やツールを指します。顧客情報や商談履歴、対応状況などを一元管理することで、営業効率を高め、ロイヤルカスタマーの育成を促進します。中小企業にとっては、CRMを活用することで属人化の回避、営業ノウハウの蓄積、そして組織の資産化が可能になります。顧客中心の経営へと進化するための第一歩とも言えるでしょう。
【著者紹介】
近森 満(ちかもりみつる)
■株式会社サートプロ 代表取締役CEO
IT技術者の教育支援と人材育成を専門とする事業化コンサルタントとして、2006年に株式会社サートプロを創業し、IoT検定、+DX認定、アジャイル検定などの資格制度を創出。独自の技術者向け教育研修の開発に定評があり、実践的なスキル向上を支援。経済産業省DX推進ラボおよびIoT推進ラボのメンターとして、自治体や中小企業のDX推進を支援。近年は超知性ASIスキル可視化にも取り組み、次世代技術の普及に注力している。
■所属・役職
・IoT検定制度委員会 事務局長(IoT検定、+DX認定、超知性ASI検定)
・一般社団法人 IT職業能力支援機構 理事長(Android資格)
・電気・電子系技術者育成協議会 副理事長(E検定)
・NPO 組込みソフトウェア管理者技術者育成研究会 メンバー(組込み)
・ET教育フォーラム合同会社 代表(コンテンツ制作)
・経済産業省地方版IoT推進ラボ ビジネス創出事業メンター(IoT支援)
・経済産業省地域DX推進ラボ ビジネス創出事業メンター(DX支援)
・デジタル庁デジタル推進委員(デジタル化支援)
・DX事業共同組合 設立理事(DX推進)
・一般社団法人日本サステナブルビジネス機構 幹事(SDGs認証)
・”一億総活躍社会を実現する”共生日本協議会 理事(DEI支援)
・アジャイル開発技術者検定試験コンソーシアム 事務局長(Agile検定)
・一般社団法人国際サイバーセキュリティ協会 事務局長(IACS認定)