
【記事概要】
AI時代の情報発信において「信用」と「自分ブランド」の構築がいかに重要か――このテーマを軸に、DX推進メンター近森満氏が、自身の経験や哲学を交えて語った内容をまとめたのが本記事です。インターネット黎明期から情報通信分野に関わってきた近森氏は、SNSやオウンドメディアなど発信するすべての情報が「信用貯金(信頼残高)」として蓄積され、やがてパーソナルブランドへと昇華していく構造を解き明かします。
生成AIやSNSの進化により、誰もが「評価される存在」となった今、信頼の可視化やスコア化が現実となりつつあります。こうした背景のもと、記事では「どう信頼を積み上げるか」「どのように自己をブランディングするか」といった実践的な視点を展開。企業における人材育成、特にデジタル人材のマインドセット醸成やスキル可視化のヒントにもなります。
「信用を損なわない発信とは何か?」「AIはあなたの情報発信をどう評価しているのか?」といった問いを通じ、読者自身が自らの信頼を再設計し、DX時代を生き抜くパーソナルブランド構築の必要性を考えるきっかけを提供します。

【本文】
こんにちは、IT・DX教育サービスの株式会社サートプロ 近森満です。
www.certpro.jp/blogs/dx_chikamori/
当社では「DX推進人材教育プログラム」として初回無料のコンサルティングを提供しています。DX推進や人材育成のご相談をお待ちしています。
www.certpro.jp/dxconsulting/
信用なき発信は、信用なき人生につながる
AI時代の「情報発信」は、ただのアウトプットではありません。
それは、あなたの“人格の公開”でもあります。
特にインターネットやSNS上では、あなたの名前で残されたすべての言葉や行動が、「信用」という形で評価され、積み上がり、ある日突然「あなたというブランド」の輪郭を形作ることになります。
たとえば、Googleで「近森満」と検索すると、山ほどの情報が出てきます。これは偶然ではなく、私自身が20年以上かけてコツコツと築いてきた「信用貯金」の結果です。
こうした“見えない資産”は、DX時代において最大の武器となります。
自分ブランドの本質は「信用の可視化」にある
では、自分ブランドとは何でしょうか? それはただの自己PRではありません。
「あなたがどういう人間なのか」「何を信じ、どんな価値を社会に提供しているのか」――それが他人の視点で明確に見える状態こそが、真のパーソナルブランドです。
そしてこの「見える化」は、情報発信の質と継続性によって実現されます。特に、生成AIが活用される今、あなたの発言は人にもAIにも読み取られ、スコア化され、信頼度が数値として表現されてしまう時代です。
これを裏返せば、一貫した姿勢と誠実な発信を続けることで、AI時代においても「信用」は構築可能であるとも言えます。
事例: DXネタ帳の音声配信から得た信頼の波及効果
私がSpotifyで配信している音声番組「DX企画書のネタ帳」も、実はこの信用構築の一環です。たとえば何気ない日常の気づきを配信した回が、意外な形で経営者仲間や自治体担当者に拡散され、後日「話を聞かせてほしい」と連絡をいただくこともありました。
“声”というのは、文章以上に感情や人間性が伝わりやすい。まさに“信用の空気感”が伝播していく装置なのです。
発信するたびに、信頼残高が増減していく
情報を発信するということは、信頼を売買する行為です。
あなたの発言ひとつで、信頼残高は「プラス」にも「マイナス」にも動きます。発信とは、ただ言いたいことを言う場ではなく、自己評価を社会に委ねる行為なのです。
誤った情報、出典のない主張、批判だけの意見、軽率な発言――これらはマイナス残高を生み出します。
逆に、正確な引用、実体験に基づいた視点、建設的な提言、継続的な活動は、プラス残高を積み上げてくれます。
ここで私が提唱するのが、「信用貯金(トラストバンク)」という考え方です。
信用残高とは、日々の発信と行動の蓄積。
これが可視化され、検索結果やSNSの印象に反映され、あなたの「ブランド評価」に繋がっていくのです。
発信はAIによって評価される時代へ
かつては「人が人を評価する」時代でした。ところが今は違います。
今やGoogleの検索アルゴリズム、SNSのエンゲージメント評価、そして生成AIによる情報選別機能など、あなたの情報発信は“AIによって”評価されるのです。
つまり、AIが「信頼できる人間」だと判断しなければ、あなたの発信は広がらないのです。
ここで登場するのが、Googleの評価基準「E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)」です。この基準は、人の発信がAI上でどれだけ価値あるものとみなされるかを判断する材料になります。
たとえば、私は自分の経験や失敗談を包み隠さず発信しています。これはE-E-A-Tにおける「Experience(経験)」の観点から高評価される可能性があるわけです。
自分ブランドをどう設計するか
信用とブランドは、自然発生的にできるものではありません。
「設計」する必要があるのです。
・誰に届けたいのか?
・どんな印象を持たれたいのか?
・どんな行動を促したいのか?
これらを意識して発信することで、はじめて「ブランドとしての自己」が形を持ちます。
事例: サートプロのブランド設計と個人発信の統合
私が経営するサートプロという会社は、IT人材育成をテーマに掲げていますが、実はこのブランドは私個人の発信と密接に連動しています。
「近森満が言ってることは信頼できる(はず)」
↓
「その近森満がやってる会社だから信頼できる(だろう)」
↓
「じゃあこのサービスも信頼できる(と信じてる)」
この信頼連鎖こそが、現代のマーケティングにおける最強のレバレッジです。
発信しない人にブランドは宿らない
最後にひとつ、覚えておいていただきたいことがあります。
発信しない人に、ブランドは宿りません。
あなたがどんなに素晴らしい考えを持っていても、誰にも届かなければ社会的信用には繋がりません。そして、社会的信用がなければ、チャンスも巡ってこないのです。
買わない人に、宝くじは当たりません(ちがうかw)
はじめは匿名でも構いません。小さな発信でも構いません。とにかく「行動」として可視化すること。
継続していけば、やがて名前で検索され、ポートフォリオが蓄積され、「この人は信頼できる」と思われるようになります。
それがAI時代における「デジタル人材」の真価であり、「マインド・トランスフォーメーション」の第一歩なのです。
まとめ:信用は蓄積できる。ブランドは設計できる。
・信用は発信を通じて蓄積できる「デジタル資産」である
・パーソナルブランドは自己設計によってつくることができる
・E-E-A-T時代において、AIと人の両方から評価されることが求められる
・自分の発信が“誰かの信頼”に繋がるという視点を持とう
・まずは小さくても、発信を始めることが全ての起点である
さいごに
いかがでしたでしょうか?
今回の「信用」と「自分ブランド」の話を通じて、皆さまの中に「ちょっと発信してみようかな」という種が芽生えたなら幸いです。
DX時代における人材とは、テクノロジーの使い手であると同時に、信頼される発信者でもあります。
もしあなたが自社の中で「信用を高めたい」「ブランドをつくりたい」とお考えなら、ぜひ私たちサートプロが提供する「DX推進人材教育プログラム」にご相談ください。
あなたの信頼残高を一緒に積み上げていきましょう。
キーワードの解説
信用貯金(信頼残高)
信用貯金とは、日々の情報発信や行動によって社会的信用が蓄積されていくという概念です。インターネットやSNS、生成AIが普及した現代では、個人の発信がすべて記録され、第三者からの評価対象となります。これにより、言動の一貫性や発信の信頼性が「信用の残高」として見える化され、キャリアや人間関係、ビジネスチャンスに大きく影響するようになっています。良質な発信を重ねることで、信用は資産として蓄積されるのです。
パーソナルブランド(自分ブランド)
パーソナルブランドとは、「その人ならではの価値」や「他人との差別化された印象」が社会的に認識される状態を指します。単なる肩書きや経歴だけでなく、SNSやブログなどを通じた継続的な情報発信により形成され、AIや人による評価に基づき可視化される点が特徴です。DX時代においては、情報の受け手だけでなく、発信者としての信用力も重要視されるため、パーソナルブランドは個人のビジネス的価値に直結します。
E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)
Googleの検索品質評価ガイドラインにおける重要な評価軸の一つ。Experience(経験)、Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trustworthiness(信頼性)の4要素で構成されます。特に信頼性(Trust)は最も重要で、個人の発信がいかにユーザーにとって正確で役立つものであるかが重視されます。AIもこれらの基準をもとに情報の価値を判断しているため、発信者は自らのE-E-A-Tを意識したコンテンツ発信が求められます。
【著者紹介】
近森 満(ちかもりみつる)
■株式会社サートプロ 代表取締役CEO
IT技術者の教育支援と人材育成を専門とする事業化コンサルタントとして、2006年に株式会社サートプロを創業し、IoT検定、+DX認定、アジャイル検定などの資格制度を創出。独自の技術者向け教育研修の開発に定評があり、実践的なスキル向上を支援。経済産業省DX推進ラボおよびIoT推進ラボのメンターとして、自治体や中小企業のDX推進を支援。近年は超知性ASIスキル可視化にも取り組み、次世代技術の普及に注力している。
■所属・役職
・IoT検定制度委員会 事務局長(IoT検定、+DX認定、超知性ASI検定)
・一般社団法人 IT職業能力支援機構 理事長(Android資格)
・電気・電子系技術者育成協議会 副理事長(E検定)
・NPO 組込みソフトウェア管理者技術者育成研究会 メンバー(組込み)
・ET教育フォーラム合同会社 代表(コンテンツ制作)
・経済産業省地方版IoT推進ラボ ビジネス創出事業メンター(IoT支援)
・経済産業省地域DX推進ラボ ビジネス創出事業メンター(DX支援)
・デジタル庁デジタル推進委員(デジタル化支援)
・DX事業共同組合 設立理事(DX推進)
・一般社団法人日本サステナブルビジネス機構 幹事(SDGs認証)
・”一億総活躍社会を実現する”共生日本協議会 理事(DEI支援)
・アジャイル開発技術者検定試験コンソーシアム 事務局長(Agile検定)
・一般社団法人国際サイバーセキュリティ協会 事務局長(IACS認定)