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DX成功の鍵はどこに?技術とマインドを変える変革の作法

2025年7月11日
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  【記事概要】

DX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進するうえで最も重要なのは「マインド(意識)」の変革である──。

本記事では、近森満が提唱する「デジタル三兄弟」と「マインド三姉妹」の概念を軸に、DXの進行における“マインドセットの変化”がいかに重要かを解説します。「デジタル三兄弟」(デジタイゼーション/デジタライゼーション/デジタル・トランスフォーメーション)は技術的な段階の象徴であるのに対し、「マインド三姉妹」(マインドシフト/マインドチェンジ/マインド・トランスフォーメーション)は、人間の内面や文化の変容プロセスを表現しています。

特に、DXが表層的な技術導入にとどまるのではなく、組織全体の価値観や文化を揺さぶり、根本的な再定義を求める“終わりなき旅”であることが強調されます。この記事は、企業変革を目指す経営層や人材育成担当者、HRテクノロジーに関心のある読者に向けて、技術と意識の融合がもたらす本質的な変革の道筋を提示します。

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  【著者情報】

こんにちは、IT・DX教育サービスの株式会社サートプロ 近森満です。
www.certpro.jp/blogs/dx_chikamori/

当社では「DX推進人材教育プログラム」として初回無料のコンサルティングを提供しています。DX推進や人材育成のご相談をお待ちしています。
www.certpro.jp/dxconsulting/

 

 

DX推進は“デジタル三兄弟”だけでは完結しない

DX(デジタル・トランスフォーメーション)を語るとき、よく「デジタイゼーション(Digitization)」「デジタライゼーション(Digitalization)」「デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)」という段階的な技術導入の流れが取り上げられます。私はこれを「デジタル三兄弟」と呼んでいます。

・デジタイゼーション(Digitization)
紙からデジタルへの変換(例:紙帳票をPDFに)

・デジタライゼーション(Digitization)
業務プロセスのデジタル化(例:RPAやSaaS導入)

・デジタル・トランスフォーメーション(Digital Transformation/DX)
ビジネスモデルそのものの変革

これらは互いに密接に関連しており、ステップバイステップで連携しながら進んでいく必要があります。ただし、ここで私が強く主張したいのは、「DXは技術だけでは不十分」ということです。

 

 

“マインド三姉妹”という意識変革のトリオ

では、技術の三兄弟に対して何が必要なのか。それが私が提唱する「マインド三姉妹」です。

・マインドシフト(Mind Shift)
視点や価値観を柔軟に切り替えること。

・マインドチェンジ(Mind Change)
意思や方針、スタンスを明確に切り替えること。

・マインドト・ランスフォーメーション(Mind Transformation/MX)
思考様式や価値観そのものを深く再構築し直すこと。

この三姉妹は、単なる心構えの変化ではなく、組織や個人が“変革に耐えうるマインドセット”へと進化していくための段階です。

 

 

マインドシフト:視点を変える柔軟性

マインドシフトとは、思考の視点や角度を柔軟に変えること。
たとえば、ある製品を国内限定で販売していたが、海外展開を考えてみる。あるいは5個セットで販売してみる。
真っ正面だけでなく、「横から見る」「上から見る」「後ろから見る」という柔軟なアプローチを取れることが、マインドシフトの第一歩です。

これにより、今まで見えていなかった市場やチャンスが見えるようになります。これは、DXにおいて非常に重要な気づきなのです。

 

 

マインドチェンジ:意思をともなう決断

次に来るのがマインドチェンジ。これは視点を変えるだけでなく、「決断」を伴う変化です。

たとえば、これまでアナログ一筋だった経営者が「うちはDXで攻める」と旗を掲げ、部門を横断した変革を推進し始める。まさにこのとき、意識の“変化”ではなく“転換”が起こっているのです。

マインドチェンジは、特にトップダウンの改革新規事業の立ち上げにおいて重要な局面を担います。

 

 

マインド・トランスフォーメーションのキモは再構築という覚悟

そして最も深い変革が、マインド・トランスフォーメーションです。

これは単なる意識改革ではありません。常識・価値観の再構築です。旧来の成功体験を一度リセットし、VUCA時代の変化に対応できる「超知性リテラシー」を持つマインドを育む必要があります。

言い換えれば、「正しさ」の基準を壊すことに近い行為です。これまで信じていた企業文化や行動規範を根底から問い直し、「自社の存在意義」や「社員のキャリアパス」を再定義する勇気が問われるのです。

 

事例:リーダー育成の場面でのマイントラ導入

私が現場で支援してきた企業のなかに、リーダー育成に「マインド三姉妹」を導入したところがあります。

最初は、「AIやDXは現場には関係ない」と言っていた課長クラスが、ワークショップを重ねるごとに視点を広げ、やがて自らの業務のデジタル化案を提案するようになりました。

これこそが「マインド→行動→スキル」という、逆算型の変革プロセスです。

 

 

DXとマインド変革の“無限ループ構造”

ここまで読んで、「あれ?デジタルとマインド、どっちが先?」と疑問に思われた方も多いのではないでしょうか。

答えは、「どちらも常に循環している」です。
私はこの構造を「メビウスの輪」にたとえています。

デジタイゼーション → デジタライゼーション → デジタル・トランスフォーメーション → マインドシフト → マインドチェンジ → マインドトランスフォーメーション → (違う現場や種類のデジタイゼーションに戻る)

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近森満の考え方をNapkin AIで生成

これらは順番ではなく、常にぐるぐる回っている状態。たとえば技術導入が先行すれば、それに合わせてマインドを変えなければならない。逆に、マインドが変わったからこそ技術導入が加速する。これが真のDXの回転軸です。

 

 

まとめ:DX=ツール×意識改革

つまり、「DXとは、ツールを導入することではなく、“マインドを変えること”そのものである」ということです。
技術はあくまで“道具”。使い手である「人」の意識が変わらなければ、何も変わりません。

企画書に落とし込むなら、「DX=デジタル×マインド」の構造を図示し、ステージに応じた“意識変革ワークショップ”を導入するプランを提案すると効果的です。

 

いかがでしたでしょうか?
「マインドトランスフォーメーション」と聞くと抽象的に感じるかもしれませんが、これはDX推進において最も根源的で、かつ実践的な要素なのです。

人と組織の変革には時間がかかります。ですが、まずは“視点を変える(マインドシフト)”ことから始めてみましょう。

DX推進担当者の育成やIT教育研修でお悩みがあれば、ぜひ初回無料のコンサルティング「DX推進人材教育プログラム」にご応募ください。かならずお役に立ちます。
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キーワード解説:

 【デジタル3兄弟】

デジタイゼーション/デジタライゼーション/デジタル・トランスフォーメーション

(1) デジタイゼーション(Digitization)

意味:アナログ情報をデジタル化すること。
:紙の資料をスキャナーでPDF化する/フィルム写真をJPEGに変換する
用法:業務効率化の第一歩としての「手段的なデジタル変換」
使用シーン:文書管理の電子化、音声のデジタル録音など

 

(2) デジタライゼーション(Digitalization)

意味:デジタル技術を使って業務プロセスを変革すること。
:勤怠を紙からクラウド勤怠管理システムへ移行する
用法:「業務やプロセスの最適化」レベルでの活用
使用シーン:SaaS導入、ERP化、営業活動のCRM移行など

 

(3) デジタル・トランスフォーメーション(Digital Transformation/DX)

意味:企業・組織がデジタル技術を活用して、ビジネスモデルや価値提供そのものを革新すること。
:顧客との接点をEC化し、サブスクリプションモデルへ変える
用法:「企業文化・戦略」そのものの変革
使用シーン:DX戦略の立案、新規事業創出、デジタル人材育成など

 

  【マインド3姉妹】

マインドシフト/マインドチェンジ/マインド・トランスフォーメーション

(1) マインドシフト(Mind Shift)

意味:視点や価値観を柔軟に切り替えること。
:「成果主義」から「成長重視」への視点の転換
用法:考え方の“角度”を変える場面で使用
使用シーン:働き方改革、部下指導の視点変更、リスキリング開始時など

 

(2) マインドチェンジ(Mind Change)

意味:意思や方針、スタンスを明確に切り替えること。
:アナログ推進派だった経営者がDX推進を決断する
用法:「考えを変える=決断を伴う」場面で使用
使用シーン:トップダウン型の改革時、新規事業への転換など

 

(3) マインドトランスフォーメーション(Mind Transformation)

意味:思考様式や価値観そのものを深く再構築し直すこと。
:旧来の成功体験を一旦ゼロにし、VUCA時代の変化に対応するマインドを養う
用法:「人としての在り方」や「組織文化の変革」など深層的変化を指す
使用シーン:リーダー育成、企業カルチャー変革、人材戦略の再設計時など

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  【著者紹介】

近森 満(ちかもりみつる)
■株式会社サートプロ 代表取締役CEO
IT技術者の教育支援と人材育成を専門とする事業化コンサルタントとして、2006年に株式会社サートプロを創業し、IoT検定、+DX認定、アジャイル検定などの資格制度を創出。独自の技術者向け教育研修の開発に定評があり、実践的なスキル向上を支援。経済産業省DX推進ラボおよびIoT推進ラボのメンターとして、自治体や中小企業のDX推進を支援。近年は超知性ASIスキル可視化にも取り組み、次世代技術の普及に注力している。
■所属・役職
IoT検定制度委員会 事務局長(IoT検定、+DX認定、超知性ASI検定)
一般社団法人 IT職業能力支援機構 理事長(Android資格)
電気・電子系技術者育成協議会 副理事長(E検定)
NPO 組込みソフトウェア管理者技術者育成研究会 メンバー(組込み)
ET教育フォーラム合同会社 代表(コンテンツ制作)
経済産業省地方版IoT推進ラボ ビジネス創出事業メンター(IoT支援)
経済産業省地域DX推進ラボ ビジネス創出事業メンター(DX支援)
デジタル庁デジタル推進委員(デジタル化支援)
DX事業共同組合 設立理事(DX推進)
一般社団法人日本サステナブルビジネス機構 幹事(SDGs認証)
”一億総活躍社会を実現する”共生日本協議会 理事(DEI支援)
アジャイル開発技術者検定試験コンソーシアム 事務局長(Agile検定)
一般社団法人国際サイバーセキュリティ協会 事務局長(IACS認定)

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