
【記事概要】
「AIに奪われにくい職業」とされていたはずの職種が、生成AIの急速な進化によって、むしろ最初に影響を受けるという“逆転現象”が起きています。かつて2015年に野村総合研究所が発表した「AIによる代替可能性ランキング」では、一般事務やデータ入力、製造作業などが高リスクとされ、ライターやアーティストは比較的安全とされていました。しかし、実際には生成AIが最も影響を与えたのは文章作成や画像生成といったクリエイティブ分野でした。これは、AIが文章や画像といった“言語的・視覚的パターン”を模倣しやすいという特性によるものです。記事では、「職業が奪われる」のではなく「業務や作業が変化・進化する」という視点の重要性を説き、AI時代における働き方や職業観の再定義、そして自分自身の変化への対応力の必要性について解説します。
目次
- 【本文】
- AIに奪われる職業の“予想外”な現実
- 引用元リンク:
- 「仕事が奪われる」は本当か?
- 事例: 一般事務・医療事務・受付係
- AIに代替されやすい職種とされてきた業務
- AIに代替されにくいとされていた職業の逆転劇
- 事例: フリーライターの実態
- 📓キーワード解説:生成AI
- AIの代替可能性を“業務単位”で見よう
- クリエイティブ職の未来はどうなる?
- 事例: 俳優とCM業界
- 職業観の再定義と“変化する勇気
- 📓キーワード解説:マインドセットとリスキリング
- AGI・ASI時代に備えて
- まとめ(企画書のネタ):仕事は「なくなる」のではなく「進化する」
- さいごに
- 【音声配信】
- 【著者紹介】
【本文】
AIに奪われにくいはずの職業が一番早く代替された?予想外の展開に迫る
こんにちは、IT・DX教育サービスの株式会社サートプロ 近森満です。
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AIに奪われる職業の“予想外”な現実
2015年、野村総合研究所が発表したレポートに「日本の労働人口の49%がAIやロボットによって代替可能になる可能性がある」と記されました。調査対象となった601の職業がそれぞれ代替確率で評価され、多くの人々がそのリストに注目しました。中でも「AIに奪われにくい」とされたのは、ライターやカメラマン、アーティストなどのクリエイティブ系の職業。しかし、現実はどうでしょう?まさにそのクリエイティブ分野が真っ先に生成AIの波に飲み込まれ始めたのです。
引用元リンク:
- 野村総合研究所レポート「日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能に」
www.nri.com/content/900037164.pdf - Yahoo!ニュース記事「AIに奪われる職業」10年前の予想が大外れと話題に 編集者は悲鳴「1人で何でもできてしまう時代」
news.yahoo.co.jp/articles/534e3d81c3229eb2f23c7da5a3ae10d5972d5ed2
「仕事が奪われる」は本当か?
このテーマで最も誤解されやすいのが、「職業そのもの」が消えてしまうという感覚です。実際には、職業の中に含まれる“業務”や“作業”が代替されるのであって、仕事自体がなくなるわけではありません。AIの登場以前から、手作業はコンピュータに代替されてきた歴史があるように、生成AIもまたその延長線上にあると捉えるべきです。
事例: 一般事務・医療事務・受付係
これらは代替可能性が高い職種として分類されています。しかし現場では、AIが導入されても「人間が必要」な場面は多々あります。受付にタブレットを置いても、結局はその裏に人がいる。完全自動化には至らず、人の関与が続いています。
AIに代替されやすい職種とされてきた業務
代替可能性が高いとされていた代表例を見てみましょう。
- データ入力
- 製パン作業員
- 製本作業員
- タクシー運転者
- IC生産オペレーター
- 銀行窓口係
- 一般事務員
これらは、特別な知識やスキルが求められず、秩序的・体系的に処理できる業務が中心であることから、コンピュータ処理との親和性が高いとされていました。しかしながら、現代社会においてタクシー運転者が淘汰されているとは全く思えません。だからといってこれから先淘汰されないとは言えませんが、全国一斉に「はい!明日から変わります」とはなりません。とかく人は、都合の良くない情報において01を考えがちですが、人の営みと言うのは簡単には変わらないのもまた事実です。
AIに代替されにくいとされていた職業の逆転劇
逆に、AIによる代替可能性が低いとされていた職業の中に、フリーライターやブロガー、ジャーナリストなどがありました。しかし、生成AIの出現で、彼らの活動領域が大きく侵食され始めたのです。これは、AIが言語生成の領域で驚異的な進化を遂げたことが要因です。
事例: フリーライターの実態
1ヶ月に1本の記事を書いていたライターが、AIの力を借りれば1週間に1冊の本を書ける──そんな“効率爆上がり”現象が起きています。とはいえ、これは能力の高いライターに限った話。市場の供給過多が起これば、スキルの低い人ほど淘汰されやすくなるという新たな競争構造も生まれています。
📓キーワード解説:生成AI
生成AI(Generative AI)とは、テキスト、画像、音声、動画などの“新しいコンテンツ”を生成するAIのことです。ChatGPTに代表されるように、近年の大規模言語モデル(LLM)の進化により、ライティングや翻訳、コード作成、さらには画像生成に至るまで、多くの創作作業が自動化されつつあります。これにより、従来はAIに代替されにくいとされた創造的職業すら影響を受けるようになっています。
AIの代替可能性を“業務単位”で見よう
ここで重要なのは、「職種」ではなく「業務」や「タスク」レベルで考えるべきだという視点です。ライターの仕事の中にも、取材・構成・執筆・校正・編集など多様な業務が存在し、その一部は生成AIがこなせるようになったにすぎません。つまり、人間の職能はAIとの“共創”によって進化するチャンスでもあるのです。
クリエイティブ職の未来はどうなる?
音声・映像・画像制作の分野でも生成AIの活躍が加速しています。アートディレクター、映画監督、ナレーターなどの“代替困難”とされた職業すら、AIによる一部支援が可能になっています。とはいえ、最終的な判断や編集、統合、世界観構築といった人間の感性に依存する部分は残り続けるでしょう。
事例: 俳優とCM業界
実写の俳優を使わず、AIが生成したキャラクターでCMを作る事例も増えています。しかし、視聴者の“好感度”や“信頼性”を得るには、やはり人間らしさが重要であるという声も根強いのが現状です。
職業観の再定義と“変化する勇気”
こうした時代の変化の中で求められるのは、「終身雇用」や「職能一筋」の考え方からの脱却です。「この仕事を何十年も続けてきたのにAIに取られた」という嘆きではなく、「じゃあ次は何ができるか?」という再構築的なマインドセットが求められます。
📓キーワード解説:マインドセットとリスキリング
マインドセットとは、「考え方の枠組み」や「物事の受け止め方」のこと。変化に対して柔軟に対応できる心の構えを持つことで、新しいスキルの習得=リスキリング(Reskilling)も前向きに取り組むことができます。AI時代においては、“学び直し”こそがキャリアを守る最強の武器です。
AGI・ASI時代に備えて
AGI(汎用人工知能)、ASI(超知性AI)が実現する未来においては、さらに多くの仕事が変容を遂げる可能性があります。そのときに重要なのは、「何ができるか」ではなく「何に価値があるか」という観点です。人間らしい感性や倫理観、共感力といった“非構造的スキル”がより重要になってくるでしょう。
まとめ(企画書のネタ):仕事は「なくなる」のではなく「進化する」
今回のテーマから得られる最大の学びは、「仕事は奪われるものではなく、変わっていくもの」だという視点の転換です。業務の一部はAIに委ね、自分はより創造的な領域へと移行する。この適応力こそが、超知性時代のキャリアデザインにおけるキモになります。
さいごに
いかがでしたでしょうか?
すこしでもみなさまの気づきになれたのであれば幸いです。
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ではまた。
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【音声配信】
※音声収録のポッドキャストではテキストには載っていない㊙話も。
ぜひ、ものは試しに聴いてみてください。
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【著者紹介】
近森 満(ちかもりみつる)
株式会社サートプロ 代表取締役CEO
IT技術者の教育支援と人材育成を専門とする事業化コンサルタントとして、2006年に株式会社サートプロを創業し、IoT検定、+DX認定、アジャイル検定などの資格制度を創出。独自の技術者向け教育研修の開発に定評があり、実践的なスキル向上を支援。経済産業省DX推進ラボおよびIoT推進ラボのメンターとして、自治体や中小企業のDX推進を支援。近年は超知性ASIスキル可視化にも取り組み、次世代技術の普及に注力している。
一般社団法人 IT職業能力支援機構 理事長(Android資格)
電気・電子系技術者育成協議会 副理事長(E検定)
IoT検定制度委員会 事務局長(IoT検定+DX認定)
ET教育フォーラム 合同会社 代表(コンテンツ制作)
経済産業省 地方版IoT推進ラボビジネス創出事業メンター(IoT支援)
経済産業省 地域DX推進ラボビジネス創出事業メンター(DX支援)
デジタル庁 デジタル推進委員(デジタル化支援)
DX事業共同組合 設立理事(DX推進)